クラウドBig 3にはもう割り込めない? 寡占化が進む注目市場の次を占う:為替レート変動の影響も大きい
調査会社のSynergy Research Groupは2022年第2四半期のクラウドインフラサービスへの支出が550億ドルに達し、2021年第2四半期比で29%成長したと発表した。寡占化がより一層進み、上位3社や上位5社の占めるシェアがより高くなっている。
調査会社のSynergy Research Groupは2022年7月28日(米国時間)、2022年第2四半期のクラウドインフラサービスへの支出が550億ドルに達し、2021年第2四半期比で29%成長したと発表した。
米国は為替市場の混乱とドル高の影響下にあるため、もし、為替レートが1年前の水準であるなら、成長率はさらに6ポイント高くなる計算だという。
AWSは2位以下をさらに引き離す
クラウドサービスごとのシェアでは、「Amazon Web Services」(AWS)の世界市場シェアが1ポイント以上上昇し、約34%に達した。「Google Cloud」も今四半期、市場シェアが大幅に上昇している。
AWSと「Microsoft Azure」、Google Cloudを合わせた世界市場シェアは、1年前は61%だったが、今四半期には65%にまで伸びた。
他の全てのクラウドサービスプロバイダーを合計した収益を見ると、2018年から150%以上伸びている。だが、成長率は市場リーダーの3社の方が高い。このため3社以外の市場シェアの合計は49%から35%に急落した。
Synergy Research Groupは主要クラウドサービスプロバイダーが発表した第2四半期の収益データを分析した結果、第2四半期のクラウド基盤サービスの収益(IaaS、PaaS、ホステッド型プライベートクラウドサービスなど)は547億ドルであり、12カ月分の収益を合計すると2050億ドルに達していると推定した。
パブリックIaaSとPaaSが市場の大半を占め、第2四半期に31%増加した。大手クラウドサービスプロバイダーの優位性はパブリッククラウドでより顕著であり、上位3社で市場の72%を占めた。地域別では、世界の全地域でクラウド市場が力強い成長を続けているという。
Synergy Research GroupのチーフアナリストであるJohn Dinsdaleは次のようにまとめた。
「クラウド市場の急成長が続く中、第2四半期の最大の話題は、クラウドの利用よりも、マクロ経済に関するものだった。各国の市場規模をドルベースで集計すると、為替変動によって年間成長率が6ポイント以上低下し、その半分以上は第2四半期だけで計上されたものだ。最新の決算発表で明らかになったように、グローバルなクラウドサービスプロバイダーは、継続的な為替レートの変動による影響を免れていない。しかし、クラウド利用の根本的な成長が、驚くべき速度で続いていることに変わりはない。このため、ハイパースケールデータセンターの新設や、データセンターのハードウェアやソフトウェアへの支出は明らかに加速している。当社の予測では、クラウド市場の全ての主要な指標において、引き続き力強い成長が見込まれている」
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