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異なる携帯ネットワークに対応した共通API構想「GSMA Open Gateway」が始動 提供されるAPIの内容は?開発者やクラウドプロバイダーの迅速なサービス強化、展開を支援

モバイル業界団体GSMAは「GSMA Open Gateway」構想を発表した。世界のモバイル事業者ネットワークへの共通的なアクセスをアプリケーション開発者などに提供するAPIフレームワークを規定するものだ。

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 モバイル通信事業者や関連機器、デバイスメーカーの業界団体GSM Association(GSMA)は2023年2月27日(スペイン時間)、「GSMA Open Gateway」構想を発表した。世界のモバイル事業者ネットワークへの共通的なアクセスをアプリケーション開発者などに提供するAPIフレームワークを規定するものだ。

 モバイル通信事業者21社の支持を得て開始されたこの取り組みは、APIエコノミーの世界における通信業界のサービス設計、提供方法のパラダイムシフトにつながるとGSMAは述べている。日本ではKDDIが、GSMA Open Gatewayの覚書に署名した21社に名を連ねている。

GSMA Open Gatewayで提供されるAPIの内容は

 開発者やクラウドプロバイダーはGSMA Open Gatewayにより、モバイル事業者ネットワークへのシングルアクセスポイントを通じて、より迅速にサービスを強化、展開できるようになる。これは、一貫した相互運用可能な連携フレームワークの中で、モバイル事業者ネットワークの機能をシンプルに公開する、共通のノースバウンドサービスAPIによって実現される。

 GSMA Open Gateway APIは、オープンソースプロジェクト「CAMARA」で定義、開発、公開されている。CAMARAは、異なるモバイル事業者およびクラウドアーキテクチャ間でAPIサービスを移植、再現する際の課題に対処し、開発者が拡張ネットワーク機能に容易にアクセスできるようにするためのプロジェクトだ。2022年3月に発表されたCAMARAは、オープンソースを通じたイノベーションの促進に取り組む非営利団体Linux FoundationとGSMAが共同で推進している。

 GSMA Open Gateway構想は、8つのAPIからスタートしている。その内訳はSIMスワップ、QoD(QualityOnDemand)、デバイスステータス(接続またはローミングステータス)、番号検証、エッジサイトの選択とルーティング、番号検証(SMS、二要素認証)、キャリア課金チェックアウト、デバイスロケーション(ロケーション検証)だ。2023年中にさらに多くのAPIが提供されるようになる見通しだ。

 GSMA Open Gateway APIでサポートされるサービスの例は、自律走行車の支援(エッジサイトの選択とルーティングAPI)、車両管理やインシデント報告(ロケーション検証API)、金融犯罪対策(SIMスワップAPI)、ドローン、ロボティクス、拡張現実(XR)、没入型オンラインゲームの支援(QoD API)などがある。

 2023年2月27日〜3月3日に開催されたモバイル関連展示会「MWC Barcelona 2023」では、GSMA Open Gateway APIを使用した多くのデモ展示が行われた。その幾つかの例を以下に示す。

  • Axiataの没入型コンサート体験(デバイスロケーション、キャリア課金、認証のAPIを使用)
  • 世界中のミュージシャンが参加した5G Future Forumの提供によるライブジャムセッション(エッジサイト選択APIを使用)
  • Orange、Telefonica、Vodafone、Ericsson/Vonageによる没入型ゲーム、高精細ビデオショーケース(QoD APIを使用)
  • KDDI、Telefonica、Sturfee、MawariによるXR利用のデジタルツインストア(QoD APIを使用)

 GSMAは、開発者向けのアーリーアダプタープログラムを通じて、GSMA Open Gateway APIを採用した取り組みを支援する予定だ。Microsoftの「Ignite」「Build」やAmazon Web Services(AWS)の「re:Invent」など、主要な開発者向けイベントなどを通じて同APIのプロモーションも予定しているという。

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