Visual Studioが「MCP」に正式対応 AIによる開発がさらに容易に:ワンクリックで接続設定を完了できる機能も
Microsoftは2025年8月19日、「Visual Studio」において、AIエージェントと外部ツールとの連携を容易にする標準プロトコル「MCP」のサポートを正式に開始したと発表した。
Microsoftは2025年8月19日(米国時間)、統合開発環境(IDE)「Visual Studio 2022」のバージョン17.14.13を公開し、MCP(Model Context Protocol)に正式対応したと発表した。Visual Studioでの作業に関する情報をリアルタイムでAI(人工知能)エージェントに送信することで、開発者は「GitHub Copilot」などのAIエージェントをこれまで以上に活用できるようになるという。
Visual StudioでMCPを利用する3つのメリット
MCPは、AIエージェントが外部データソースに接続するための通信プロトコルだ。MCPを利用することで、開発者はツールごとの連携機能を用意する必要がなくなり、AIエージェントは、データベースやコード検索などの多様な外部サービスに共通の手順で接続できるようになる。
Microsoftは、Visual StudioでMCPを利用することのメリットとして以下の3つを挙げる。
カスタムワークフロー
開発者が自身で設置したMCPサーバや、既にあるMCPサーバを利用して、反復的なタスクの自動化、データベースの操作、社内APIの呼び出しなどの操作を、GitHub Copilotから直接実行できる。
社内システムやデータとの連携
機密データの安全性を保ちながら、AIエージェントを社内システムに接続できる。
的確な対話
GitHub Copilotが、プロジェクトの詳細情報を参照したり、関連システムにアクセスしたりできるようにすることで、より的確な回答を得られる。
MCP対応で何が変わった?
MCPクライアント機能
設定ファイル「.mcp.json」をソリューションに追加すると、Visual Studioが自動的に検出し、ローカルまたはリモートのMCPサーバに接続できるようになる。
シームレスな認証連携
Visual Studioで使っているアカウント情報をそのまま利用して、安全なMCPサーバにサインインできる。GitHubアカウントやMicrosoftアカウントなど、接続先サーバが採用している認証方法を開発者が意識する必要はなく、Visual Studioが自動で適切な手段を選択して認証する。
新しいMCPサーバへの簡単な接続
従来は手動でJSONファイルを編集する必要があったMCPサーバへの接続が簡素化され、ボタンをクリックするだけで、Visual Studioに新しいMCPサーバを追加できるようになった。具体的には、以下の2つの追加方法を利用可能だ。
- Webサイトから直接インストールする
- Webリポジトリで公開されているMCPサーバの接続設定を、自身のVisual Studioに追加、構成できる。Webページにある「Install in VS」(VSにインストール)ボタンをクリックするだけで、自動で接続設定が完了する
- Visual Studio内で追加する
- GitHub Copilotとのチャット欄のツール選択画面に新設されたGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)を操作することで、対話形式でサーバ情報を設定できる
企業向けのガバナンス制御
MCPサーバへの接続とGitHubのポリシー設定が連動したことで、企業のIT管理者は、社内におけるMCPサーバの利用を管理、制御できるようになった。IT管理者はGitHubのポリシー設定画面で、社内の全ユーザーに対してMCPサーバへの接続機能の有効/無効を切り替えることが可能だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
VS Codeの新バージョンで「MCPの全機能をサポートした」とMicrosoftが発表
Microsoftは2025年6月12日、「Visual Studio Code」の最新版「May 2025」(バージョン1.101)が、MCPの全機能をサポートしたと発表した。全てのVisual Studioユーザーが無料版「GitHub Copilot」を利用可能に Visual Studioでの開発体験はどう変わる?
Microsoftは、Visual StudioでもGitHub Copilotの無料プランであるGitHub Copilot Freeが利用可能になったと明らかにした。MCP(Model Context Protocol)とは何か? メリット、デメリット、活用例を分かりやすく解説
MCPは、LLMをファイルシステムやデータベース、各種APIといった外部のデータソースやツールとシームレスに接続するためのオープンなプロトコルだ。本記事では、ITエンジニアや開発者向けに、MCPの基本的な仕組みから、そのメリット、デメリット、具体的な活用例までを分かりやすく解説する。