Rustに特化した統合開発環境「RustRover」の一般提供開始 JetBrains:非商用目的なら無料で利用できる
JetBrainsはRust用のスタンドアロン型IDE「RustRover」の一般提供を開始した。個人ユーザーは非商用目的に限り、無料で利用することができる。
JetBrainsは2024年5月22日(米国時間)、Rust用スタンドアロン型IDE(統合開発環境)「RustRover」の一般提供を開始した。コード補完、デバッグ機能、リファクタリングツールなどを備え、Rustによる開発プロセスを効率化できるという。
JetBrainsは、JavaおよびKotlin向けIDE「IntelliJ IDEA」とCおよびC++向けIDE「CLion」のプラグインでRustをサポートしてきた。だが、Rustに特化したIDEへの要望がコミュニティーから多数寄せられてきたことを踏まえ、RustRoverの投入を決めた。
「非商用利用」とは? 新しいライセンスモデル
JetBrainsはRustRoverを対象とする新たなライセンスモデルとして「無料の個人用非商用ライセンス」および「有料の商用ライセンス」の提供も開始した。
個人ユーザーは非商用目的に限り、RustRoverを無料で使用することができる。RustRoverを使用して直接的または間接的に定期的な収入を得ているユーザーは商用ライセンスの購入が必要になるという。
JetBrainsはFAQページでRustRoverの商用利用と非商用利用の例を次のように列挙している。
商用利用の例
- 製品を作成して金銭的報酬を得る(企業に雇用されている場合や自営業など、雇用形態は問わない)
- コンサルティングやその他のサービスを提供して金銭的報酬を得る
- トレーニングや教育用の資料を作成して金銭的報酬を得る
- 日常業務の一環としてオープンソースプロジェクトに取り組み、給与を得ている
非商用利用の例
- 金銭的報酬を受け取らずに、無料で製品やサービスを提供している
- 無償でオープンソースプロジェクトに取り組んでおり、給与を受け取っていない
- 無償でオープンソースプロジェクトに取り組んでおり、スポンサーシップや寄付を受け取ることがある
- 教育課程にある、または学習目的でRustRoverを使用している
- 無料でコンテンツや教育資料を作成し、YouTubeなど無料のメディアで提供している
「この新たなライセンス体系は、非商用利用のユーザーにIDEを無料で提供することを目的としており、自己申告制で運用されている。今後の状況次第では何らかの調整が必要になる可能性がある」と、JetBrainsは述べている。
IntelliJ IDEAでもサポート
IntelliJ IDEA Ultimateで、RustRoverの機能をプラグインとしてインストールすることもできる。CLionでプラグインを利用するには、商用ライセンスかプラグインの購入が必要だとしている。
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