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みずほFGが実現 2週間かかるAIエージェント開発を最短数日にする仕組みとは?数千個のAIエージェント活用を見据えて「エージェントファクトリー」を構築

AIエージェントを短期間で開発、量産するための仕組み「エージェントファクトリー」を構築したみずほフィナンシャルグループ。複雑なAIエージェントの開発期間を最大70%短縮し、最短数日での開発を可能にする。

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 みずほフィナンシャルグループ(以下、みずほFG)は、AIエージェントを短期間で開発し、運用後に改善しやすくする仕組み「エージェントファクトリー」を構築した。グループ全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を担うデジタル戦略部で2026年2月から利用を始めており、今後は全社展開を進める。

 生成AIを安全かつ効率的に業務利用するために、みずほFGは2025年12月に「Wiz Base」の本格運用を開始した。Wiz Baseは、Amazon Web Services(AWS)のクラウドサービス群をベースにした、AI向けITインフラだ。同社はWiz Baseを活用し、生成AIに加えて、特定の業務プロセスを自律的に実行するAIエージェントの導入も進めている。個別業務の効率化だけではなく、業務全体の自動化や高度化を狙う。

AIエージェント開発期間を短縮する「エージェントファクトリー」の中身とは?

 みずほFGは案件ごとにAIエージェントを個別開発しており、開発スピードや品質の再現性を維持しにくいことが課題になっていた。AIエージェントを全社規模で安全かつ迅速に展開し、改善や拡張を進めるための仕組みとして、エージェントファクトリーを構築したという。その具体的な中身を整理しよう。

 エージェントファクトリーは、AIエージェントの開発や量産を支えるシステムと、運用体制を一体化した仕組みだ。AIエージェントの開発からデプロイ(展開)、運用、改善までのプロセスを標準化する。従来は約2週間かかっていた、複雑なAIエージェントの開発期間を最大70%短縮し、最短数日にすることを狙う。

 みずほFGは、将来的に数千個のAIエージェント活用を想定している。エージェントファクトリーの構築によって、開発者が増えても設計や運用の手法を統一しやすくすることで、量産時のAIエージェントの品質やセキュリティの維持に加えて、本番運用後の改善を容易にする。

 エージェントファクトリーの主要な構成要素は、以下の3つだ。

  1. 共通テンプレート「Agent Template」
    • 標準化された構成での開発/デプロイを可能にするために、AIエージェントの構築に必要な要素をまとめたテンプレート。初期構築の負荷および開発者による設計/運用手法の差異を抑えて、本番運用後の評価や改善を進めやすくする。
  2. 独自設計原則「AI Oriented Architecture」(AIOA)
    • 金融機関に必要な水準の信頼性確保を前提に、ガバナンスやセキュリティを重視して設計した独自の設計原則。これに基づいてAIエージェントを設計することで、厳格なセキュリティやガバナンスを維持しながら、開発/デプロイのスピードと量産性の両立を可能にする。
  3. 業務特性に応じた開発ツール
    • 高度な処理や複雑なシステム連携が必要な業務には、AWSのAIエージェント開発・運用サービス「Amazon Bedrock AgentCore」を活用。迅速な開発が必要な業務では、オープンソースのAIアプリケーション開発ツール「Dify」を使う。

 みずほFGは、デジタル戦略部の内部組織である「内製開発ラボ」を中心に、現業部門の要望に応じてAIエージェントを迅速に開発・提供する体制を整備している。加えて同部内に設置した技術支援チームに開発ノウハウを蓄積することで、AIエージェントを量産しやすくする。

メモリ機能の追加など機能強化を継続

 エージェントファクトリーについて、みずほFGは利用部門を順次広げる他、機能強化も図る。具体的には利用者ごとの情報を記憶してAIエージェントの応答内容に反映する「メモリ」機能の実装や、複数のAIエージェントが連携して業務を実行する仕組みの改善などを段階的に進める。これにより社内業務の効率化や高度化を実現し、顧客に対する迅速かつ的確な提案やサポート、付加価値の高い金融サービスの提供につなげる考えだ。みずほFGは2026年3月31日に本取り組みを発表した。

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図 エージェントファクトリーによる変化と想定効果(出典:みずほフィナンシャルグループのプレスリリース)《クリックで拡大》

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