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AIベースのマシンが顧客になる未来に備えるGartner Insights Pickup(332)

この先、AIベースのマシンカスタマー(顧客としてのマシン)は増加し、洗練され、強力で独立した意思決定者、取引者となる見通しだ。本稿では、ビジネスリーダーに向けて、マシンカスタマーを引きつける5つの方法を紹介しよう。

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ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Insights」などのグローバルコンテンツから、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。

AIベースのマシンカスタマーを引きつける5つの方策

 デジタルに精通したビジネスリーダーは、今の時点で以下の5つの方策を講じることで、今後大きな購買力を持つマシンカスタマー(顧客としてのマシン)にアピールしていける。マシンカスタマーは増加し、より洗練され、強力で独立した意思決定者、取引者となる見通しだ。


(出所:Gartner)

1.自社の全ての商品やサービスの情報にマシンカスタマーが簡単にアクセスできるようにする

  • マシンカスタマーは100種類にも上る変数で検索している可能性がある。購入プロセスの各段階で、有用なデータを全て提供する必要がある
  • APIアクセスを提供、奨励するとともに、CAPTCHAなどのbot回避ツールがマシンカスタマーからの正当な収益機会を阻止しないようにする

2.マシンカスタマーを基本的なデジタルコマース販売戦略に加える

  • ソーシャルメディア、モバイルアプリ、チャットbotなど、あらゆるデジタル接点を通じて、優れたデジタルコマース体験の提供に努める。マシンカスタマーはこれらのスペースに現れるようになる
  • こうした購入者の台頭を考慮して、販売方法や情報提供方法を検討する。例えば、自動化されたログ所有者の権限と設定でサードパーティーとやりとりしたり、タスクを管理、開始したり、支払いの受領を容易にしたりできるマシンカスタマープラットフォームを構築することを考える

 AIベースのマシンカスタマーの購買行動は、論理的で合理的だ。人間の顧客へのマーケティングや販売に関する洞察やトレーニングの何十年もの蓄積が、突然意味をなさなくなるかもしれない。

3.販売、マーケティング、サプライチェーン、IT、アナリティクスの担当者間で強力な連携を構築する

  • 機能横断的なチームが、「AIベースのマシンカスタマーが自社から購入するようになったら、何が起こるか」を検討するシナリオを1〜3つ作成するようにする
  • サプライチェーンは、予期せぬ需要パターンにも俊敏に対応できなければならない

4.AIエージェントとのやりとりを担当する販売およびサービススタッフの採用とトレーニングを開始する

  • 販売およびサービススタッフは、マシンカスタマーの購買行動やアフターサービス需要を促すアルゴリズムを理解する必要がある。場合によっては解読する必要があるかもしれない
  • これらの従業員には、AIベースのマシンカスタマーが機能する仕組みについての基本的な理解が必要だ。職種によってはデータサイエンスの経歴も要求されるかもしれない

5.マシンカスタマーを見つけられるように顧客対応スタッフに注意を促し、トレーニングを提供する

  • 生成AIの大規模言語モデル(LLM)に基づくbotは、既に人間を装ってテキストチャットベースの顧客サービスチャネルを通じて、またはもしかすると高品質な合成音声による電話を使って、あなたの会社に交渉、予約、購入を試みているかもしれない
  • マシンカスタマーの購買行動は論理的で合理的だ。場合によっては、人間の顧客へのマーケティングや販売に関する洞察やトレーニングの何十年もの蓄積が、突然意味をなさなくなるかもしれない

背景

 「従業員の代わりとなるAI botは、管理者の支持通りに行動するかもしれない。だが、AIベースのマシンカスタマーは、お金を払って商品やサービスを手に入れる、人間以外の経済主体だ。それら自身で判断して動くだろう。マシンカスタマーにうまく対応すれば、市場拡大につながる。だが、それらのニーズを無視すれば、マシンカスタマーにそっぽを向かれても、それすら分からないかもしれない」(Gartnerのディスティングイッシュト バイスプレジデント アナリスト、マーク・ラスキーノ(Mark Raskino)氏)

同僚に伝えるべき3つのこと

  1. AIは、デバイスやマシンが顧客になる流れを加速させている
  2. AIベースのマシンカスタマーは、人間の顧客とは全く異なる行動を取る。まず、より合理的で論理的だ
  3. 販売、マーケティング、顧客サービスの担当者は全て、マシンカスタマーを引きつけ、顧客として維持し、そのユニークなニーズに応えていく準備を整える必要がある。さもないと、売り上げを失う恐れがある

出典:Prepare for the Future of AI-Powered Customers(Insights)

筆者 Kasey Panetta

Brand Content Manager at Gartner


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