「Kubernetes」の仮想マシン管理アドオン「KubeVirt v1.0」が公開:Kubernetes上の仮想化ソリューションの共通基盤を提供
「Kubernetes」の仮想マシン管理アドオンの正式版「KubeVirt v1.0」が公開された。
Cloud Native Computing Foundation(CNCF)は2023年7月11日(米国時間)、「Kubernetes」の仮想マシン管理アドオンの正式版「KubeVirt v1.0」を公開したと発表した。Kubernetesは、コンテナ化されたサービスの設定や管理を自動で行うオープンソースのコンテナオーケストレーションツール。KubeVirtは、Kubernetes上の仮想化ソリューションの共通基盤を提供することを目的としている。
KubeVirtは、Kubernetesを導入した、または導入したいと考えているが、コンテナ化が容易でない既存の仮想マシン(VM)ベースのワークロードを抱えている開発チームのニーズに応えるオープンソース技術だ。開発者がアプリケーションコンテナ内のアプリケーションと、VM内のアプリケーションの両方を、共通の共有環境で構築、変更、デプロイ(展開)できる統合開発プラットフォームを提供する。
KubeVirtにより、以下が可能になる。
- KubeVirtとKubernetesを利用して、コンテナ化が困難なアプリケーションのVMを管理する
- 既存の仮想化ワークロードと新しいコンテナワークロードを1つのプラットフォーム上で組み合わせる
- 既存の仮想化アプリケーションとやりとりする、コンテナ内の新しいマイクロサービスアプリケーションの開発をサポートする
KubeVirtの仕組み
KubeVirtは基本的に、Kubernetesの「Custom Resource Definitions API」(カスタムリソース定義API)を通じて追加の仮想化リソースタイプ(特に、VMタイプ)を追加することで、Kubernetesを拡張する。このメカニズムにより、Kubernetes APIを使って、Kubernetesが提供する他の全てのリソースとともに、これらのVMリソースを管理できる。
VMを起動するには、リソースそのものだけでは不十分であり、その機能とビジネスロジックをクラスタに追加する必要がある。この機能は、Kubernetes自体に追加されるのではなく、既存のクラスタ上で追加のコントローラーとエージェントを実行することで、Kubernetesクラスタに追加される。
必要なコントローラーとエージェントは、KubeVirtが提供する。
現時点では、KubeVirtは以下のように宣言的に使用する。これらの操作のデモ動画が公開されている。
- 定義済みのVMを作成する
- KubernetesクラスタでVMをスケジューリングする
- VMを起動する
- VMを停止する
- VMを削除する
KubeVirtはKubernetesのリリースモデルに従い、アップデートが年3回リリースされる。CNCFは、Kubernetesにできるだけネイティブな形で、仮想化ユーザーを支援する機能を追加、改善していくと述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 2025年までに市場進出戦略組織の35%に「生成AI運用チーム」 Gartnerが予測
Gartnerは、最高収益責任者(CRO)の35%が、2025年までに市場進出戦略(GTM)組織に生成AI運用チームを設置すると予測した。 - AWS、1億ドルを投資した生成AI支援プログラム「AWS Generative AI Innovation Center」を開始
AWSは1億ドルを投資し、AWS Generative AI Innovation Centerプログラムを開始した。これは顧客の生成AIソリューションの構築と導入支援を目的としており、AWSのML、AI分野のエキスパート、パートナー企業とともに顧客を支援する。 - 「具体的に何をしたいのか」に合わせ、最適なAI活用基盤を構築するサービスをデロイト トーマツが提供開始
デロイト トーマツ コンサルティングは、ユースケース別に企業のAI活用を支援するワンストップサービスの提供を開始した。データ収集から分析基盤の整備、アプリケーションの導入、運用までを支援するサービスを提供するという。