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オープンソースのWebIDE「JupyterLab 4.0」公開 レンダリングの効率化などでパフォーマンス向上「PyPI」「conda-forge」で利用可能

Jupyter Notebookの次世代バージョンであるJupyterLabの最新メジャーバージョン4.0が公開された。レンダリングの効率化、リアルタイムコラボレーション機能の分離によりパフォーマンス向上を実現しているという。

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 Project Jupyterは、「Jupyter Notebook」の後継として提供されている統合開発環境(IDE)の最新メジャーバージョン「JupyterLab 4.0」を発表した。

 JupyterLab 4.0はPyPIとconda-forge経由で入手でき、利用者は以下のコマンドを実行してアップグレードできる。JupyterLabドキュメントも4.0の変更点が反映されている。

pip install --upgrade jupyterlab
conda install -c conda-forge jupyterlab

JupyterLab 4.0の新機能

パフォーマンスの向上

 CSS ルールの最適化、CodeMirror 6、MathJax 3、ノートブックウィンドウ処理などの改善により、JupyterLabの動作が改善された。Webブラウザのビューポートに収まるノートブックの部分のみをレンダリングするため、大きなノートブックを操作する場合、JupyterLab 3よりもはるかに効率的になった。これはオプトイン機能として実装されており、設定に応じてパフォーマンス向上が可能だ。

 Chromiumブラウザでのタブ切り替えを高速化するには、設定画面にある「JupyterLab Shell」の「非表示モード」を「contentVisibility」に変更する。長いノートブックでのパフォーマンスを向上させるには、設定画面にある「ノートブック」の「ウィンドウ モード」を「フル」に変更する。

テキストエディタのアップグレード

 セルおよびファイルエディタに使用されるテキストエディタがCodeMirror 6に更新された。これによりアクセシビリティーとパフォーマンス、カスタマイズ機能が強化された。また、エディタの設定も改良され、より強力かつ柔軟になった。

リアルタイムコラボレーション(RTC)

 RTCを別のパッケージ(jupyter_collaboration)に移行し、バージョン1.0.0の提供を開始した。複数のカーソルと選択を表示したり、新しい種類のデータモデルをリアルタイムで他のユーザーと共有したりできる。JupyterLab 4でRTCを使用したい場合は、jupyter_collaborationのインストールが必要だ。

新しい拡張機能マネジャー

 JupyterLab 4の拡張機能マネジャーには、ビルド済みのPython拡張機能とpypi.orgからの拡張機能の両方が含まれている。PyPIからインストールすることで、拡張機能マネジャ-を使って拡張機能をインストールする際にビルドする必要がない。開発者は代替のパッケージリポジトリを提供することで、独自の拡張機能のセットを表示できる。

ドキュメント検索の改善

 ノートブック内での検索と置換機能が改善された。レンダリングされたマークダウン、セル内の一致のハイライト表示、現在の選択範囲での検索、複数行の検索、正規表現のキャプチャー、グループ参照を使用した置換、大文字と小文字を保持したままの置換が含まれる。

UIの改善

 実行中のカーネルセクションの見直し、ノートブックの下部にある「新しいセルを追加」ボタン、クラシックノートブックのようにキーボードショートカットを表示するダイアログ([Ctrl]+[Shift]+[H]を使用)、折りたたまれたセルの入出力の最初の行の表示など、UIが改善された。

アクセシビリティーの改善

 ファイルブラウザでのフォーカスとキーボードナビゲーションの改善、UI要素のARIAロールとラベルの追加、スペースが原因で全ての項目が表示されない場合、メインメニューが折りたたまれハンバーガーメニューとして表示されるようになった。

開発ツールの更新

 開発ツールは、TypeScript v5、Yarn v3、React v18およびLumino v2に更新された。Node.js v18またはそれ以降のバージョンを使用することで少なくとも2023年末まで更新が継続される。

バグの修正

 100を超えるバグの対処、解決を行い、JupyterLabの安定性とパフォーマンスが向上した。

 JupyterLab 4の機能のうち、幾つかはJupyterLab 3.6にも実装されている。ただし、3.5以前のバージョンからアップグレードしている場合は、以下の機能も更新される。

  • デュアルモード設定エディタ:JSON エディタとReact JSONスキーマで構築された新しいユーザーフレンドリーな対話モードが提供されるようになった。直感的なUIであらゆるスキルレベルのユーザーがカスタマイズ可能になった
  • セルツールバー:セルツールバーはセルを素早く操作(コピー、移動、挿入、削除)するためのグラフィカルインタフェースで、ホットキーやドロップダウンメニューによる編集に代わるものである。セルツールバーは現在のセルに表示される
  • 通知:JupyterLabは、リアルタイムなアナウンス、アラート、アップデートをJupyterLabや拡張機能を通じて提供する。これにより、JupyterLabの応答性が向上し、進行中のプロセスについて常に情報を得られる。また、新バージョンの通知を含むJupyterLabチームからのアナウンスは無効にすることも可能だ

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