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世界のAI支出は2023年に26.9%増、AI活用が進む3つのユースケースとは?IDCが予測

IDCによると、世界のAI支出は2023年に前年比26.9%増の1540億ドルとなり、2026年まで年平均27.0%のペースで増加し、2026年には3000億ドルを超える見通しだ。

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 調査会社のIDCは2023年3月7日(米国時間)、世界のAI(人工知能)支出が2023年に1540億ドルに達し、前年比で26.9%増加するとの見通しを発表した。AI支出には、AIシステム向けソフトウェア、ハードウェア、サービスが含まれる。

 IDCは、幅広い製品にAIの搭載が進むことで、2022〜2026年のAI支出の年平均成長率(CAGR)は27.0%となり、2026年のAI支出は3000億ドルを超えると予想している。

AIの活用が進む領域とは

 「規模の大小を問わず、AIの導入が遅れている企業は取り残されるだろう。AIは企業において、人間の能力を拡張し、反復作業を自動化し、パーソナライズされたレコメンデーション(推奨)を提供し、データ主導の意思決定を迅速かつ正確に行うのに最適だ」と、IDCの顧客インサイト&分析チームのシニアマーケットリサーチアナリスト、マイク・グレノン氏は指摘する。

 IDCは、9地域、32カ国、19業種にわたる36のユースケースのデータを基に、AI支出を予想している。36のユースケースのうち、2022〜2026年の支出の年平均成長率が24%を下回ると予想されるものは1つしかない。

 支出が特に多いと予想されるAIユースケースのうち、販売や顧客サービス業務に関わるものとして、「拡張型顧客サービスエージェント」「販売プロセスにおけるレコメンデーションと拡張」「プログラムアドバイザーおよびレコメンデーションシステム」が挙げられる。この3つのユースケースはほぼ全ての業界から投資を受け、2023年にはAI支出全体の4分の1以上を占める見通しだ。

 2023年のAI支出が上位に入る他のユースケースには、「ITの最適化」「拡張型脅威インテリジェンスおよび防止システム」「詐欺分析および調査」などがある。これらがサポートするタスクは多岐にわたっている。

 2023年と、2026年までのAI投資が多い上位2業種は、銀行と小売りだ。プロフェッショナルサービス、加工組立型製造業、素材型製造業がこれに続いている。

 これら5業種のAI支出合計は、2023年の全AI支出の5割以上を占める見通しだ。AI支出の2026年までの年平均成長率が最も高いと予想されるのはメディア業界(30.2%)だ。ただし、CAGRが25%に満たない業種は、19業種のうち2つのみとなりそうだ。

2023年の業種別AI支出(出典:IDC Worldwide Artificial Intelligence Spending Guide - Forecast 2023 | Feb〈V1 2023〉)
2023年の業種別AI支出(出典:IDC Worldwide Artificial Intelligence Spending Guide - Forecast 2023 | Feb〈V1 2023〉)

 「AI技術は、ユーザーと産業部門にエンパワーメント(能力向上)効果をもたらし続けるだろう。トレーニング済み大規模モデル、マルチモーダル、他の技術のサポートにより、AI機能は本番プロセス全体に大規模に適用されるだろう。将来は、政府レベルの都市問題と、全ての人に密接に関係する生活問題の両方が、AI技術の恩恵を享受するようになるだろう」と、IDCの中国エンタープライズリサーチ部門シニアマーケットアナリスト、シュエキン・チャン氏は述べている。

 地域別に見ると、米国がAIシステムの最大の市場となり、2026年まで世界のAI支出全体の5割以上を占めると予想されている。西欧は、世界AI支出の20%以上を占め、2026年までの年平均成長率は30.0%となり、AI支出の増加ペースが最も速い地域の部類に入りそうだ。中国は第3位のAI市場となるものの、成長ペースは最も遅くなる見通しだ(年平均成長率20.6%)。

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