AWS、生成AIアシスタント「Amazon Q」を発表 プレビュー期間は無料で利用可:ビジネスやAWS利用をサポート
AWSは、ビジネスに特化し、業務に合わせてカスタマイズできる新タイプの生成AIアシスタント「Amazon Q」を発表した。
Amazon Web Services(AWS)は2023年11月29日(米国時間)、ビジネスに特化し、業務に合わせてカスタマイズできる新タイプの生成AI(人工知能)アシスタント「Amazon Q」を発表した。
AWSによると、Amazon Qは、ユーザー企業の情報リポジトリ、コード、企業システムに含まれるデータや専門知識を使用して、ユーザーが緊急の質問への回答を素早く得たり、問題を解決したり、コンテンツを作成したり、行動を起こしたりする手助けをする。
AWSは、Amazon Qとチャットすることで、タスクの効率化や意思決定の迅速化、仕事での創造性や革新性の発揮に役立つ適切な情報やアドバイスが即座に得られるとしている。
Amazon Qは、企業顧客のセキュリティやプライバシー要件を満たすよう設計されており、組織内におけるユーザーのID、役割、権限を理解、尊重し、それに基づいてユーザーとのやりとりをパーソナライズできる。また、基盤となるモデルのトレーニングに企業顧客のコンテンツは使用されない。
「Amazon Qは、AWSで開発し、社内で業務を遂行し、AWSのビジネスインテリジェンス(BI)、コンタクトセンター、サプライチェーン管理の各アプリケーションを使用する顧客に生成AIベースの支援を提供し、あらゆる規模、業種の企業が生成AIを安全に利用できるようにする」と、AWSは述べている。
Amazon Qは、顧客にプレビュー版が提供されており、「Amazon Q in AWS Supply Chain」が近いうちに提供開始される。
AWSは、Amazon Qで利用できる機能の例を、適用分野ごとに以下のように紹介している。
ユーザー企業のビジネス
Amazon Qを自社のデータ、情報、システムに接続することで、自社のビジネスに合わせてカスタマイズできる。マーケティング担当者、プロジェクトマネジャー、プログラムマネジャー、営業担当者などのビジネスユーザーは、カスタマイズされた会話をしたり、問題を解決したり、コンテンツを作成したり、行動を起こしたりできる。Amazon Qは、各ユーザーがどのシステムにアクセスできるかを把握しているため、ユーザーは詳細で微妙な質問もすることができ、閲覧を許可された情報のみを含むカスタマイズされた結果が得られる。
AWS
Amazon Qは、「AWS Well-Architected Framework」に含まれるパターン、ベストプラクティス、ドキュメント、ソリューション実装のエキスパートであり、ユーザーは新しいサービスや機能の探求、なじみのない技術の学習、ソリューションの設計をより簡単かつ迅速に行える。Amazon Qは、AWS Management Consoleや一般的なIDE(統合開発環境)など、AWSを操作する全ての場所で利用でき、既存のワークフローに簡単に適合し、イノベーションのスピードアップを支援する。
例えば、Amazon Qに「AWSでWebアプリケーションを構築する方法は?」と尋ねると、AWS Amplify、AWS Lambda、Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)のようなサービスのリスト、それぞれの利点、初心者向け情報へのリンクを提供してくれる。
Amazon QuickSight
「Amazon QuickSight」は、クラウドベースの統合BIサービス。インタラクティブなダッシュボード、ページ分割レポート、組み込みアナリティクスに加え、自然言語クエリ機能を提供する。「Amazon Q in QuickSight」は、生成BI機能を用いてビジネスアナリストやビジネスユーザーの生産性を向上させ、魅力的なビジュアルの迅速な構築、洞察の要約、データに関する質問への回答、自然言語を使ったデータストーリーの作成を支援する。
Amazon Connect
「Amazon Connect」は、クラウドベースのコンタクトセンターサービス。「Amazon Q in Connect」は、顧客サービス担当者がより良い顧客サービスを提供する手助けをする。サービス担当者と顧客のリアルタイムの会話に関連する企業コンテンツを利用して、顧客サービス向上に向けて担当者が取るべき行動を自動的に推奨する。
AWS Supply Chain
「AWS Supply Chain」は、機械学習を活用したクラウドベースのサプライチェーンアプリケーション。在庫管理者、需給計画担当者などはAmazon Q in Supply Chainに、「サプライチェーンで何が起きているのか」「なぜ起きているのか」「どんな行動を取るべきか」と質問し、有用な回答が得られるようになる。また、What-ifシナリオを探索し、サプライチェーンの選択肢間のトレードオフを理解することもできるようになる。
Amazon Qの料金
Amazon Qは、「Amazon Q Business」と「Amazon Q Builder」の2つの料金プランが用意されており、前者は1ユーザー当たり月額20ドル、後者は同25ドルとなっている。
料金ページでは、各プランで利用できる機能の比較表が掲載されている。プレビュー期間中は、Amazon Qの機能の多くが無料で利用できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- AWS、「Amazon Aurora Limitless Database」「Amazon ElastiCache Serverless」を発表
Amazon Web Servicesは、データベースとアナリティクスのポートフォリオにおけるサーバレス技術の3つの新しいイノベーションを発表した。「Amazon Aurora Limitless Database」「Amazon ElastiCache Serverless」および「Amazon Redshift Serverless」の新機能だ。 - AWS、「Amazon EC2 Capacity Blocks for ML」を提供開始、機械学習に必要なGPUを短期間利用可能に
AWSは、「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)の新しい利用モデルである「Amazon EC2 Capacity Blocks for ML」の一般提供を開始した。 - 中堅中小企業のクラウド導入を加速させる「重要な5つの推奨事項」 AWSが発表
AWSは、AIとクラウドを活用して社会課題の解決に取り組む中堅中小企業に関するレポートを発表した。中堅中小企業がクラウド主導の技術を採用することで、2030年には医療、教育、農業の分野全体で年間総額1兆9000億円相当の生産性向上効果と520万人の雇用が生み出されるという。