Pixar、Appleなどが3Dエコシステムの標準化に向けて「Alliance for OpenUSD」を創設:「OpenUSD」による3Dコンテンツの相互運用性向上を促進
Pixar、Adobe、Apple、Autodesk、NVIDIAは、Pixarの「Universal Scene Description」技術の標準化、開発、進化、成長を促進するため、非営利団体「Alliance for OpenUSD」(AOUSD)を創設した。
Pixar、Adobe、Apple、Autodesk、NVIDIAは、Linux Foundationの傘下組織Joint Development Foundation(JDF)とともに2023年8月1日(米国時間)、Pixarの「Universal Scene Description」技術の標準化、開発、進化、成長を促進するため、非営利団体「Alliance for OpenUSD」(AOUSD)を創設したと発表した。
Linux Foundationは、オープンソースソフトウェア(OSS)を通じたイノベーション促進を目指す非営利団体。Joint Development Foundation(JDF)は、組織が技術仕様、標準、データセット、ソースコードを開発するための法人インフラや法務インフラを提供している。
AOUSDは、「Open Universal Scene Description」(OpenUSD)の機能を発展させ、3Dエコシステムを標準化することを目指す。3Dツールやデータの相互運用性向上を促進することで、開発者やコンテンツ制作者が大規模な3Dプロジェクトの記述、構成、シミュレーションを行い、3D対応の幅広い製品やサービスを開発できるようにする。
Pixar Animation Studiosが開発したOpenUSDは、高性能な3Dシーン記述技術であり、ツール、データ、ワークフローにわたって堅牢(けんろう)な相互運用性を実現する。「ユーザーが共同作業の中でアート表現を取り込み、映像コンテンツの作成を効率化できることが知られており、OpenUSDはそのパワーと柔軟性のおかげで、新しい産業やアプリケーションのニーズに対応できる理想的なコンテンツプラットフォームとなっている」(AOUSD)
AOUSDは、OpenUSDの機能を詳細に記述した仕様を作成する。これにより、互換性を高め、より広範な採用、統合、実装を可能にし、他の標準化団体が仕様にOpenUSDを取り込めるようにする。
AOUSDはJDFの傘下組織であり、そのプロジェクトは、「Ultra Ethernet Consortium」「Alliance for Open Media」「Coalition for Content Provenance and Authenticity」「Overture Maps Foundation」などのプロジェクトと同様に、JDFのインフラでホストされている。
AOUSDがこうした体制で創設されたのは、JDFがOpenUSD仕様のオープンで効率的かつ効果的な開発を可能にするとともに、国際標準化機構(ISO)による承認への道筋を提供するからだ。
AOUSDは、業界全体でOpenUSDの拡張を共同で定義するための主要なフォーラムも提供する。OpenUSDに関する取り組みに参加する企業や組織を広く募っている。
Pixarの最高技術責任者(CTO)で、AOUSDのチェアパーソンを務めるスティーブ・メイ氏は、次のように述べている。「Universal Scene DescriptionはPixarで発明され、われわれの最新のアニメーションパイプラインの技術的基盤となっている。われわれは2016年にこのプロジェクトをオープンソース化し、今やOpenUSDの影響力は映画、視覚効果、アニメーションの枠を超えて、企業間で3Dデータをやりとりして活用する他の業種にも広がっている。われわれはAOUSDの創設により、OpenUSDの技術としての継続的な進化、そして国際標準としての確立というエキサイティングな次のステップへと踏み出した」
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