「3年後には99%の企業が財務報告にAIを使うようになる」 KPMGが調査結果を発表:世界10カ国の企業の72%が財務へのAI活用に積極的
KPMGインターナショナルは調査結果「AIを用いたこれからの財務報告と監査」を発表した。財務報告プロセスでAIを試験的に導入または使用している企業が72%に上ることが分かった。
KPMGインターナショナルは2024年5月31日、「AIを用いたこれからの財務報告と監査」を発表した。これは世界10カ国(オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、日本、アイルランド、オランダ、英国、米国、スペイン)の800社を対象に、AI(人工知能)と監査について調査した結果をまとめたもの。
それによると、4分の3(72%)の企業が財務報告プロセスにおいてAIを試験的に導入または使用しており、KPMGインターナショナルは「この割合は3年後には全世界レベル(99%)に拡大する」と予測している。
企業はAI活用に監査人に「保証」と「証明」を求めている
財務報告にAIを導入する利点について聞くと、「トレンドと影響の予測能力が手に入る」「リアルタイムにリスク洞察ができるようになる」「データに基づく意思決定を改善できる」「データの正確性を向上させられる」が上位を占めた。また約40%の企業が「(AI導入によって)従業員の生産性と効率が向上した」と報告しており、AIの活用は財務報告チームの生産性向上と人材獲得、スキル開発の向上にもつながっていることが分かった。
生成AIの可能性に注目している企業も多い。調査結果によると財務のリーダーは「財務報告のために優先する技術」として、データ&アナリティクス(44%)、プロセスマイニング(39%)、クラウド(36%)などを抑えて、生成AI(47%)がトップだった。一方、企業は監査人に「AIを使っても問題ない環境であると保証してもらいたい」と考えているようだ。調査結果によると、64%の企業が監査人に「財務報告でのAI利用に関する統制環境の、詳細なレビューを実施する役割を期待している」と回答した。
KPMGインターナショナルのセバスチャン・シュテックル氏(グローバル監査部門 イノベーション統括責任者)は、「AIの導入が加速しているが、企業は慎重かつ適切な方法で進める必要がある。データ管理と分析の専門知識、規制と独立性プロセスに関する深い理解、革新を促進するクラス最高のアライアンスパートナーへのアクセスなどを通じて、財務報告での変革を安全かつ成功裏に推進するための支援が必要だ」と述べている。
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