全文検索エンジン「Elasticsearch」とデータ可視化ツール「Kibana」が再びオープンソースに:ライセンスオプションとして「AGPL」を追加
オランダのElasticは、分散型RESTful検索/分析エンジン「Elasticsearch」とデータ可視化ツール「Kibana」の新たなライセンスオプションとして、数週間以内に「AGPL」(Affero General Public License)を追加する。これにより、ElasticsearchとKibanaは、再びオープンソースになる。
オランダのElasticの創設者でCTO(最高技術責任者)を務めるシャイ・バノン氏は2024年8月30日(オランダ時間)、同社の分散型RESTful検索/分析エンジン「Elasticsearch」とデータ可視化ツール「Kibana」の新たなライセンスオプションとして、数週間以内に「AGPL」(Affero General Public License)を追加すると公式ブログで発表した。これにより、「ElasticsearchとKibanaは、再びオープンソースと呼べるようになる」としている。
両製品が再びオープンソースとなることで、Elasticの社員全員が、「文字通り、興奮して飛び跳ねている」と、バノン氏はブログ記事で喜びを述べている。
再びオープンソースにした理由
ElasticsearchとKibanaはもともと、オープンソースライセンスの「Apache License, Version 2.0」(ALv2)で開発されていたが、2021年1月に、「Elastic License」と「Server Side Public License」(SSPL)のデュアルライセンスに移行した。これらは非オープンソースライセンスだ。
その後、ElasticはElastic Licenseをよりシンプルで寛容な「Elastic License v2」(ELv2)に変更した。ELv2は、BSDにヒントを得たライセンス。SSPLは、AGPLをベースにMongoDBが独自に作成したものだ。
新たにライセンスオプションに追加されるAGPLは、オープンソース推進団体のOpen Source Initiative(OSI)が承認したオープンソースライセンスであり、広く採用されているものの一つだ。
AGPLの追加後は、従来のELv2、SSPLと合わせて3つの選択肢からライセンスを選択できるようになる。
ElasticsearchとKibanaのALv2からのライセンス変更の背景としては、Elasticが、マネージドElasticsearchサービスを提供していたAmazon Web Services(AWS)との間で問題を抱え、このサービスが市場の混乱を引き起こしていると認識していたことが挙げられる。
Elasticは、ライセンス変更の際に公開した「2021年のライセンス変更に関するFAQ」の中で、次のように説明している。
「この変更は、クラウドサービスプロバイダーがいかなる還元も行わずサービスとしてのElasticsearchおよびKibanaを提供する行為を禁止することにより、Elasticが無料かつオープンに配布する製品の開発に対する継続的な投資を保護するものです」
このライセンス変更は苦労を伴ったが、功を奏し、状況が改善したことで、ElasticsearchとKibanaをオープンソースプロジェクトに安心して戻せる条件が整ったと、バノン氏は述べている。
「3年を経て、AWSはフォークに本格的に投資しており、市場の混乱は(ほぼ)解決された。われわれとAWSのパートナーシップはこれまで以上に強固なものになっている。われわれはAWSのパートナーオブザイヤーにも選ばれた」
AWSは、2021年のElasticsearchとKibanaのライセンス変更を受けて、ALv2が適用されていた両製品の最後のバージョンから、「OpenSearch」というフォークを作成し、維持している。OpenSearchはALv2で利用でき、AWSは、マネージドOpenSearchサービスである「Amazon OpenSearch Service」を提供している。
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