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「中国籍の男が不正アクセス」「インドでサポート詐欺」 サイバー犯罪“過去最多”の中身ネットバンク不正送金の約9割がフィッシング 警察庁がレポートを公表

サイバー空間の脅威動向に関する警察庁のレポートは、サイバー犯罪の国際化やフィッシングの増加など、深刻化する脅威の実態を示した。具体的には何が起きているのか。

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 警察庁は2026年3月12日、サイバー空間の脅威動向に関するレポート「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」を公表した。不審なアクセスやフィッシングの報告件数が増加し、サイバー犯罪の検挙件数が過去最高となるなど、サイバー空間における脅威の深刻化が明らかになった。

無視できないサイバー犯罪“国際化”の実態

 同レポートによると、脆弱(ぜいじゃく)性探索などの不審なアクセスは増加が続いており、その大半が海外からの通信だった。国家の関与が疑われるサイバー攻撃も複数発生しているという。

 2024年末から2025年初めにかけては重要インフラ事業者を中心に、DDoS(分散型サービス拒否)攻撃によるとみられる被害が相次いだ。事業者が遮断措置を講じても、攻撃側が手口を変えて攻撃を継続する事例もあった。

 サイバー特別捜査部(警察庁におけるサイバー犯罪専門の捜査組織)と、警視庁などの都道府県警察は2025年11月、中国籍の男らを金融商品取引法違反と不正アクセス禁止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律)違反の容疑で逮捕した。他人の証券口座への不正アクセスおよび不正取引によって利益を得ていたという。

 警察庁および都道府県警察はインドの捜査機関である中央捜査局(CBI:Central Bureau of Investigation)と連携して、日本人を標的としたサポート詐欺(偽のサポート窓口を装って、遠隔操作や支払いを要求する詐欺)事件の国際共同捜査を進めた。その結果として2025年5月には、CBIがインド国内でインド人の容疑者6人を逮捕した。

深刻化するフィッシングの脅威 不正送金の中心的な手段に

 フィッシングについては増加傾向が続いており、2025年の報告件数は245万4297件に上った(図1)。インターネットバンキングに関する不正送金は4747件発生し、被害総額は約103億9700万円に達した。これらの不正送金の約9割は、フィッシングによるものだった。

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図1 2025年におけるフィッシングの報告件数および被害総額(出典:警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」)《クリックで拡大》

 ボイスフィッシング(電話を使ってだますフィッシング)による法人口座の不正送金被害は、2024年秋から2025年4月にかけて急増した。その後は一時的に沈静化したものの、同年11月に被害が再び急増し、1社で4億円を超える被害も発生した。

 証券会社をかたるフィッシングメールについては、2025年の報告件数は31万6414件に上った。証券口座への不正アクセスや不正取引も発生しており、同年の不正売買金額は約7408億円に達した。

サイバー犯罪の検挙件数が過去最高に 警察庁は対策を強化

 違法情報(法令違反や権利侵害に直結する情報)や有害情報の通報窓口であるインターネット・ホットラインセンター(IHC)が2025年に受理した情報(63万3036件)の分析結果によると、違法情報は10万5553件だった。サイバー犯罪の検挙件数は同年に1万5108件となり、過去最高を記録した(図2)。

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図2 サイバー犯罪の検挙件数の推移(出典:警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」)《クリックで拡大》

 警察庁は、サイバー犯罪の拡大や被害の発生を防ぐための取り組みを進めている。2025年8月には同庁と、政府のセキュリティ政策を統括する組織である国家サイバー統括室(NCO)が米国など各国と連携し、中国を背景とするサイバー攻撃グループに関する国際アドバイザリー(注意喚起文書)に共同署名した。

 サイバー犯罪対策の体制も強化しており、2025年4月にはサイバー特別捜査部に特別対処課を新設した。2026年度から、サイバー事案への対処に専従する技術系職員を採用する計画だ。都道府県警察では、中途・特別採用の警察官など約480人が、サイバー犯罪を専門に捜査するサイバー特別捜査官として既に第一線で活動している。

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