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VS Code「July 2022」リリース、「最後に失敗したセルへの移動」など多数の機能を搭載複数選択の検索が可能に

Microsoftはクロスプラットフォームエディタ「Visual Studio Code」の最新版「July 2022」リリース(バージョン1.70)を公開した。ワークベンチやエディタ、ターミナル、ノートブックなどの機能を強化した。

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 Microsoftは2022年8月5日(米国時間)、WindowsやLinux、macOSに対応するクロスプラットフォームのエディタ「Visual Studio Code」(以下、VS Code)の最新版「July 2022」リリース(バージョン1.70)を公開した。

 VS Codeバージョン1.70では、ワークベンチやエディタ、ターミナル、ノートブックなどの機能が追加、改善されている。

タイトルバーのカスタマイズが容易に

 ワークベンチの改善では、まずタイトルバーのカスタマイズが容易になった。

 タイトルバーの右クリックにより、メニューバー(macOSデスクトップでは表示されない)やコマンドセンター、レイアウトコントロールの表示をトグルするコンテキストメニューにアクセスできるようになった。


タイトルバーのコンテキストメニュー(提供:Microsoft)

 Windowsユーザーは、ウィンドウの左上隅にあるVS Codeアイコンを右クリックするか、[Alt]+[Space]キーを押すことで、これまで通り、システムコンテキストメニューを呼び出すこともできる。


システムコンテキストメニュー(提供:Microsoft)

折り畳み範囲の選択が可能に

 「Create Manual Folding Ranges from Selection」(選択範囲から折り畳み範囲を作成)コマンド([Ctrl]+「K]キー、次いで[Ctrl]+[,]キー)では、現在選択されている行から折り畳み範囲を作成し、折り畳むことができる。この範囲を「Manual Folding Range」(手動折り畳み範囲)と呼ぶ。

 手動折り畳み範囲は、「Remove Manual Folding Ranges」(手動折り畳み範囲を削除)コマンド([Ctrl]+[K]キー、次いで[Ctr]+[.]キー)で削除できる。


手動折り畳み範囲を設定しているところ(クリックで再生、提供:Microsoft)

検索ビューでの複数選択が可能に

 検索ビューが複数選択に対応した。選択している検索結果の1つに対して行った操作(除外や置換など)は、選択中の他の検索結果に対しても実行される。


検索ビューでの複数選択、置換の除外と許可(クリックで再生、提供:Microsoft)

ツリー検索コントロールが改善

 ファイルエクスプローラなどのツリービューが、検索コントロールをサポートした。ツリー内で[Ctrl]+[F]キーを押すと、検索コントロールがポップアップする。検索コントロールを使って、検索語に一致した要素をハイライト表示したり、フィルターボタンを使って、検索語に一致しない要素を全て隠したりできる。


ツリー検索コントロールによる検索と絞り込みを実行したところ(クリックで再生、提供:Microsoft)

コマンドラインオプション「--merge」が有効に

 コマンドラインオプションを使って、VS Codeでマージエディタを表示できるようになった。

-m --merge <path1> <path2> <base> <result> Perform a three-way merge by providing paths for two modified versions of a file, the common origin of both modified versions, and the output file to save merge results.

 これにより、VS CodeをGitのマージツールとして使用できる。例えば、「.gitconfig」で次のように設定すればよい。

[merge]
  tool = code-insiders
[mergetool "code-insiders"]
  cmd = code-insiders --wait --merge $REMOTE $LOCAL $BASE $MERGED

シェル統合が既定で有効に

 ターミナルの改善もある。シェル統合の自動挿入(シェルセッションへのシェル統合スクリプトの自動挿入)が既定で有効になった。サポートされているシェルのセットアップ(ほとんどのbash/zsh/pwshの設定)では、ユーザーが設定を変更しなくても、この機能が全て動作する。


シェル統合が有効な場合、ターミナルで実行されたコマンドの横に青、赤、灰色の丸が表示される(提供:Microsoft)

 なお、Windowsでシェル統合を利用するには、「PowerShell 7」(pwsh)が必要になる。これは「https://aka.ms/PSWindows」からインストールできる。

PowerShellキーバインドの拡張

 シェル統合により、[Ctrl]+[Space]キーのようなPowerShellのキーバインドが追加された。これは従来は不可能だった。VTエンコーディングがサポートされていなかったからだ。pwshでシェル統合が動作していれば、次のキーバインドが動作するようになった。

[Ctrl]+[Space]キー Windowsのみ。デフォルトではMenuComplete
[Alt]+[Space]キー デフォルトではSetMark
[Shift]+[Enter]キー デフォルトではAddLine
[Shift]+[End]キー デフォルトではSelectLine
[Shift]+[Home]キー デフォルトではSelectBackwardsLine

 これらは全てのプラットフォームに当てはまる(これらのキーバインドが通常不可能なLinux、macOSを含む)。これらの既定は、pwshプロファイルの「Set-PSReadLineKeyHandler」でいつでもリセットできる。

最後に失敗したセルへの移動

 ノートブックの改善では、最後に失敗したセルにジャンプするボタンが追加された。「Notebook: Go to Most Recently Failed Cell」を実行しても、同じ操作が可能だ。

 この機能は、複数のセルを実行したときに、どのセルが失敗して実行を停止させたのかを知りたい場合に便利だ。


最後に失敗したセルへ移動しているところ(クリックで再生、提供:Microsoft)

Pythonの導入支援機能が向上

 拡張機能の改善では、Python向けのものが目玉だ。VS CodeのPython拡張機能の開始チュートリアルが、ユーザーに必要であればPythonのインストールをスムーズに支援できるようになった。Pythonがインストールされていない場合、Microsoft Storeまたは適切なウォークスルータイルが開くため、ユーザーは表示された手順を自動実行できる。

 インタープリタに関連するプロンプトは、ユーザーの操作がインタープリタを必要とするときにのみ表示され、起動時には表示されない。またUIプロンプトは、エラーや推奨される変更について、より正確に表示するように改善された。


Python拡張機能の開始チュートリアル画面(提供:Microsoft)

エディタのスティッキースクロール機能

 プレビュー段階の機能もある。ユーザーがスクロール中に、どのスコープにいるのかがUIで分かるようになった。この「スティッキースクロール」UIは、スクロール中にエディタの最上部に、ネストされた現在のスコープを表示する。この機能は、「editor.experimental.stickyScroll.enabled」設定で有効化できる。


TypeScriptファイルのソースコードスコープを表示する「スティッキースクロール」機能が動作しているところ(クリックで再生、提供:Microsoft)

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