厳しいのは従来型のIT管理? IDCが仕事の激減するIT職種と、増えるIT職種を予測:「ソフトウェア開発作業の一部を含む、技術に特化した役割への移行を迫られる」
IDCは、クラウドプラットフォームの採用拡大が、ITチームのデプロイメントモデルを大きく変化させていると指摘。2027年までの今後5年間で従来型のIT運用やシステム管理者の需要が減少すると予測した。
IDCは2023年6月5日(米国時間)、2027年までの今後5年間でIT専門家にどのような変化が起きるか予測したレポート「Worldwide xOps Census and Forecast」を発表した。
IDCは、過去10年間におけるモダンな開発テクノロジー、クラウドプラットフォーム、「As A Service」の融合トレンドが、IT専門家の担う役割や活動に劇的な変化をもたらしてきたと指摘しており、こうした融合が生産性を大幅に向上させる可能性があると述べている。
IT専門家の役割を8種類に分類、今後求められるのは?
IDCは、現在のIT専門家に求められる役割を8つに分けてそれぞれの定義を解説し、今後のIT専門家に求められる役割を予測した。
- DataOps:一貫したデータ価値の提供を目的とし、自動化やアジャイルソフトウェア開発の手法を取り入れている
- DevOps:広範な開発パイプラインの自動化、テスト、インフラストラクチャ設定、プロビジョニング、セキュリティ統制、ライフサイクルにわたる継続的なCI(継続的インテグレーション)とアジャイルなアプローチを活用している
- DevSecOps:DevOpsにおけるデプロイパイプラインでより早い段階からセキュリティを優先すべきであるという方法論に従い、DevOpsチームはセキュリティチームとの連携の上で、セキュリティポリシーの定義と実装における主要なステークホルダーとしての役割を担う
- ITOps:ITシステムに関連する定期的なスケジュールタスクと予定外のサポート活動に従事する。ITOpsの専門家は、サポート、要件の引き出し、予定外のビジネスタスク実行のためのビジネス部門との調整で最大50%の時間を費やすことがある
- MLOps:自動化技術と手法を駆使して、機械学習(ML)のライフサイクル全体を合理化する。MLデータとパイプライン、MLコード、データの取り込みからモデルのデプロイ、追跡、監視などMLモデルの管理と自動化も含まれる。MLOpsはDevOpsの原則に近い概念だ
- Platform Engineering:セルフサービス機能の提供を目的とし、ソフトウェアデリバリーのプロセスを管理したり最適化したりするためのツールチェーンとワークフローを設計し、構築する
- Site Reliability Engineering(SRE):IT運用作業を自動化するスクリプトを構築するソフトウェアエンジニアが含まれる。効率と信頼性を確保するため、SREチームは運用上のバグを修正し、定型的な手作業を削減する
- システム管理者:使用されるシステムまたはシステム群に適した各種ツールと手法を使用してシステムおよびシステム群を維持管理する役割を担う。システム管理者は、主要な要件、ビジネス目標についてビジネス部門と調整することが多く最大50%の時間を費やすことがある
2027年までの今後5年間で、純粋な運用を担うIT専門家はより技術的または特化した役割への移行を迫られることになるという。この役割には、ソフトウェア開発作業の一部も含まれる。IDCは、従来型のIT運用やシステム管理者の役割について、年間平均成長率(CAGR)がそれぞれ-8.2%と-7.8%減少すると予測した。一方、DataOpsやMLOpsのCAGRはそれぞれ17.9%と20.1%の成長を予測している。
IDCは、増大するアプリケーションに対する脅威や競争優位を保つためのソフトウェア開発能力への依存、ソフトウェア開発においてセキュリティをいち早く取り入れコスト削減や品質向上を目指すという認識の高まりにより、DevOpsやDevSecOpsは2桁の成長率が見込まれるという。一方、DevOpsはPlatform Enginneeringの成長により減速する可能性もあるとした。
IDCは、商用インターネットの普及や.comバブルにより、Web開発者やネットワーキング専門家の大量雇用につながった1997年〜2002年に匹敵する変化だと述べている。
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