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止まらない障害、尽きない誤検知 「オブザーバビリティ」はAI時代の運用現場を変えるのか?“アラート疲れ”をどう乗り越えるか

Cisco Systemsは、傘下のSplunkが実施したオブザーバビリティに関する現状調査の結果をまとめた年次レポート「State of Observability 2025: The Rise of a Business Catalyst」を発表した。それによるとオブザーバビリティは、AI導入や顧客体験向上など、ビジネス価値を生み出す「原動力」になりつつあるという。

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 Cisco Systemsの傘下であるSplunkは2025年10月21日(米国時間)、オブザーバビリティ(可観測性)に関する現状調査の結果をまとめた年次レポート「State of Observability 2025: The Rise of a Business Catalyst」を発表した。この調査は、日本を含む世界9カ国のIT運用およびエンジニアリングの専門家を対象に2025年2〜3月に実施し、1855人から有効回答を得た。

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 なお、ここでいうオブザーバビリティとは、単なる監視(もしくはそのための仕組み)ではなく、「システム全体を可視化し、そこで得られた知見を関係者で共有し、ビジネスの成果に結び付ける活動」のことだ。

ビジネス成果を後押しするオブザーバビリティ

 デジタル体験が顧客エンゲージメントの主要な手段となる中、顧客体験や製品ロードマップなど、ビジネス全体の戦略的意思決定に、オブザーバビリティから得られる洞察が活用されているとSplunkは説明している。

 レポートによると、回答者の74%が「オブザーバビリティは従業員の生産性にプラスの影響を与えている」と答え、65%が「オブザーバビリティは収益にプラスの影響を与えている」と答えている。また、74%は「オブザーバビリティは重要なビジネスプロセスの監視に重要である」と考えており、65%が「ユーザージャーニー(ユーザーが製品やサービスに関わる過程全体)の理解にオブザーバビリティは不可欠だ」と回答している。

 Splunkのパトリック・リン氏(オブザーバビリティ担当 上級副社長 兼 ゼネラルマネジャー)は、「オブザーバビリティの実践者は、顧客エンゲージメント戦略や製品ロードマップにおける重要なビジネス意思決定のステークホルダーになりつつある」と述べている。

AI時代のオブザーバビリティ

 一般的に、オブザーバビリティの有効性は、インシデントの対応や抑止能力で測られることが多い。だが、レポートによると、IT運用やエンジニアリングチームを悩ませているのは「ツールの乱立」(59%)や「誤検知アラート」(52%)であり、その課題への対策としてもオブザーバビリティは有効だという。

 回答者の76%が「日常業務で、AIを活用したオブザーバビリティを定期的に利用している」と回答している。AI活用の利点を尋ねたところ、78%が「アプリケーションやインフラのメンテナンスではなく、より多くの時間を製品のイノベーションに費やせるようになった」と回答した。60%は「AIはトラブルシューティングと根本原因分析にプラスの影響を与える」と予測し、58%は「セキュリティ脆弱(ぜいじゃく)性の検出を改善する」と考えている。

 その一方でレポートは、AIがもたらす複雑さも指摘している。オブザーバビリティの担当者がパフォーマンス、モデルの精度、コスト管理を確保するために、より多くの時間をAIワークロードの監視に費やしている。回答者の47%は「AIワークロードの監視によって、業務がより困難になった」と答え、40%がAI対応の課題として「専門知識の不足」を挙げている。レポートは、企業がAIを導入するに当たり、オブザーバビリティ担当者に、AI特有のワークロード管理に必要な専門知識の習得機会を提供することの重要性を強調している。

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