インフラで事業をドライブする、シンプレクス「インフラ&DX推進グループ」の挑戦:シビアな要求にも応え切る
アプリケーション開発、インフラ、マネジメント。トレンドと好奇心に従ってトランスフォーメーションしてきたエンジニアが見据えるその先は――。
金融機関を始めとした顧客のビジネスを成長に導くため、コンサルティングからシステム開発、運用保守に至る全フェーズを一気通貫で担う、それが「シンプレクス」だ。
アプリケーションからインフラ領域へ最初のキャリアチェンジ
シンプレクスのインフラ&DX推進グループは、その名の通りインフラ関連のスペシャリストが集まった組織である。「金融ソリューション」と「クラウドインテグレーション」、そして社内ITの構築、運用を担う「コーポレートIT」の大きく3つのファンクションがあり、自社と顧客のDX(デジタルトランスフォーメーション)をインフラの側面から推進していくことをミッションとする。
非常に広範な役割を担う規模の大きい組織でありながら、“縦割り”とは無縁のフラットな運営が行われているのは、同グループの興味深い点である。グループを率いるエグゼクティブプリンシパルの赤本大輔氏は、「ファンクションを飛び越えた人材のアサインメントも柔軟に行われており、インフラ&DX推進グループの中でキャリアチェンジしていく人材も数多くいます」と語る。
さらにいえば、赤本氏自身もシンプレクスに入社して以来、幾度となく大きなキャリアチェンジを遂げてきた人物なのだ。
まずは赤本氏のこれまでの経歴を振り返ってみよう。2009年に新卒でシンプレクスに入社した赤本氏は、最初はFX(外国為替証拠金取引)システムの開発や運用保守などアプリケーション寄りの領域でエンジニアとしてのスキルを磨き、最終的にはシステム導入のプロジェクトマネジャーを任されるまでになっていた。
ところがその順風満帆に見えたアプリケーション領域でのキャリア形成から離れ、あえて別の道を歩むことを選択したのである。
「もともと強い興味を持っていたインフラ領域に進みたいと考えたのです。入社7年目の2016年、最初のキャリアチェンジとなりました」
FX事業者向けのプラットフォームをクラウドネイティブなインフラに刷新
2016年といえば、クラウド化の波がいよいよ金融業界にも押し寄せ始めたころだ。時代の新たなトレンドの中で高まるニーズに応えるべく、シンプレクスではAmazon Web Service(AWS)をはじめとするパブリッククラウドを活用した金融インフラの要件定義から設計、構築、運用保守まで、一貫して支援するビジネスを拡大していた。
インフラ部隊に異動した赤本氏も、そうしたクラウドインテグレーションの案件にプロジェクトリーダーとして数多く携わってきた。
最も印象に残っているのは、FX事業者向けに提供しているFXプラットフォームを、クラウドネイティブなインフラに刷新するプロジェクトだった。
「FX事業者(金融機関)の先にいる個人投資家に対してB2B2Cのビジネスモデルでサービスを提供しているもので、ミリ秒単位の低レイテンシで取引に対応するパフォーマンスを維持すると同時に、絶対にシステムをダウンさせてはならないシビアな可用性を担保しなければなりません。これまでオンプレミスで運用してきたこのミッションクリティカルな基盤を、全面的にAWSに移行することになりました」
このプロジェクトを赤本氏はインフラ側の責任者としてリードしたのである。
例えばAWSのコンテナ基盤であるAmazon ECS/AWS Fargateを活用することで拡張性と可用性を両立させた新たなアーキテクチャの設計や、IaC(Infrastructure as Code)の技術を取り入れることで必要なシステム基盤を迅速に構築できる仕組みづくりなどを自ら主導してきた。さらにAWSのマネージドサービスを活用して運用コストの最適化を図る他、アーキテクチャ刷新に伴って必要となるシステム監視のツールも整えるなど、「アプリケーションチームと連携しながら、FXプラットフォームの全方位的なモダナイゼーションを推進してきました」と赤本氏は語る。
もっとも、トントン拍子にプロジェクトが進んだわけではない。最大の難題となったのは、先にも述べた「ミリ秒単位の低レイテンシで取引に対応するパフォーマンスと共に、絶対にシステムをダウンさせない可用性を確保する」という条件だ。
AWSから提示されたのは「マルチAZ(アベイラビリティゾーン)でインフラを冗長構成とすることで可用性を確保する」というベストプラクティスだが、これでは物理的に距離が離れたAZ間で通信遅延が発生するため、必要な性能要件を満たすことができない。
そこでアプリケーションとインフラの両面からこの課題解決に取り組んだ。
「AWSの金融担当シニアソリューションアーキテクトにもプロジェクトに参画していただき、ベストプラクティスを踏襲しつつわれわれの要件を満たすことができる新たなアーキテクチャを共同で設計しました」
これによってFXプラットフォームは、オンプレミス時代とほぼ同等の可用性と性能を確保しつつ、時代のニーズに柔軟に応えるクラウドネイティブなサービスを提供可能な基盤へと生まれ変わることができたのである。
本格的なマネジメントへシフトし、見えてきたシンプレクスの強み
数々のプロジェクト経験を重ねてきた赤本氏が満を持して向かったのが、新たなキャリアチェンジだ。それは本格的なマネジメントへのシフトであり、2021年に現職のインフラ&DX推進グループのトップに就任した。
「これまでのようにプロジェクト単位ではなく、全社的な観点から“今やらなければならないこと”を考え、金融ソリューション、クラウドインテグレーション、コーポレートITの3つのファンクションをまたいだ施策を推進していく立場となりました」
以前にも増して大きな責任を背負うようになったが、その分これまでとは違った角度から自社の強みも見えてきたという。
「シンプレクスという会社の特長を一言で表すならば、『新しいテクノロジーへの投資を惜しまない会社』です。テクノロジーやアーキテクチャといったものは、放っておくとどんどん陳腐化、老朽化していきます。従って時代の変化に合わせて刷新し続けていく必要があり、そこにお金をかけるべきと考えています。シンプレクスは決してシステムを塩漬けにすることはありません」
実際、先に紹介したFXプラットフォームの他にも、さまざまなシステムのモダナイゼーションが進められている。
例えばシンプレクスがもともと強みとしてきた金融領域の事業から出て最初に取り組んだ新規事業である保険領域では、AI搭載型の保険ソリューションをフルクラウドで提供。マイクロサービス化もいち早く推進し、デジタル変革に挑む生命保険会社や損害保険会社のDXを支援している。またWeb3領域では、ウォレットやセキュリティトークン、NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)などの最新テクノロジーを取り入れたソリューション開発にも取り組み、事業の幅を広げている。
「われわれの強みを突き詰めれば、自分たちで作り上げたソリューションを、自ら保有して運用し、多くのお客さまにサービス型で提供していくといった、ある種の事業会社に近しい側面を持っていることにあります。これは他のSIerとは一線を画したシンプレクスの特長であり、だからこそ自分たちの意思決定に基づいて新たなテクノロジーに投資し、さまざまなシステムやインフラのモダナイゼーションに臨むことができるのです」
金融だけにとどまらないあらゆる領域へソリューションを展開していく
そんなシンプレクスならだからこそ、エンジニアが活躍できるフィールドは幅広い。そして金融以外の業界にもビジネスを着実に広げている。
シンプレクスの代表取締役社長である金子英樹氏は、ビジネスとテクノロジーに精通したプロフェッショナルがワンチームとなり戦略から設計、開発、運用保守の全てに責任を持って一気通貫で提供する「Simplex Way」をシンプレクスのビジネススタイルとして貫いてきた。
シンプレクスが長年にわたり追求し続けてきたこのSimplex Wayがまさに今、広い業界で開花、結実し始めているのだ。特に近年の動きとして目立っているのが、多くの企業がDX推進やデータドリブン経営を目指す中で必須となるデータ活用に関する案件だ。
一般的なSIerでは、仮にそうした案件を受けたとしても、基盤構築やツール導入でとどまってしまうケースがほとんどだ。これに対してシンプレクスでは、ビジネスに対してデータをどのように活用すれば良いか、そのためにはどういうデータが必要か、それをどのように集め、分析し、そこからどのようなインサイトを導き出すのか、最終的に新たなビジネス価値を生み出すまでの一連の取り組みをワンストップで支援しているという。
このようにシンプレクスが提供するソリューションの幅は非常に広く、「最上流のコンサルティングからデータアナリティクス、クラウドインテグレーション、アプリケーション開発、運用保守まで、あらゆる人材が活躍できる場がシンプレクスにはあります」と赤本氏は強調する。
しかもそれらの人材類型(職種)の間に“壁”や“境目”があるわけではない。ある案件でコンサルティングフェーズを担当したエンジニアが、その後クラウド基盤を設計・構築し、顧客を一番良く知るメンバーとしてそのまま運用フェーズを担当することもある。また、全く別のプロジェクトやチームから若手を抜てきし、新たなテーマにチャレンジさせるといった人材育成のローテーションも活発化している。
「そんな企業文化をもったシンプレクスだからこそ、私自身もキャリアチェンジを重ねながら成長することができました」と赤本氏は語り、「シンプレクスの哲学やスタイルに共感してくださり、一緒に新たな時代のビジネスを生み出していきたいという思いを持つ人に、ぜひ私たちの仲間に加わってほしいと思います」と呼びかけた。
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提供:シンプレクス株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2023年4月24日