「光ファイバーはもう古い」 Microsoftが実運用する「2025年最優秀発明」のデータセンター網技術:銅線は「単一ラック内」で短い
Microsoftは、安価なMicroLEDを使用するデータセンター向け新通信技術を公開した。既存のレーザーベースの光ファイバーケーブルと比べて消費電力を約50%削減できると予想している。
Microsoftは2026年3月17日(米国時間)、英国ケンブリッジのMicrosoft Research Labが開発したMicroLEDを使用するデータセンター向け新通信技術を公開した。2027年後半の商用化を目指し、業界パートナーとの連携を進める。
銅線は「単一ラック内」で短い、光ファイバーは温度やほこりで性能低下
新技術の核となるのは、市販の安価なMicroLEDと、医療用内視鏡にも使われるイメージングファイバーの組み合わせだ。
従来の光ファイバーが単一のコア(光伝送部)で高速信号を送るのに対し、イメージングファイバーは内部に数千のコアを持つ。MicroLEDから発せられた光を、数千の並列チャネルを通して1本のケーブルで伝送できる点が特徴だ。
現在のデータセンターで使用される主な通信ケーブルは2種類ある。銅線ケーブルは高速で高信頼性だが、伝送距離は約2メートルに限られ、主に単一ラック内のGPU接続に使われる。光ファイバーケーブルは長距離伝送が可能だが、温度変化やほこりの影響を受けやすく、消費電力に課題がある。
MicroLEDシステムはこれらの制限を緩和し、数十メートルをカバーしながら、レーザーベースの光ファイバーより信頼性が高く消費電力も少ない。
Microsoftは、半導体メーカーMediaTekや他のサプライヤーとの概念実証(PoC)を完了し、MicroLED技術をデータセンターで現在使用されている機器と互換性のあるトランシーバーデバイスに小型化した。このトランシーバーは親指ほどの大きさだ。
シングルモードファイバーよりデータ伝送速度を最大47%高速化
Microsoftはもう一つのネットワーク革新技術「Hollow Core Fiber」(HCF:中空コアファイバー)も紹介した。HCFは光子をファイバー内ではなく中空のコアを通じて空気中で伝送するもので、既に一部の「Microsoft Azure」(以下、Azure)リージョンで実運用が始まっている。
HCFは従来のSMF(シングルモードファイバー)と比較してデータ伝送速度を最大47%高速化し、レイテンシ(遅延)を約33%低減する。Microsoftが2022年に買収したLumenisityが開発した技術で、2025年には米国『Time』誌の「年間最優秀発明」の一つに選ばれた。
MicrosoftのAzureハイパースケールネットワーキングのゼネラルマネジャーを務めるフランク・レイ氏は、「MicroLEDはデータセンター内のサーバとGPUをつなぐ役割を担い、HCFはデータセンター間の長距離接続用途に向いている」と述べる。
Microsoftは、両技術は既存のインフラを大きく変更することなく導入可能だとしている。今後はMicroLEDとHCFを相補的に活用することで、Azureクラウドサービス全体の効率化と高速化を進める方針だ。
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