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macOS専用のコンテナ、Kubernetes管理プラットフォーム「OrbStack 1.0」公開個人利用なら無料、「Docker Desktop」の代替をうたう

Orbital Labsは、Mac上でKubernetesやLinux VMが実行できる「OrbStack 1.0」を公開した。

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 Orbital Labsは2023年9月21日(米国時間)、OrbStack 1.0の提供を開始したと発表した。Orbital Labsは、OrbStackでKubernetesやLinux(Windows Subsystem for Linuxなど)も実行可能であり、Docker Desktopの代替手段として、高速で軽量、優れた互換性と信頼性を提供するとしている。

 OrbStackは、Docker Engineを含む開発用のコンテナ化プラットフォームだ。Dockerの関連ツールであるCompose、Dev Containers、buildxなどを使用してコンテナの作成、実行および管理もできる。OrbStackはRust、Go、C のコンポーネントを備えたSwiftで書かれたネイティブアプリとして提供されている。

「開発用に最適化されたKubernetes」も利用可能に

 OrbStack 1.0では、開発用に最適化された軽量のKubernetesディストリビューションが含まれている。ネットワーキングが統合されており、全てのポッドとサービス(ClusterIP、LoadBalancer、NodePort、Ingress)に、macOSから直接アクセスできる。

 ビルドしたコンテナイメージはレジストリに登録せずに、そのままKubernetesで動かせるという。

Kubernetesの管理画面(提供:Orbital Labs)
Kubernetesの管理画面(提供:Orbital Labs)

 WindowsでLinuxを実行するWindows Subsystem for Linux(WSL)と同様に、OrbStackはmacOS(ネットワーク、ファイルシステムなど)と統合された軽量のLinux仮想マシン(VM)を実行できる。MultipassやLimaなどのツールを置き換え可能で、15種類のディストリビューションを数秒で実行できるという。

OrbStackはなぜ「軽量かつ高速」なのか

 パフォーマンスを念頭に置いてゼロから構築されたOrbStackは、効率的なアーキテクチャを採用し、データ駆動型の最適化を数多く取り入れているとする。Orbital Labsは、OrbStackの目標として、macOS上でコンテナを実行する最速の手段になることを挙げている。

 Orbital Labsは「仮想マシンを動かしているように感じる必要はない。テストやビルドの実行に時間がかかることもないはずだ」と述べている。

 Orbital Labsが公開したスクリーンショットによると、開発のプロビジョニングに要する時間は、OrbStackが17分で、Docker Desktopの45分よりも速かった。arm64イメージのビルドにかかる時間は、OrbStackが7分間で、Docker Desktopは19分かかるという。

OrbStackとDocker Desktopのパフォーマンス比較(提供:OrbStack)
OrbStackとDocker Desktopのパフォーマンス比較(提供:OrbStack)

 OrbStackは、パフォーマンスとリソース使用量のバランスを慎重に取るための最適化をに取り組んでおり、Mac搭載のCPUとバッテリーへの影響を大幅に低減しているという。OrbStackのCPU使用率はわずか0.1%だとした。

コンテナ利用を楽にするOrbStackの改善点

 Docker Composeプロジェクトでは、各サービスでポートフォワーディングが必要で、「APIサーバはポート3000と8080のどちらを使っているか」「データベースはどのポートを使っているか」といった確認をしなければならない問題が生じる。

 OrbStackは、各コンテナに自動的にドメイン名を割り当てる。各コンテナは .orb.localというドメイン名を持ち、各Composeサービスは..orb.localというドメイン名を持つ。これにより、ブラウザからコンテナやサービスに簡単にアクセスできる。

 orb.localにアクセスすると、コンテナのリストが表示される。これにより、Docker Composeプロジェクトの管理とアクセスが簡素化され、開発者にとって便利な環境が提供される。

orb.localの画面(提供:OrbStack)
orb.localの画面(提供:OrbStack)

イメージファイルとボリュームファイルへの直接アクセス

 コンテナイメージを確認するには、コンテナを実行し、シェルから探すか、docker cpコマンドを使用する必要がある。正しくビルドされていないイメージやボリュームファイルのデバッグが難しいという課題があった。

 OrbStackはNFSを使って、イメージとボリュームにMacから直接アクセスできるようにしている。つまり、Finderやその他の日常的なGUIやCLIツールを使って、イメージやボリュームを探索したりデバッグしたりできる。

 Orbital Labsは「Macユーザーがコンテナ、Linux VM、Kubernetesを実行する理想的な方法だ。Docker Desktop上の既存コンテナ、イメージ、ボリュームを自動的に移行させることもできる」と述べている。

 OrbStackは、個人利用の場合、無料で利用できるという。フリーランス、ビジネス、その他の商用利用の場合は、30日以内にProまたはEnterpriseライセンスを購入する必要がある。

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