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READMEファイルに何を書くべき? ベストプラクティスを紹介作成方法、盛り込むべき情報を解説

TechTargetはREADMEファイルの作成方法を解説する記事を公開した。ソフトウェアプロジェクトについての重要な情報を社内関係者やユーザーに提示するために必要な、READMEファイルの作成方法を紹介する。

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 TechTargetは2024年5月20日(米国時間)、READMEファイルの作成方法を解説する記事を公開した。


使いやすいREADMEファイルを作成する方法(提供:TechTarget)

 ソフトウェアプロジェクトではREADMEファイルがプロジェクトコードへの入り口となるため、極めて重要だ。

 READMEファイルとは、ソフトウェアプロジェクトを紹介および説明するテキストファイルまたはマークダウンファイルを指す。このファイルには、ユーザーや開発の関係者がプロジェクトを理解して作業するのに必要な情報を含める必要がある。

 READMEファイルが対象とする範囲や説明する内容は、関係するプロジェクト、ユーザー、開発チームごとに異なる。それでも、全てのREADMEのファイルに記載すべき基本要素はある。プロジェクトと関係者にとって最適な方法で、記載すべき基本要素を盛り込んだREADMEファイルの作成方法を習得することが開発者にとって重要になる。

READMEファイルの作成方法

 READMEファイルを作成する場合は、プロジェクトに初めて接する開発者、管理者、ユーザーがそのプロジェクトを理解して操作できる包括的なガイドとなるように計画する。盛り込む情報が多過ぎると、情報量に圧倒され、扱いにくくなる可能性がある。自社に適した情報量を見定めるには、何度か試行錯誤が必要になるかもしれない。ソフトウェアプロジェクトが複雑な場合は特に、試行錯誤をためらわずに作成に挑戦すべきだ。

 READMEファイルを作成するための標準ツールには、「Visual Studio Code」(VS Code)などの専用ツールや「GitHub Markdown Editor」のようなオープンソースのマークダウンエディターがある。

 複数の機能を複数の開発者が協力してチームで作業する場合は、「Googleドキュメント」や「Microsoft Word」を使ってREADMEファイルの草案を作成し、最終承認を受けた後に最終バージョンをマークダウンファイルまたはプレーンテキストファイルとして公開するのが適切な場合もある。

 READMEファイルを作成して公開する大まかなプロセスは下記の通り。

  1. READMEファイルに盛り込む必要があるプロジェクト情報を示す標準テンプレートを用意する。このテンプレートはプロジェクトの成果物ライブラリに含める必要がある
  2. 業界標準に従って「README」というファイル名を付ける。例えば、「README.md」はマークダウン形式で作成されたREADMEファイルを指す。こうした業界標準に従えば、GitHubやGitLabで判別可能になる
  3. READMEテンプレートに適切なコンテンツを盛り込む。箇条書き、コードブロック、表を最大限に活用して、読みやすく情報を整理する
  4. プロジェクトリポジトリではREADMEファイルをプロジェクトのルートディレクトリに配置する。オンラインでドキュメントを公開している一部のSaaS(Software as a Service)およびモバイルアプリ開発者は、READMEをオンラインコンテンツに含め、アプリケーションメニューからアクセスできるようにすることがある
  5. 公開に向けてREADMEファイルを保存しレビューして承認する
  6. READMEファイルをバージョン管理システムやコンテンツ管理システムにコミットし、割り当てられたディレクトリにファイルをプッシュする

 SaaS、クラウド、モバイルの各アプリケーションでは、READMEファイルを作成して公開するプロセスがそれぞれ異なっていても問題はない。例えば、DocOps(※)やアジャイルドキュメント手法の利用を考えるのであれば、READMEファイルをメインアプリケーションにリンクがある独立したドキュメントサイトに配置しても構わない。READMEファイルの作成には、次のような多種多様なツールが役に立つ。

(※)ドキュメントの作成、管理、更新を自動化し、チーム全体で効率的に共同で作業するための手法やツールのこと

  • 「Hugo」や「Jekyll」などのオープンソースの静的Webサイトジェネレーター
  • 「Adobe RoboHelp」や「MadCap Flare」などのオンラインヘルプ作成ツール
  • 「Drupal」や「WordPress」などのオープンソースコンテンツ管理システム

 SaaSやクラウドアプリケーションのREADMEファイルでは、主に開発者や管理者を対象として、クラウドデプロイメント、サービスアーキテクチャ、相互依存関係についてのガイドを提供する。

READMEファイルに盛り込むべき情報

 アプリケーションのREADMEファイルを作成するに当たっては、複数のアプリケーションで使用できる標準形式を考え、その標準形式に従ってテンプレートを作成する必要がある。時間をかけてREADMEの作成ガイドラインと標準テンプレートを策定しておけば、開発者や製品管理者がゼロから考える必要がなくなる。標準形式を文書にし、テンプレートを用意すれば、レビュー担当者が対象外の書式変更やコンテンツの変更を行ったり、時間を無駄にしたりするのを防ぐことができる。

 以下の表に、READMEファイルに盛り込むべき基本要素を示す。

構成要素 説明
プロジェクトタイトル READMEファイルには、プロジェクトタイトルかそれに類するものを必ず含める
プロジェクトの説明 オープンソースプロジェクトのREADMEファイルには、プロジェクトの説明の一環として「プロジェクトの作成方法」セクションを含める場合がある
目次 READMEファイルの全主要セクションの一覧
プロジェクトのインストール方法 プロジェクトの予備知識がない人がプロジェクトを立ち上げて稼働できるように明確なステップ・バイ・ステップの指示を提供する(使いやすいコマンドラインスニペットをコピーして貼り付けるなど)
使用方法 基本的なコマンド群を含める。SaaSアプリケーションなど、複雑なツールの場合は典型的なユースケースを示す実例を添える。サポートポータルの詳細ドキュメントやチュートリアルへのリンクを記載する
構成 構成が必要なソフトウェアプロジェクトの場合、各構成オプションの内容を詳しく説明する構成ファイルやコマンドライン引数の例をコピーして貼り付ける
依存関係 必要な依存関係を全て一覧し、全ての依存関係をインストールするための指示やスクリプトを含める。特定のバージョンが必要な場合はそれを明記する
トラブルシューティング よくある問題点とその解決方法の一覧を記載する。トラブルシューティングの詳細ドキュメントがある場合は、そのサポートポータルにユーザーを誘導する
貢献 オープンソースソフトウェアプロジェクトの場合は、他のユーザーがこのプロジェクトに貢献する方法を説明するセクションを設けることが多い
教訓 プロジェクトの開発中に習得した教訓を、READMEファイルを使って共有することもできる
ライセンス ソフトウェアのライセンスのタイプとライセンスの全テキストへのリンクを明記する。自社のソフトウェアコンポーネントのライセンスを意識する企業が増えているため、オープンソースプロジェクトの場合はこの明記が不可欠になる
連絡先情報 サポートや問い合わせのための連絡先情報(メールアドレスやサポートポータルへのリンクなど)を盛り込む

READMEファイル作成のベストプラクティス

 以下に、READMEファイルを作成する際のベストプラクティスを示す。

  • 多くの技術ドキュメントと同様、READMEファイルがじっくりと読まれることは少ない。そのため、ざっと流し読みできるように、分かりやすい言葉、説明的な見出し、論理的な構造を使い、専門用語や複雑なテクノロジーは使わない
  • 「概要」セクションから始め、インストール手順を示し、必要に応じて、ソフトウェアを安全かつ効果的に稼働するためのステップバイステップのプロセスを説明する
  • クラウドアプリケーションやSaaSアプリケーションの場合、ユーザーが理解して設定する必要のあるセキュリティ対策、認証メカニズム、環境構成の概要を示す。ユーザーがアプリケーションをデプロイする際にセキュリティを確保するためには、こうした記載が不可欠になる
  • 実践的なアプローチを取り、コードスニペット、コマンドライン命令、ウォークスルーなどの例を豊富に用意して、ユーザーがアプリケーションを稼働できるようにする
  • READMEファイル内の分かりやすいセクションに依存関係の要件を一覧する
  • アプリケーションの使用方法を的確に示すコードスニペットやスクリーンショットなどの例を豊富に用意する
  • アプリケーションが複雑な場合は特に、ドキュメント、問題点データベース、サポート・トレーニングのコンテンツへのリンクを公開する
  • 将来におけるリリースサイクルのタスクの一つとしてアップデートを含め、プロジェクトの進捗(しんちょく)に合わせてREADMEファイルをアップデートする
  • チームの取り組み方次第でREADMEファイルの作成は容易になる。READMEファイルの作成に消極的だと、製品リリースに当たっての優先事項がREADMEファイルの作成を担当するテクニカルライターや製品担当者の間で食い違い、不適切なリリースノートが生み出される恐れがある。READMEファイルの作成は、ドキュメント計画だけでなく、プロジェクトの全体計画に含める必要がある。製品リリースの9時間前にREADMEファイル全体を慌てて一から作成することのないように、リリースの数日前や数時間前から繰り返しアップデートするようなスケジュールを立てる

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