顕在化する仮想化基盤の課題をLenovoサーバとWindows Server 2025 はどう解決するのか:運用簡略化、新たな移行先に最適な製品を提供
今、企業の仮想化基盤では、担当者の専門知識/スキル不足や料金体系の変更によるコスト増、複雑化による運用管理負荷の増大など、多くの課題が顕在化している。そうした課題をLenovoは同社のサーバ製品「ThinkAgile MXシリーズ」と、Microsoftの最新サーバOS「Windows Server 2025 」で解決しようとしている。その解決策とはどのようなものなのか。
多くの企業が抱える仮想化基盤の課題
企業がオンプレミスで運用している仮想化基盤では、今後のインフラ運用の在り方にさまざまな変化をもたらす可能性のある、幾つかの課題が浮き彫りになってきている。
レノボ・エンタープライズ・ソリューションズの早川哲郎氏(ソリューションアーキテクト本部 本部長)は、ユーザーが直面している課題として、第一に“運用の複雑化”を挙げる。物理サーバ、共有ストレージ、SAN(Storage Area Network)スイッチで構成された3層型の仮想化基盤は、それぞれの階層で異なる技術の専門知識やスキルが要求される。
「3層型のハードウェアの上に、仮想化のためのハイパーバイザーやゲストOSといったソフトウェアが実装されるため、計5階層にまたがる基盤の運用管理やメンテナンスを担っていかなければなりません」(早川氏)。ITシステムの担当者はわずか1人か2人で、しかも他の業務と兼任しているといった事情を抱える中堅中小企業では、こうした仮想化基盤を維持し続けるのは極めて困難になりつつある。
さらに、これまで使用してきたハイパーバイザーのライセンス変更によるコスト増といった、想定外の課題が発生するリスクも顕在化している。ベンダー側の都合によって、永続ライセンス型からサブスクリプション型への移行や、CPUソケット単位の課金からCPUコア単位の課金への変更などがあれば、仮想化基盤のコストや将来にわたる安定性などに大きな影響を与えることは避けられない。
「コストが大幅に増えるケースでは、ユーザー企業は現在のハイパーバイザーを今後も使い続けるのか、それとも別の製品やクラウドサービスに移行するのかの判断に迫られることになります」(早川氏)
そうした仮想化基盤の課題を解消できる可能性があるのが、MicrosoftのOSをベースにしたHCI(ハイパーコンバージドインフラ)だという。Microsoftは、大きく2つのHCIを提供している。1つは、「Microsoft Azure」(以下、Azure)と連携したハイブリッドクラウド環境での運用を前提としたHCIソリューション「Azure Stack HCI」だ。OPEX(ランニングコスト)モデルで運用し、Azureサービスの一部として調達できるのが特徴となっている。
もう1つは、Microsoftが2024年11月に新バージョン「Windows Server 2025 」をリリースしたサーバOS「Windows Server」シリーズの、Datacenterエディション標準機能として利用できる「Storage Spaces Direct」(記憶域スペースダイレクト、S2D)だ。主にオンプレミス環境で仮想化基盤を利用し続けたい企業のニーズに応えるHCIをCAPEX(設備投資)モデルで構築できる。
HCIに最適なLenovoの「ThinkAgile MXシリーズ」
Azure Stack HCIとWindows ServerのS2Dに対応したサーバとして、Lenovoが提供しているのが「ThinkAgile MXシリーズ」だ。
Azure Stack HCIとWindows ServerのS2Dに対応するLenovoの「ThinkAgile MXシリーズ」(提供:レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ)《クリックで拡大》
ThinkAgile MXシリーズはAzure Stack HCIの認定ノードとなっており、事前に検証、構成済みのハードウェアを簡単にオーダーして、Azureサービスとシームレスに統合できる。「こちらも3ノードまでスイッチレス構成が可能ですが、Azure Stack HCIの場合は2ノードからスモールスタートすることもでき、中堅中小企業や地方拠点などのニーズにも柔軟に対応できます」(早川氏)
Windows ServerのS2Dで利用するケースでは、ThinkAgile MXシリーズで3ノードまでスイッチレス構成が可能。「仮想化基盤のソフトウェア階層を1つ減らすことに加えて、管理ツール『Windows Admin Center』でHCI全体を包括的に、シンプルに管理することで運用負荷の軽減が期待できます」(早川氏)
ThinkAgile MXシリーズのラインアップとしては、1Uラックモデルの「MX 630 V3 IS/CN」と「MX 3330シリーズ」、2Uラックモデルの「MX 650 V3 IS/CN」と「MX 3530シリーズ」がある。高いパフォーマンスが求められるデータベースサーバ「Microsoft SQL Server」や、信頼性が求められるアプリケーション仮想化基盤として活用できる。気になるのがWindows Server 2025 への対応だが、Lenovoでは既に主要なサーバ製品について認定済みで、OEM販売も開始しているとのことだ。
1Uラックモデルと2Uラックモデルに加えて、小規模拠点などのエッジ環境で利用が進んでいるのがThinkAgile MXシリーズのエッジモデル「ThinkAgile MX1000シリーズ」だ。「ThinkAgile MX1000シリーズは、A4サイズのノートPCとほぼ変わらない大きさで、場合によっては壁掛けや天井への設置も可能です。また、耐環境性(動作温度:0〜55度、粉じん、衝撃/振動への耐性)にも優れ、強固なセキュリティ機能(物理的/電子的セキュリティ対策、暗号化されたストレージ)を搭載しているため、企業の地方拠点や工場、倉庫、店舗をはじめとするあらゆるエッジ環境で利用できます」(早川氏)
エッジ環境のワークロードにも対応するLenovoの「ThinkAgile MX1000シリーズ」。耐環境性に優れ、強固なセキュリティ機能も搭載(提供:レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ)《クリックで拡大》
ThinkAgile MX1000シリーズは、仮想化基盤としても利用可能だ。エッジ環境における一般的なワークロードであれば、5〜10台程度の仮想マシンの運用は問題ないとのこと。実際にThinkAgile MXシリーズは、現場の仮想化基盤として広く導入され、大きな成果を上げているという。
ThinkAgile MXシリーズで仮想化基盤の刷新に成功
ここでThinkAgile MXシリーズの導入事例を紹介しておこう。北海道旭川市を中心に長きにわたり地域医療を支え続けてきた北彩都病院もThinkAgile MXシリーズが成果を上げている一つだ。同病院はSQL Serverベースの電子カルテをはじめ、多くの医療系システムの稼働を支えてきた仮想化基盤のハードウェアが更新時期を迎えるに当たり、冗長性や可用性、コスト効率に優れ、なおかつ人手のかからない基盤を構築したいと考えていた。
そうした中、注目したのがLenovoのThinkAgile MXシリーズで、仮想化基盤をWindows Server HCI/S2DベースのHCIに移行した。新たに共有ストレージ装置を導入することなく、複数サーバの内蔵ディスクをソフトウェアで仮想化して1つに束ねることで仮想的な共有ストレージを実現しつつ、これまで運用してきた物理サーバの利用形態を極力維持したまま、スムーズに移行できると考えたのである。実際に導入コストを抑えながら、高いレベルの冗長性や運用性を備えた仮想化基盤を手に入れることができたという。
IoT(モノのインターネット)プラットフォーム開発やITコンサルティング、各種システム開発、運用、保守など、幅広い事業を手掛けている森羅は、Azure Stack HCIの拡張性や可用性に着目した。同社は、北海道美唄市のそらち工業団地で進める農業IoTプロジェクト「Snow Cloud Platform」を推進するに当たり、拡張性や可用性に優れるクラウドアーキテクチャをオンプレミス環境に安価に構築できるソリューションを模索していた。そこで複数ベンダーが提供しているAzure Stack HCIの中から、コストパフォーマンスと信頼性を評価してLenovoのThinkAgile MXシリーズを採用。コストを最小限に抑えながらIoTシステムのサーバプラットフォームを構築するとともに、Azureとの優れた親和性を生かしてハイブリッドクラウドの運用に適したシステム環境を実現できた。
調査結果に示されたLenovoサーバの「信頼性、セキュリティ、性能」
ThinkAgile MXシリーズをはじめとするLenovoのサーバ製品が、なぜグローバルの多くの企業や組織から高い評価を獲得していることは、さまざまな調査結果でも示されている。米調査会社ITICが2024年3月に公開した調査によれば、Lenovoのサーバが4時間以上の計画外ダウンタイムを起こしたケースはわずか1%だったという。これはITICが調査対象にしたベンダーのサーバ製品の中で最小の数値だった。「Lenovoのサーバは、10年連続で最も信頼性に優れたx86サーバと評価されています」(早川氏)
同じくITICの調査では、セキュリティ攻撃を受けたダウンタイムについては、Lenovoのサーバ製品はわずか2%で、こちらもITICが調査対象にしたベンダーのサーバ製品の中では最小の数値だった。「Lenovoのサーバは、5年連続で最もセキュリティ攻撃耐性あるx86サーバと評価されています」(早川氏)
一方、性能面ではどうだろうか。スパコンのランキング「TOP500」の2024年版では、その3分の1がLenovoのサーバを採用していた(2024年11月にTOP500のリストが更新され、そこでも500システム中163システムがLenovo)。「サーバのパフォーマンスを示すさまざまな業界ベンチマークでも、多数の世界記録を獲得してきた実績があります」と早川氏は強調する。米国を中心として世界各地に存在する研究開発体制と生産体制が、Lenovoのサーバの信頼性、セキュリティ、性能を支えている。
Lenovoの日本の生産拠点としては、PCを製造する山形県米沢市の米沢事業所がある。そこで培われたモノづくりや品質管理のノウハウは、サーバ製品にも生かされている。ThinkAgileシリーズについても米沢事業所でキッティングされており、Lenovoが培ってきた品質へのこだわりが反映されているという。
「Lenovoが日本のお客さまの高い品質要求に応えるシステムを提供し続けることができるのは、これまで蓄積してきた品質向上のノウハウと実績があるからです」と早川氏。今後に向けては、Windows Server 2025 をベースとした製品やサービスの拡充を図り、仮想化基盤の刷新やハイブリッドクラウド移行など、多くの企業や組織の課題解決に貢献していく考えだ。
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提供:レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ合同会社、日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2024年12月21日