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2025年はハム100周年 「アマチュア無線フェスティバル ハムフェア2025」開催総務省も若手のハム愛好家育成に注力

日本最大の「ハムの祭典」である「アマチュア無線フェスティバル ハムフェア2025」が、日本のアマチュア無線100周年を記念し、8月23、24日に有明GYM-EXで開催される。

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 かつて「趣味の王様」として親しまれ、電波を通じて国内外の人々と交流を深めてきたアマチュア無線は、今日、その役割が大きく広がり、将来の通信技術を担う人材を育成する観点から、大いに期待が寄せられている。

 特に、総務省による積極的な規制緩和や、教育現場での体験機会の提供、さらには最新の通信技術との連携が進められており、アマチュア無線が次世代の技術者やイノベーターを育むための重要なプラットフォームとして注目されている。

 ITエンジニアに根強い人気のアマチュア無線、資格を所持する読者も多いのではないだろうか。そんなハム愛好家読者に朗報だ。日本アマチュア無線連盟(JARL)が主催する「アマチュア無線フェスティバル ハムフェア2025」が、2025年8月23、24日に開催される。

かつては「趣味の王様」と称されたアマチュア無線

 電波を通じて国内外の人と交流できる手段として、かつては「趣味の王様」と言われたアマチュア無線。日本は1975年にアマチュア無線の局数が30万局を超え、米国を抜き世界最大の「ハム王国」に達した。同開局数は1995年には過去最多の136万4316局に、日本アマチュア無線連盟(JARL)の会員数も1993年度には約19万4千人にまで増加した。

 その後、インターネットや携帯電話の普及により、2019年度まで27年間会員数が減少し続けたが、コロナ禍をきっかけに、2020年度から2年連続で会員数が増加に転じた。

 また、アマチュア無線は、災害などで携帯電話の通信網がダウンした際の重要な通信手段としても活躍することから、総務省が若手のハム愛好家育成に動いている。同省は2023年3月に電波法に基づく制度を改正し、有資格者の立ち合いのもとであれば、無資格者でも交信を体験できるよう規制緩和を行った。

 これは2020年4月に行われた規制緩和(資格者の子どもや生徒に限定)に続く取り組みであり、現在は小学校や教育科学館に体験局が開設されるなど、将来の通信技術を担う人材育成の観点からも期待されている。


ハムフェア 2024年の様子(写真提供:アイコム)

2025年は、ハム100周年

 2025年は、日本のアマチュア無線にとって「100年」の節目を迎える記念すべき年である。

 大正14年(1925年)に関東と関西のハム愛好家が短波帯を使って交信に成功したことが、国内初のアマチュア無線交信として認識されており、その翌年の1926年には日本アマチュア無線連盟(JARL)が設立された。

 アマチュア無線の大きなトピックの一つは、日本アマチュア無線連盟が大阪 関西万博に開設した特別記念局「8K3EXPO」だ。多くの愛好家が同局との交信に成功しようと、「自分の番になる」のを待ち構えていり。記念局側は1日平均500件の交信に成功しており、世界からの呼びかけに対応している。

 2025年はさらに、11年ぶりの「ハムの当たり年」でもある。11年周期で変化する太陽の活動が、アマチュア無線の遠距離通信に適した電波が届きやすくなる「極大期」を迎えており、アマチュア無線家たちは、この時期を最大限活用しようと意欲的に交信を行っている。

工作教室、遠隔操作体験など、さまざまなイベントが

 「ハムフェア2025」では、アマチュア無線家たちの自作品コンテスト入賞作品の展示や、特別記念局運用、電子機器製作などの工作教室、クラブの技術研究発表や活動紹介などのイベントが予定されている。

 出展企業の一社であるアイコムは、計11種の無線機に加え、アンテナなどの周辺機器を展示し、AI(人工知能)ロボット「temi(テミ)」が来場者を迎える。「遠隔運用コーナー」では、リモートコントローラー「RC-7760」を使用し、奈良県の同社研究所に設置されているアマチュア無線機「IC-7760」のRFデッキ(本体)を遠隔操作できる。「次世代ソリューションコーナー」では、米国のSpaceXの衛星通信網「スターリンク」を活用した無線通信技術を紹介する。

 衛星通信網は、通信インフラが未整備な山間部や離島でも無線機をインターネットに接続できる次世代の通信技術として注目されている。



 アマチュア無線は単なる趣味の領域にとどまらず、将来の通信技術を担う人材育成の観点からも大いに期待されている。電波や通信の基礎から応用、さらには最先端技術への関心を高め、次世代の通信技術者や研究者を育むための重要なプラットフォームとしての役割を果たしている。

 アマチュア無線フェスティバル ハムフェア2025は、日本のアマチュア無線100周年という記念すべき年に行われるだけでなく、11年ぶりの「ハム当たり年」や大阪・関西万博特別記念局の開設といった歴史的な活気に満ちた時期に開催される。

 総務省による規制緩和や災害時の重要な通信手段としての役割の再評価など、社会的な意義も高まっており、次世代技術の紹介やAIロボットの導入など、未来への展望も感じさせるイベントである。この機会に、アマチュア無線の過去、現在、そして未来を体験してみては、いかがだろうか。

アマチュア無線フェスティバル ハムフェア2025

  • 日時:8月23日(土)10:00〜17:00、8月24日(日)10:00〜15:30
  • 会場:有明GYM-EX(東京都江東区有明一丁目10番1号)
  • 入場料:一般 2000円/22歳未満 無料

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