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AIを進める役割、海外企業は「CIO」だが日本企業は「IT部門リーダー」 ガートナーが調査結果を発表「日本と海外で興味関心の高さは変わらないが企業としての姿勢が異なる」

ガートナージャパンは、AIに対する組織的な取り組み状況に関する調査の結果を発表した。日本の大企業でAI専門組織を設置する割合は海外企業の半分にとどまっており、AI開発に必要な人材の枯渇感が強いことが分かった。

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 ガートナージャパンは2024年5月9日、AI(人工知能)に対する組織的な取り組み状況に関する調査の結果を発表した。これは日本、米国、ドイツ、英国の企業を対象に、AIに対する組織的な取り組み状況を調べたもの。

AI専門部門を設置している企業、海外は76%で日本は38%

 AI専門の部門やチームを設置している海外企業の割合は76%。また、23%が「12カ月以内に設置する予定」と回答した。つまり、1年以内にほとんどの海外企業ではAI専門の部門かチームが存在する見込みとなっている。一方、同様の内容を日本の大企業に聞いたところ、AI専門の部門やチームを設置している割合は38%。12カ月以内に設置を予定している割合は8%にすぎなかった。

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日本の大企業でAI専門部門の設置状況(提供:ガートナージャパン

 ガートナージャパンは「日本企業のAIに対する興味関心は海外企業と同様に高く、今回の結果は、企業としての姿勢や取り組み方の違いが表れたものだ」と分析している。

 こうした姿勢の違いは、AI専門チームの責任者にも表れていた。海外企業でAI専門チームを率いている人として「最高情報責任者(CIO)」「最高技術責任者(CTO)」「最高データ/アナリティクス責任者(CDAO)」が上位に挙がった。それに対して日本は「IT部門のリーダー」を挙げた企業が約3分の1を占めた。次いで「CIO」「IT部門以外の事業部門リーダー」が挙がった。

 AI開発に必要な人材とスキルについては「十分確保できている」と回答した企業の割合は、海外企業の22%に対して日本の中堅企業は10%、大企業は7%。人材が「不足している」と回答した企業の割合は、海外企業の26%に対して、日本の中堅企業は34%、大企業は64%だった。人材を「必要に応じて確保できる」と回答した企業の割合は、海外企業の52%に対して日本の中堅企業は56%、大企業は29%となっており、ガートナージャパンは「日本の大企業の人材枯渇感が強い」と懸念を示している。

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自社のAI開発に必要な人材とスキルに関する現状の評価(提供:ガートナージャパン

 ガートナージャパンの一志達也氏(シニアディレクター アナリスト)は、「企業がさまざまな変革や挑戦を続けていくには『目的、目標、戦略といったリーダーシップに関わる要素』『人材、予算、環境といったリソースに関わる要素』『習慣、文化、構造といった組織的な要素』『意欲、意識、活力といった個人的な要素』が不可欠だ。日本企業はそれらの要素の足りない部分を補い、『無い無い尽くし』から脱却することが求められる。例えば、AIの取り組みでは、AIの導入に関わるデータとアナリティクスのリーダーは、どのようなAIを、何にどう利用し、それにはどのような役割や業務が新たに必要となるかというAI専門組織の在り方を見極め、経営層や事業部門のリーダーと自社のAI戦略、AI専門組織を議論する必要がある」と述べている。

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