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AIのリスクについてマーク・アンドリーセン氏が持論を展開、最大のリスクにも言及

以前、「ソフトウェアが世界を席巻(せっけん)する」との予言で大きな注目を集めた投資家のマーク・アンドリーセン氏が、議論の的になっているAIのリスクをテーマとした、約7000ワードの長文コラムを公開した。

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 「人類に最大の恩恵を与える方法で、デジタルインテリジェンスを進化させること」「人工知能の研究成果を広く公開し、一部による支配を防ぐこと」を目的として2015年に設立されたOpenAI。同社が生み出したChatGPTは世界中を驚かせると同時に、AIのリスクについての激しい議論を巻き起こしている。共同創業者でCEO(最高経営責任者)のサム・アルトマン氏は、政府や国際機関の動きに先手を打つかのように、AI企業のライセンスや監査が必要だと主張している。

 一方、過去50年にわたりディープラーニングの発展に大きく貢献し、「AI界のゴッドファーザー」とも呼ばれるジェフリー・ヒントン氏は、「AIのリスクについて自由な立場で発言できるように」Googleでの職を退いた。同氏は、AIが人の仕事を奪い、強力な戦争兵器ともなり、長期的には人間がコントロールできない存在になると考えている。

 AIのリスクは専門家・非専門家を巻き込んだ、深刻なテーマとなっている。

 こうした中、投資家のマーク・アンドリーセン氏が2023年6月6日(米国時間)、AIのリスクに関するコラムを発表した。同氏はMOSAICブラウザの開発とNetscape Communicationsの共同創業で知られ、その後ベンチャーキャピタル企業Andreessen Horowitzの共同創業者/ジェネラルパートナーとなっている。

 同氏が2011年に書いたコラム「Why Software Is Eating the World(「ソフトウェアがなぜ世界を席巻(せっけん)するのか」といった意味)」は大きな注目を浴びた。今回のコラムのタイトルは「Why AI Will Save the World」。AIの規制や開発中止を訴える主張のほとんどを否定している。

アンドリーセン氏のAIリスクについての反論

 アンドリーセン氏は「私たちにとって重要な全てをより良いものにする」のがAIだとする。

 「AIは、人類の文明が生み出したおそらく最も重要で、最高の存在だ。電力やマイクロチップの登場と十分に肩を並べ、おそらくこれらを超える」(アンドリーセン氏、以下同)

 その上で、「AIは人の仕事を奪う」「悪事を助長する」「人類に害を及ぼす」などの懸念への反論を試みている。

有害な出力のリスク

 これについては、ソーシャルメディアに関する議論と同じだとアンドリーセン氏は言う。完全な言論の自由などあり得ない。どんな社会にも言論の自由の対象外とされるコンテンツがあり、AIも同じ規制の対象になるとする。

 「『社会にとって善となるコンテンツを生成するように仕向け、悪となるコンテンツを禁止しろ』と言う人がいるが、思想警察にAIを抑圧させてはいけない」

人の仕事を奪うリスク

 これについては、 逆にAIが雇用の増加と賃金の上昇につながるとアンドリーセン氏は主張する。

 「AI によって生産性が向上する。結果として商品・サービスの価格が低下する。そのことで、人々の実質的な購買力は高まる。需要が喚起され、生産活動が活発化する。新たな産業と雇用の創出で、(いったんAIに)仕事を奪われた人は 新たな仕事を得ることになる」

悪事を助長するリスク

 アンドリーセン氏は、これには賛同している。

 「犯罪者やテロリスト、敵対国家にとって、悪事を働くのが容易になることは明らかだ。あらゆるテクノロジーが、良いことにも悪いことにも使える。 だからといってAIを禁止するということにはならない」

 対策としては、既存の法律を活用するとともに、AIを使って対抗すべきだとする。

 「AIは、サイバーディフェンス、テロリストのあぶり出しなど、コミュニティーや国の安全性を高めるために、(積極的に)活用すべきだ」

AIに関する最大のリスクは西側諸国が負けること

 怖いのは、西側の自由主義国家だけでなく、中国共産党もAIの開発を推進していることだとアンドリーセン氏は書いている。

 「中国(政府)は私たちとは大きく異なる考え方を持っている。権威的な人民コントロールのためのメカニズムとしてAIを見ている。AIに関する最大のリスクは、中国が世界的な優位を勝ち取り、米国や西側諸国が負けることだ」

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