Oracle、「Oracle AI Database 26ai」発表 無料で利用できる「Oracle AI Database Free」を提供開始:AIを中核に据え「Oracle Database」から改称
Oracleは、AI機能を中核に据えたデータベースの最新バージョンとなる「Oracle AI Database 26ai」を発表した。
Oracleは2025年10月14日(米国時間)、AI(人工知能)機能を中核に据えたデータベースの最新バージョンとなる「Oracle AI Database 26ai」を発表した。2024年に発表した「Oracle Database 23ai」の後継となるLTS(長期サポート)リリースだ。
Oracleは、Oracle AI Database 26aiについて「AIをデータおよび開発スタック全体で活用できる次世代AIネイティブデータベース」と位置付けており、製品名である「Oracle Database」を「Oracle AI Database」に改称した。また自律型データベース「Oracle Autonomous Database」も同様に、「Oracle Autonomous AI Database」に改称している。
Oracle Database 23aiのユーザーは、2025年10月中に提供予定のアップデートを適用することで、26aiで新たに追加される機能を追加費用なしで利用できるという。
Oracle AI Database 26aiは、下記のプラットフォームで利用可能だ。
- クラウドプラットフォーム
- 「Oracle Autonomous Database」
- 「Oracle Exadata Database Service」
- 「Oracle Base Database Service」
- 「Oracle Database@Azure」
- 「Oracle Database@Google Cloud」
- 「Oracle Database@AWS」
- 「Oracle Cloud Infrastructure(OCI) Compute VM」にインストールされたOracle Database
- オンプレミスプラットフォーム
- 「Exadata Cloud@Customer」
- 「Compute Cloud@Customer」
- 「Oracle Exadata Database Machine」
- 「Oracle Database Appliance」
- 「Oracle Private Cloud Appliance」
Oracleは開発・テスト向けにOracle AI Database 26aiを無料で利用できる「Oracle AI Database Free」の提供も開始した。
Oracle AI Database 26aiの主な特徴は次の通り。
Oracle AI Database 26aiの主な特徴
「統合ハイブリッドベクトル検索」に対応
AIベクトル検索と、リレーショナル、テキスト、JSONデータ、グラフデータ、空間検索を組み合わせ、1つのクエリで画像、動画、音声、構造化データを横断的に検索できるようになった。LLM(大規模言語モデル)やMCP(Model Context Protocol)サーバと組み合わせることで、高品質な回答を生成するエージェント型ワークフローを実現できるという。
MCPサーバのサポート
MCPのサポートにより、AIエージェントがさまざまな観点からデータベースを検索したり、追加データを取り寄せたりできる。
データベース内でAIエージェント実行、管理を完結
データベース内でAIエージェントを定義、実行、管理できる「Select AI Agent」が、Oracle Autonomous AI Databaseで利用可能になった。データを外部に移行させることなく、AIワークフローを実現できるという。
データプライバシーを保護
データベース内で高度なセキュリティ、プライバシー、コンプライアンスのルールを適用する。エンドユーザーごとに行、列、セルレベルでデータ可視性を制御したり、権限のないデータに対して動的にマスキングを追加したりする。これらにより、機密データを公開せず、SQLやAPIを使用してAIがデータベースに直接アクセスできるようにする。
耐量子アルゴリズム(ML-KEM)をサポート
転送中のデータを暗号化するため、NIST(米国国立標準技術研究所)が承認した耐量子暗号化アルゴリズム(ML-KEM)を実装した。保存データに対する既存の耐量子暗号化と組み合わせることで、組織のデータを盗み、将来的に量子コンピュータを使って解読することを防ぐよう設計しているという。
「Private AI Service Container」
埋め込みモデル、オープンウェイトLLMなどのAIモデルをプライベートインスタンスで実行するための、あらかじめ構築・テスト済みのコンテナ環境を提供する。
データレイク連携を実現する「Oracle Autonomous AI Lakehouse」を提供開始
Oracleは同日、Oracle Autonomous AI Databaseを中核とするデータプラットフォーム「Oracle Autonomous AI Lakehouse」の提供を開始した。
データレイクハウスやデータレイクなどのモダンアーキテクチャの実装に広く使われている、オープンソースのデータテーブルフォーマット「Apache Iceberg」をネイティブでサポートし、異なるクラウドやプラットフォームに散在するデータを統合。一元的なデータ分析を支援するという。
Oracle Autonomous AI Lakehouseは、OCI、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloudで利用可能であり、DatabricksやSnowflakeとの連携にも対応する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
Oracle、「Oracle Database 23ai」を発表 AIベクトル検索に対応、SQLでBoolean型を追加
Oracleは、コンバージドデータベースの最新バージョン「Oracle Database 23ai」を発表した。AIベクトル検索が導入されたことに加え、SQLの改善も複数施されている。グラフデータベース機能やRaftプロトコルも実装された。生成AI活用におけるデータベース管理はどうあるべきか――PostgreSQLをけん引するEnterpriseDBに聞く
生成AIの登場でデータ活用やデータマネジメントの在り方が大きく変わりつつある。生成AIの進化は速く、AIに関わるデータをどう管理するか、多くの企業の課題になっているのが現状だ。企業のデータとAIの取り組みを支援するEnterpriseDBのCEOに話を聞いた。社内AIエージェントをノーコードで構築 Googleが「Gemini Enterprise」を公開
Googleは、AIと社内データを安全かつ効率的に連携させる企業向けサービス「Gemini Enterprise」を発表した。企業のワークフロー全体でGoogleのAIを活用できるようにすることを目指しているという。