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G7で最も低いインフレ率の日本は世界的な経済環境の変化にどう立ち向かう? ガートナーが調査トップの英国は9.119%、日本は1.989%

ガートナージャパンは、世界的なインフレや景気後退が日本企業に与える変化とIT投資への影響に関する調査結果を発表した。ビジネス成長にとっての脅威は、制御不能なインフレと景気後退で、これらが日本企業に影響を及ぼしている。

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 ガートナージャパンは2023年1月11日、世界的なインフレや景気後退が日本企業に与える変化とIT投資への影響に関する調査結果を発表した。

日本のインフレ率はG7の中で最下位

 自社のビジネス成長にとって脅威となる外部環境要因について最も回答が多かったのは「長期的で、制御不能なグローバルなインフレ(原材料・製品/サービス価格上昇)圧力」で、55%(複数回答、以下同)。次いで「グローバル/地域的な景気後退」(51%)、「長期的な経済の不確実性」(46%)などが続いた。

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自社のビジネス成長にとって脅威となる外部要因は何か(提供:ガートナージャパン

 ガートナージャパンの成澤理香氏(プリンシパルリサーチャー)は、「IMF(国際通貨基金)の『World Economic Outlook Database, October 2022』によると、2022年の日本のインフレ率は1.989%となる見通しで、G7の中では最も低い。だが、今回の調査結果からは、日本企業は敏感に世界的な経済環境の変化を“脅威”と捉えていることが分かった」と述べている。

IT投資の優先順位が変わり始めている?

 同調査では、現在のマクロ経済の不確実性に対して経営企画やCFO(最高財務責任者)、財務部門から求められている対応についても聞いた。結果を見ると「集中的な業務改善」(52%、複数回答、以下同)と「支出の削減」(51%)に回答が集中していた。

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経営企画やCFO、財務部門から求められた経済不確実性への対応(提供:ガートナージャパン

 成澤氏は「調査対象者にはIT部門だけでなくユーザー部門の人も含まれているため、『支出の削減』がIT支出の削減につながるわけではない。世界的なインフレや円安の影響が強まる中、むしろ、ITの活用によって支出の削減につながる施策を積極的に取り入れようと考える企業は多い」と分析している。

 だが、IT投資についてはネガティブな結果も出ている。“集中的な業務改善”に該当するような「短期的な投資」は受け入れられているものの、成果が出るまでに時間がかかる「戦略的な取り組み」への投資を控える(投資を削減させた)企業が多かった。この点について成澤氏は、IT投資の優先順位に変更が起こっている可能性があるという。

 「DX(デジタルトランスフォーメーション)のような長期的な取り組みについても、今後投資の優先度が下がる可能性が考えられる。しかし、ビジネスのIT依存度がこれまでになく高まる中、成長や変革につながる投資を抑制することは将来的な企業の存続そのものを揺るがしかねないリスクを含んでいる。日本企業はコスト効率を上げつつアジリティ(機敏性)を高めることを意識し、景気回復後に後れを取らない投資戦略を取るべきだ」(成澤氏)

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