「ローカルブレークアウト」に注目する企業が市場をけん引 IDCが国内SD-WAN市場予測を発表:2027年の市場規模は約1.9倍に
IDC Japanは、国内SD-WAN市場の予測を発表した。2022年の市場規模は、対2021年比34.8ポイント増の117億5100万円。2022〜2027年の年間平均成長率は13.9%で、2027年の市場規模は2022年の約1.9倍に当たる225億300万円になると予測する。
IDC Japanは2023年9月28日、国内SD-WAN(Software-Defined Wide Area Network)市場の予測を発表した。2022年の市場規模(支出額)は、対2021年比で34.8ポイント増の117億5100万円。同社は2022〜2027年の年間平均成長率(CAGR)が13.9%で推移するとみており、2027年の市場規模は2022年の約1.9倍に当たる225億300万円になると予測する。
企業ネットワークの再構築が進行中
2022年は従業員のオフィス回帰が進み、Web会議をはじめとするさまざまなSaaS(Software as a Service)のトラフィックが企業拠点内に持ち込まれ、WANの負荷が高まった。そうした中、WANの逼迫(ひっぱく)を避けるため、SD-WAN機器の「ローカルブレークアウト」機能によってトラフィック経路を分離する用途での採用が拡大したとIDC Japanは分析している。
IDC Japanによると、特に大企業で、拠点やクラウド、テレワーカーをつなぐ企業ネットワークの再構築を進める動きがあるという。こうした大規模ネットワークを再構築する需要と、SMB(中堅中小企業)を中心とする拠点のローカルブレークアウトとセキュリティの一体的な運用への需要を背景に「2023年以降の市場は成長が継続する」と予測している。
IDC Japanの水上貴博氏(Infrastructure & Devices シニアマーケットアナリスト)は、「拠点トラフィックの増大というユーザー企業が認識しやすい課題に、費用対効果を高く対処できるローカルブレークアウトは、SMBだけでなく大企業でも注目され、短期的にSD-WAN市場の成長をけん引している。今後、SD-WAN市場がさらに成長するためには、大企業を中心とする、デジタルファースト時代に適した企業ネットワークを再構築する需要の獲得が不可欠だ」と述べている。
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