Oracle、「MySQL」最初の“イノベーションリリース”「MySQL 8.1.0」を公開：MySQLの新しいリリースモデルが始動

Oracleは、「MySQL」の「イノベーションリリース」の最初のバージョン「MySQL 8.1.0」と、マイナーバージョン「MySQL 8.0.34」を公開し、これに合わせてMySQLの新しいリリースモデルを公式ブログで解説した。

[＠IT]

　Oracleは2023年7月18日（米国時間）、「MySQL」の「イノベーションリリース」の最初のバージョン「MySQL 8.1.0」と、マイナーバージョン「MySQL 8.0.34」を公開し、これに合わせてMySQLの新しいリリースモデルを公式ブログで解説した。

　MySQLは、オープンソースのリレーショナルデータベース管理システム（RDBMS）。MySQLの新しいリリースモデルは、MySQLを利用する顧客やユーザーの声に応えて、2023年3月開催の「MySQL Summit」で発表された。

　MySQLの新しいリリースモデルでは、イノベーションリリースと「ロングタームサポート（Long-Term Support：LTS）リリース」の2本立てとなる。どちらのリリースも本番グレードの品質だが、以下のような違いがある。

イノベーションリリース

　最新のイノベーションを導入して3カ月ごとにリリースされる。リリース後、次のマイナーリリース（イノベーションまたはLTS）までサポートされる。バグ修正、セキュリティパッチ、新機能が含まれる。

LTSリリース

　長期的な安定稼働を支えるために、リリースから8年間、新機能を追加せずにバグ修正やセキュリティパッチの提供のみが行われる（5年間のプレミアムサポートと3年間の延長サポート）。2年ごとにリリースされる。

新しいリリースモデルへの移行

　MySQLの新しいリリースモデルへの移行は、次のバージョンで開始される。MySQL 8.0は、2026年4月にサポートが終了することになっており、今回リリースされたMySQL 8.0.34はそれまで、バグ修正のみが行われ、8.0.35、8.0.36、8.0.37などがリリースされる。

　一方、今から約1年後に、MySQL 8.xがLTSリリースとなる。このため、MySQL 8.0.xから、8.xのLTSリリースへの移行には、十分な時間をかけられる。

　この移行期間中に、MySQLの最新機能、改善、全てのバグ修正が必要な場合は、イノベーションリリース（8.1.x、8.2.x、8.3.xなど）を使用し、MySQLのバグ修正のみが必要な場合は、8.0.xリリース（8.0.35、8.0.36、8.0.37など。「バグフィックスリリース」とも呼ばれる）を使用することになる。

MySQLの今後のリリース

　Oracleは、新しいリリースモデルに基づくMySQLの今後のリリース予定を、次のように図示している。ただし、これは例であり、バージョン番号がこの図の通りになるとは限らないとしている。

• MySQL 8.0.34+は、MySQL 8.0のサポートが終了する2026年4月まで、バグ修正のみが行われる（赤）
• イノベーションリリース（グレー）は、四半期ごとにリリースされる
• LTSリリース（青）は、約2年ごとにリリースされる

MySQLの今後のリリース（提供：Oracle）

2つのリリースはどんな環境に適しているか

　Oracleは、イノベーションリリースとLTSリリースがそれぞれ適している環境について、以下のように説明している。

イノベーションリリース

　最新機能や強化機能を利用したい場合や、最新の技術を常に利用したい場合に最適かもしれない。また、高度な自動化や最新のCI（継続的インテグレーション）を導入した、ペースの速い開発環境で作業する開発者やデータベース管理者に最適だ。

LTSリリース

　確立された動作が必要な環境に適している。必要な修正のみが含まれているため、データベースソフトウェアの動作変更に伴うリスクを軽減できるからだ。

　なお、イノベーションリリースは通常、バグ修正やセキュリティパッチが次のイノベーションリリースで提供される。このため、イノベーションリリースを使用する場合は、定期的に最新のイノベーションリリースにアップグレードする必要がある。

　また、OracleのMySQLクラウドデータベースサービスである「MySQL HeatWave Database Service」では、8.1.0から始まるイノベーションリリースと、8.0.34から始まるバグフィックスリリースから選択できるようになった。