Microsoft、「Windows Subsystem for Linux」の最新版「WSL 2.0.0」公開:「自動メモリ解放」「ディスク容量の自動クリーンアップ」など実験的機能も
Microsoftは「Windows Subsystem for Linux」(WSL)の最新版となる「WSL 2.0.0」を公開した。
Microsoftは2023年9月18日(米国時間)、Windows上でLinuxを利用できる「Windows Subsystem for Linux」(WSL)の最新版となる2023年9月版(WSL 2.0.0)を公開したと発表した。さまざまな新しい実験的機能が導入されており、幾つかの重要なバグ修正も行われている。
新しい実験的機能を使用するには、Windowsのホームディレクトリに.wslconfigファイルを作成し(例 C:\Users\%USERNAME%\.wslconfig)、次の例のように、[experimental]セクションの中で、以下に示すそれぞれの設定を記述する。
[experimental] sparseVhd=true
新たに導入された実験的機能
自動メモリ解放
- 設定名:autoMemoryReclaim
- 既定:disabled
autoMemoryReclaim=gradualに設定すると、5分間アイドル状態になった場合、WSLは、Linuxにキャッシュされたメモリを徐々に解放し、Windowsホストで利用できるようにする。
autoMemoryReclaim=dropcacheに設定すると、WSLはアイドル状態になった場合、キャッシュを即座に解放する。
ディスク容量の自動クリーンアップ(スパースVHDの設定)
- 設定名:sparseVhd
- 既定:false
WSLがストレージとして使用する仮想HDD(VHD)は、使用するにつれてサイズが大きくなる。sparseVhd=trueに設定すると、VHDは使用量が少なくなると、動的にサイズが小さくなる。
新しいネットワークモード「Mirrored」
- 設定名:networkingMode
- 既定:NAT
WSLは従来、NATネットワーキングアーキテクチャを採用してきたが、networkingMode=mirroredに設定すると、「Mirrored」という全く新しいネットワークモードに変わる。このモードは、Windows上のネットワークインタフェースをLinuxにミラーリングし、新しいネットワーク機能を追加して、互換性を向上させる。
Mirroredモードには、以下のような利点がある。
- IPv6サポート
- ローカルホストアドレス(127.0.0.1)を使用して、Linux内からWindowsサーバに接続できる
- LANからWSLに直接接続できる
- VPNのネットワーク互換性の向上
- マルチキャストサポート
DNSトンネリング
- 設定名:dnsTunneling
- 既定:false
WSLがインターネットに接続できない原因の一つは、WindowsホストへのDNSコールがブロックされることにある。これは、WSL VM(仮想マシン)からWindowsホストへ送信されるDNS用のネットワークパケットが、既存のネットワーク構成でブロックされているためだ。
DNSトンネリングは、代わりに仮想化機能を使用してWindowsと直接通信することで、この問題を解決する。これにより、ネットワークパケットを送信することなく、DNSの名前要求を解決できるようになり、VPNや特定のファイアウォール設定、その他のネットワーク設定を使用している場合でも、より良いインターネット接続が得られる。
Hyper-Vファイアウォール
- 設定名:firewall
- 既定:false
firewall=trueに設定すると、Windowsファイアウォールのルールに加え、Hyper-Vトラフィックに固有のルールが、WSLネットワークトラフィックをフィルタリングできるようになる。
自動プロキシ
- 設定名:autoProxy
- 既定:false
通常、WSLでHTTPプロキシをセットアップする場合、Linuxマシンと同じ方法で行う必要がある。自動プロキシ機能を有効にすると、WSLはWindowsのHTTPプロキシ情報を使って、LinuxのHTTPプロキシを自動的に設定する。
これらの実験的機能を使用するための要件は、公式ブログ記事で解説されている。また、WSL 2.0.0で行われた全ての修正のリストは、リリースノートに記載されている。
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