2026年には約3000億ドル 世界各国がセキュリティソフトウェアへの投資を加速させる理由:最も支出が増えるのは米国
IDCは「Worldwide Security Spending Guide」を発表した。2023年のセキュリティ支出を2190億ドルと見込んでおり、特にソフトウェアへの支出が増えると予測している。
IDCは2023年3月16日(米国時間)、「Worldwide Security Spending Guide」を発表した。それによると2023年のセキュリティソリューションとサービスへの支出は2022年比で12.1%増の2190億ドル、サイバーセキュリティに関連するハードウェア、ソフトウェア、サービスへの投資は、2026年には約3000億ドルに達する見込みだ。
ソフトウェアの支出は2023年の全セキュリティ支出額の約半分を占める
IDCのSerena Da Rold氏(Data & Analytics アソシエイトリサーチディレクター)は、「セキュリティ製品およびサービスに対する支出は、IT支出全体の伸びを上回り続ける。クラウドやコンテナの導入拡大、リソースへのリモートアクセスの安全性確保、プライバシーやデータ保護に関する法規制のコンプライアンス要件などを背景に、ほぼ全ての業界と企業規模で大幅に成長するだろう」と述べている。
同社はセキュリティを幾つかの技術グループに分けて分析している。その中で、2023年で最も支出が多くなると予測されているのが“ソフトウェア”だ。
同社によると、セキュリティ関連ソフトウェアの支出は2023年の全セキュリティ支出額の約半分を占めるという。エンドポイントセキュリティが主要なソフトウェアカテゴリーとなり、アイデンティティーとデジタルトラストソフトウェア、サイバーセキュリティ分析、インテリジェンス、レスポンス、オーケストレーションソフトウェアがそれに続くとIDCは予想している。
“サービス”についてはマネージドセキュリティサービスのカテゴリーを筆頭に、2番目に大きな技術グループとなり、2023年度は420億ドルの支出が見込まれている。“ハードウェア”は、ネットワークセキュリティアプライアンスに集中する見込みだ。
地域別で見ると、2023年のセキュリティ支出が多い順に、米国、西ヨーロッパ、中国となっている。米国では、主にディスクリート製造業(部品の製造組み立てを行う製造業)と専門サービス業への投資が増加し、西ヨーロッパについては銀行業とディスクリート製造に投資が集中するという。
IDC EuropeanのStefano Perini氏(Data & Analytics シニアリサーチアナリスト)は「欧州のITセキュリティ支出総額は、予測期間中10%以上の成長を続けるだろう。この支出は、特にセキュリティ分野の能力が低い組織が、その地域の地政学的状況によって悪化したランサムウェア攻撃の脅威からデータと資産を保護するために活用される」と分析している。
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