「Rust」が再浮上、「Python」は過去最大の差をつけて独走 2024年10月版プログラミング言語人気ランキング:「Mojo」が初めてトップ50入り
プログラミング言語の人気ランキング「TIOBEインデックス」の2024年10月版が公開された。首位の「Python」が3カ月連続で同言語として過去最高のレーティングを更新し、2位の「C++」に過去最大の差をつけた。「Rust」は再び過去最高の13位を占めた。
ソフトウェア品質の評価と追跡を手掛けるTIOBE Softwareは、2024年10月版の「TIOBEプログラミングコミュニティーインデックス」(通称「TIOBEインデックス」)を発表した。TIOBEインデックスは、プログラミング言語の人気を示す指標で、同社が毎月1回更新している。
「Python」独走、過去最大の差とは何ポイント差?
2024年10月のランキングでは、「Python」が21.90%のレーティングで首位を維持し、8月以来3カ月連続で同言語として過去最高のレーティングを更新した。
同年6月に「C」を抜いて史上初めて2位となった「C++」が5カ月連続で2位を占めた(11.60%)。
7月以降、PythonとC++のレーティング差は拡大の一途をたどっており、10月は10.30ポイント差に広がった。これはTIOBEインデックス史上最大の差だ。これまでは「Java」が2016年11月に、2位のCにつけた9.55ポイント差が史上最大だった。
9月にCを抜いて16カ月ぶりに3位に返り咲いたJavaは10月も順位を維持し(10.51%)、Cは9月に続いて4位となった(8.38%)。長期にわたって2位だったCは6月に3位に、さらに9月に4位に転落し、同言語として過去最低の順位に沈んでいる。
5位は「C#」(5.62%)、6位は「JavaScript」(3.54%)で、この2つの順位は2023年7月から変動がない。
また、2024年4月のランキングで20年以上ぶりにトップ10に入った「Fortran」が7月以来の9位となり、「Rust」も過去最高の13位につけた(7月以来の2回目)。
上位20言語のレーティングの前年同月との変動を見ると、Pythonの7.08ポイント増が突出しており、上昇幅が1ポイントを超えたのは、他には「Go」のみだった(1.59ポイント増)。また、C(3.70ポイント減)とC#(2.09ポイント減)が大幅な下落を示した。
人気のプログラミング言語の3つの特徴
TIOBE Software CEOのポール・ジャンセン氏は、「今日では、利用可能なデータの量が急速に増加しており、データ活用の需要が高まっている。そのため、データ操作や数値計算に優れ、高速なプログラミング言語が必要とされている。それに加えて、『習得が容易であること』『安全であること』という2つの重要な特徴がある」と指摘している。
習得が容易であることが重要なのは、熟練したソフトウェアエンジニアが不足しているためであり、安全であることが重要なのは、サイバー脅威が継続しているからだという。
「『高速』『習得しやすい』『安全』という3つの特徴を備えた言語は、今がチャンスだ」というのがジャンセン氏の見解だ。同氏は次のように説明している。「現在の王者であるPythonは習得しやすく安全だが、速くはない。そこでエンジニアは、これに代わる高速な言語を懸命に探している。C++は明らかな候補だが、明示的なメモリ管理が必要なため、安全ではないと考えられている。Rustも候補の一つだが、習得は簡単ではない。それでも、安全性と速度に優れているおかげで、徐々にではあるが、着実にTIOBEインデックスのトップ10に近づいている」
さらにジャンセン氏は、高速なデータ処理が求められていることを示す言語の例は他にもあると述べ、「Mojo」を引き合いに出している。「Mojoは、PythonとSwiftをミックスしたような言語だが、はるかに高速だ。誕生してまだ1年しかたっていないMojoが10月のランキングで初めてトップ50入りしたことは、この言語が非常に有望であることを示している」
TIOBE Softwareは21〜50位のランキングも公開している。
51〜100位のプログラミング言語については、順位の差が比較的小さいとして、次のようにアルファベット順に列挙している。
「ABC」「ActionScript」「Algol」「Apex」「APL」「Bash」「Carbon」「CFML」「CHILL」「CLIPS」「Clojure」「CLU」「Crystal」「Curl」「DiBOL」「Eiffel」「Elm」「Forth」「Groovy」「Hack」「Icon」「Inform」「Io」「J」「JScript」「JScript.NET」「LabVIEW」「Ladder Logic」「ML」「Modula-2」「MQL5」「NATURAL」「OCaml」「Occam」「OpenCL」「Pascal」「PL/I」「Q」「Ring」「S」「Scheme」「Smalltalk」「SPARK」「Stata」「SystemVerilog」「Tcl」「VHDL」「Wolfram」「X++」「Zig」
TIOBEインデックスは言語の優劣を示すものではない
TIOBEインデックスの評価は、世界中の熟練エンジニアや学習コース、サードパーティーベンダーの数に基づいて算出されている。算出にはGoogle、Amazon.com、Wikipedia、Bing、その他20以上の人気Webサイトが使われている。
なお、TIOBEインデックスは、「どのプログラミング言語が優れているか」「どの言語で書かれたコードの行数が多いか」を示すものではないと、TIOBE Softwareは説明している。
同社はTIOBEインデックスの使い方として、「自分のプログラミングスキルが時流に合っているかどうかチェックする」「新しいソフトウェアシステムを作り始めるに当たって、どのプログラミング言語を採用するかの戦略的判断に役立てる」といった例を挙げている。
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