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Google CloudのGCVEでVMwareライセンス持ち込みが可能に、具体的にはどのようなものか

Google CloudのVMware基盤サービス「Google Cloud VMware Engine」で、Broadcomから購入したライセンスを持ち込めるようになる。2024年7月までにこのプログラムを提供開始する。具体的にはどのような仕組みなのだろうか。

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 Google Cloudは、同社インフラ上でVMwareを稼働するサービス「Google Cloud VMware Engine」(以下、GCVE)で、オンプレミスVMwareサブスクリプションとのライセンスポータビリティを2024年7月までに実現する。メガクラウドの中でライセンスポータビリティの提供を明らかにしているのは、本記事の執筆時点ではGoogle Cloudのみだという。

 具体的にはどういうプログラムなのか。グーグルクラウドジャパンの担当者は、次のような取り組みだと説明する。

 まずGCVEは、Google Cloudのデータセンターのベアメタルサーバ上に、VMware環境を自動構築して運用するサービス。2020年から提供されている。このサービスでは、個々のユーザー組織が、自社専用に割り当てられたサーバで、自社専用のVMware環境を利用できる。Google Cloudの管理コンソールから、他のサービスのように構成を選べば、数十分で自動構築がなされ、利用できる。


GCVEの全体像

 担当者は、GCVEのメリットとして、広帯域のネットワーク、堅牢なセキュリティ、そしてGoogle Cloud上の各種サービスを、直接に低遅延で使えることを挙げている。

 「AIや機械学習をはじめとした、オンプレミスでは実現しにくかったような環境を(VMwareを離れることなく)実現できる」(グーグルクラウドジャパンの担当者)

 料金は、ベアメタルサーバの利用料金とVMware(最上位エディション「VMware Cloud Foundation」〈以下、VCF〉)のライセンス料が含まれたサービスとして請求される。

 Google Cloudは、こうした従来のGCVEを継続した上で、VMwareライセンスのポータビリティを提供開始する。

2つの課金体系の違いをどう吸収するのか

 具体的には、Broadcom(やパートナー)から購入したオンプレミス用のVCFライセンスを、オンプレミス、Google Cloudのいずれにも適用できる。全ライセンスをどちらか一方に適用しなければならないという制限はない。ニーズに応じて双方に分配して使える。

 ただし、Broadcomが提供するVMwareのサブスクリプションライセンスは物理CPUコア課金。一方GCVEはノード(つまりベアメタルサーバ)課金となっている。ライセンスポータビリティでは、この課金方法の違いをどう吸収するのか。

 答えは、CPUコア単位で考えるということだという。オンプレミスライセンスをGCVEに移行するには、GCVEのノードが搭載している物理コア数単位でライセンスを動かせる。

 例えば、Broadcomから購入しているオンプレミスライセンスを、GCVEの最小構成に適用することを考えると、次のようになる。

 GCVEでは基本的に単一のノードタイプ(サーバタイプ)のみが提供されている。このサーバが搭載する物理コアは36だ。GCVEの最小構成は3ノード。従って、最小構成では36コアに3をかけた108コアが必要となる。つまり、Broadcomから108物理コア以上のVCFライセンスを購入していれば、そのうち108コア分をGVCEの最小構成に充当できることになる。余った分は、ライセンスを買い足すなどして、オンプレミスで使い続けるか、GCVEでのノード数追加に使える。

 今回のライセンスポータビリティでは、当然ながらVMwareライセンスのみの移動ができる。ベアメタルサーバについては、別途Google Cloudに利用料金を支払う。

 では、サーバとソフトが一体の既存GCVEと比べ、価格は高くなるのか安くなるのか。担当者は次のように言う。

 「正式にサービスを開始する時点で、VCFライセンスを持ち込む企業向けの価格体系を用意する。Google Cloudでフルスタックを用意するタイプに比べると、ライセンス持ち込みの方が安くなる」

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