AI導入は進むが……IT部門の8割が悲鳴「自社インフラが耐えられない」:シャドーAIは“インフラ整備の遅れ”が原因?
Nutanixは企業のITインフラ動向を調査した年次レポート「Enterprise Cloud Index」を公開した。AI活用が広がる中で、多くの企業のインフラがAIワークロードに対応できていない現状が明らかになった。
Nutanixは2026年3月24日、企業のITインフラ動向を調査した年次レポート「Enterprise Cloud Index」を公開した。同調査は世界14カ国の従業員数500人以上の企業に勤務するITおよびエンジニアリング部門の幹部1600人を対象に、調査会社Wakefield Researchが2025年11月13〜23日に実施したものだ。
調査ではITリーダーの85%がAIによってコンテナ化が加速していると回答する一方で、82%は自社のインフラがAIワークロードに十分に対応できていないと回答するなど、AI導入が広がる中での課題感が浮き彫りになった。具体的な内容は以下の通り。
AIの普及で変わりつつあるインフラの前提
レポートはAI導入のスピードとインフラの準備状況にギャップが生じているとし、AIは単に新しいワークロードであるだけでなく、インフラの見直しを迫る要因にもなっていると指摘している。
従来のインフラの課題として、レポートはハードウェアやソフトウェアの進化にインフラが追い付いていない現状を挙げている。AIの普及を背景に、GPUやAIアクセラレーター、メモリ、サーバ設計などの新技術が短期間のうちに登場する状況となっている。特定のベンダーや構成へのロックインを回避しつつ、新しいハードウェアを柔軟に取り込めるインフラの必要性が高まっている。
AIを取り巻くソフトウェアも進化にも従来のインフラが対応できていないという。多くのAIワークロードはコンテナ上で実行される一方、従来のインフラはVM(仮想マシン)ベースのままであることが一般的だ。フレームワークの更新や依存関係の変化、GPUの要件の変更などに頻繁に対応する必要もある。こうした状況では、新しいAIモデル導入のたびに運用負荷が高まる他、新たなスキルが必要になったり、運用作業が複雑化したりする。
データ主権がインフラの意思決定で最優先事項に
ITリーダーの80%は、データ主権(データやシステムを自国内で管理・統制する権利)はインフラの意思決定において優先度が高い要素、または必ず考慮すべき要素だと回答した。IT幹部の87%は、公式な管理・監督の外でAIツールやAIエージェントを使用することは企業にリスクをもたらすと考えている。
「シャドーAI」の拡大はインフラ整備の遅れ
ITリーダーの79%がIT部門以外のスタッフによるAIアプリケーションやAIエージェントの導入が発生していると回答した。「シャドーAI」の拡大は無責任な行動が原因ではなく、ビジネス部門が求めるAI導入のスピードに対し、IT部門による安全なインフラ提供が追い付いていないことが要因だと、同レポートは指摘している。
メンテナンスに費やす時間が競争力を左右
レポートによると、企業はパッチ(修正プログラム)適用やアップグレード、トラブルシューティングなどのメンテナンスに業務時間の60〜80%の時間を費やしている。だがAI時代においては、運用維持に費やしてきた時間を、新たなアプリケーションの構築やAI機能の導入、モデルのトレーニング、データガバナンスの改善などに充てるべきだとしている。
競争優位を決めるのは「変化への適応力」
AIの進化が速いことを前提にすると、従来のインフラの問題は静的なことにあるという。レポートは、今後の競争優位は以下の取り組みをどれだけ迅速に実行できるかに左右されるとしている。
- 新しいハードウェアの導入
- LLM(大規模言語モデル)の継続的な更新と統合
- データ主権の維持
- シャドーAIの抑止
- 一貫性のあるプラットフォームでの運用
「変化に柔軟に対応できる基盤を構築した企業が優位に立つ一方で、対応が遅れた企業は長期的に競争力の差を埋めることが困難になる可能性がある」と、レポートは結論付けている。
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