「昇給が遅い」などITインフラ運用者のキャリアパスに関する不安をガートナーが調査、「諦めの境地」な人が抱える本音は?:運用も“トランスフォーメーション”が必要
ガートナージャパンは、ITインフラの運用に関する調査結果を発表した。同社によると、ITインフラを運用する組織に必要なのはビジネス成長に貢献する「運用トランスフォーメーション」だという。
ガートナージャパンは2024年11月21日、ITインフラを運用する組織にはビジネス成長に貢献する運用トランスフォーメーションが必要であるとの見解を発表した。同社が国内のIT運用担当者を対象に実施した調査によると、自身のキャリアパスに何らかの不安や不満を抱えている人が過半数を占めていた。
ベテランはもはや「諦めの境地」「若い人は定着しない」? 抱える本音は?
不安や不満を感じる理由としては「他のIT部門のメンバーと比べて昇給、昇進が遅い」が最も多く65%(複数回答、以下同)。次いで「重責であるにもかかわらず、待遇が悪い/評価されない」(60%)、「新しい技術に触れる機会がない」(57%)などが上位に並んだ。この結果について、ガートナージャパンの米田英央氏(シニアディレクター アナリスト)は、「運用はITシステムを維持するための重要な仕事だが、安全、安定的に運用して当たり前という縁の下の力持ち的な評価しか受けられず、その成果が表に出にくいという特徴がある」と述べている。
企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するには、IT部門全体で顧客への貢献を推進し、アジャイル方式でITサービスを開発する必要がある。だがガートナージャパンによると、実際にそれを担っているのはIT部門内の一部署やDX部門といった専門部署にとどまり、インフラストラクチャ/オペレーション(I&O)部門は対象になっていないことがあるという。
ガートナージャパンは、I&O領域の変革を進めるためには、コードとしてのインフラストラクチャ(IaC)やコードとしてのポリシー(PaC)といったスキルと手法を獲得することが重要だと述べている。そして、開発チームのニーズに対してインフラを提供する「インフラストラクチャのプラットフォームエンジニアリングチームへの転換が必要だ」という。インフラのプラットフォーム化によって、開発者が簡単にインフラプラットフォームを使えるようになり、開発の生産性向上とビジネスの成長に直接寄与するとしている。
ガートナージャパンの青山浩子氏(ディレクター アナリスト)は、「インフラストラクチャプラットフォームエンジニアリング(IPE)はI&Oの未来を形作る要素の一つだ。I&Oのリーダーは、俊敏性とレジリエンスに対する2つのバランスをうまく取り込み、ニーズを満たす機能をすぐにプラットフォームとして使えるようにするために、IPEやサイトリライアビリティエンジニアリング(SRE)のスキル強化に取り組むことが極めて重要な優先課題となっている」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ガートナーが「今後急速に幻滅期を迎える」と予測する2つの運用要素 「可観測性」ともう1つは何?
ガートナージャパンは「日本におけるITオペレーションのハイプ・サイクル:2024年」を発表した。日本企業のインフラストラクチャ/オペレーション部門は、ビジネススピードの向上や競争の激化によって、レガシーITオペレーションの見直しを求める圧力にさらされているという。 - イオンリテールが非エンジニアだけで顧客データ分析基盤を構築、インフラ運用は最低限に
イオンリテールが、顧客データ分析プラットフォームを2024年度中に正式リリースする。システムは事業をよく知る非エンジニアが構築している。ビジネス現場におけるDXを効果的に支援したいという。 - 62.5%が「メインフレームを継続利用する」と回答 IDCがITインフラ運用に関する調査結果を発表
IDC Japanは、ITインフラ運用に関する調査の結果を発表した。ITインフラの課題では、ITエンジニアのスキルや人数の不足などが上位に挙がった。