2025年までに市場進出戦略組織の35%に「生成AI運用チーム」 Gartnerが予測:買い手向けコンテンツ制作が活発に
Gartnerは、最高収益責任者(CRO)の35%が、2025年までに市場進出戦略(GTM)組織に生成AI運用チームを設置すると予測した。
Gartnerは2023年6月22日(米国時間)、最高収益責任者(CRO)の35%が、2025年までに市場進出戦略(GTM)組織に生成AI(人工知能)運用チームを設置するとの予測を発表した。
生成AIによる速くて深い洞察は、GTMチームが買い手向けコンテンツを作成し、市場勢力に適応するスピードを加速させる。Gartnerは、営業の意思決定の信頼性を向上させたり、エンドツーエンドの収益成果の改善したりできると考察する。
2023年5月にGartnerが1204人のセールス担当者を対象に実施した調査によると、売り手は営業プロセス全体でバリューメッセージの作成と提供に52%の時間を費やしている。生成AIによる買い手向けのメッセージ作成とコンテンツのために生成AIの力を活用する能力は、売り手が質の高いコンテンツを作成して発信するのにかかる時間を大幅に短縮する。
Gartnerのセールス部門シニアディレクターアナリストであるダン・ゴットリーブ氏は「全ての案件で買い手ごとにカスタマイズされたバリューストーリーを提供することは、売り手にとって大きな負担だ。生成AIを、売り手の創造性および説得力のあるデータと戦略的に組み合わせることで、現場の売り手はよりよいメッセージをより迅速に作成できる」と述べている。
生成されるバリューメッセージの営業における5つの要素
Gartnerは、生成AIでバリューメッセージを制作する際の運用フレームワークも発表した。このフレームワークは、営業責任者が意図的な生成AI活動のリソースを確保するためのロードマップを提供し、パーソナライズされた説得力のあるメッセージのメリットを活用するだけでなく、リスクの軽減や管理を支援する。
フレームワークは次の5つの要素で構成されている。
- バリューメッセージ:B2Bセールスにおけるメッセージとストーリーテリングの戦略
- 生成系収益テック:生成AIを搭載したセールス&マーケティング技術
- 生成AIのオペレーション:生成AIデータとシステムの管理およびチューニング
- メッセージワークフロー:生成AIによるメッセージワークフローの設計と運用
- メッセージインサイト:メッセージの分析とバイヤーの活性化
生成AI運用の最前線にいるのは、メッセージの戦略家、つまりメッセージプログラムの設計を担当する社内のクリエイターだ。こうした人たちの役割には、生成AIモデルのファインチューニングやコンテンツモデレーションポリシーの維持などが含まれ、生成されるバリューメッセージを提供する。Gartnerは、2025年までにB2Bの収益組織の45%が、メッセージ専門家の職務記述書に「プロンプトエンジニアリング」を必須スキルとして記載すると予測している。
ゴットリーブ氏は「生成されるバリューメッセージを採用することで、CROはトップライン成長のための営業遂行能力を向上させ、営業コストを削減するリソースの効率化を推進する。そして、これまでは人間だけがコンテンツを作成するという制約に縛られていたが、今後はより特別なコンテンツを作成できるようになる」と述べている。
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