「AIを使えば早くできるでしょ」と言われがち――エンジニアを困らせる"勘違い"の正体とは?:“認識のずれ”がストレスやキャリアにも影響
AIは万能ではないのに、非エンジニアから「AIがあるのだから、もっと早くできるのではないか」と期待されてしまう――。エンジニアを悩ませる、こうした“認識のずれ”の背景には何があるのか。調査から探る。
ITキャリア支援を手掛けるキッカケクリエイションは2026年8月31日、システム開発に携わるエンジニア321人を対象とした「ITエンジニアの開発メンタル負荷実態調査」の結果を発表した。AIの普及後にストレスが増えたと感じるエンジニアの割合や、非エンジニア職から受ける期待やプレッシャーなど、開発現場のストレスの実態を調べた。
「ChatGPT」「GitHub Copilot」といったAIの業務利用が広がった2025年以降に、ストレスが増えたかどうかを聞いたところ、「非常にそう思う」(7.8%)と「ややそう思う」(28.3%)が合計で36.1%と約4割に上った。これらの回答者116人に、新たに感じているストレスを複数回答で尋ねると、最多は「非エンジニア職から『AIがあるならもっと早くできるだろう』という期待やプレッシャーを受けること」で、53.4%だった。
「AIがあるなら早くできるでしょ」という“勘違い”の正体
実際に、非エンジニア職から「AIがあるならもっと早く・簡単にできるだろう」といった趣旨の期待や発言を受けた経験があるかどうかを尋ねると、「頻繁にある」(10.6%)と「時々ある」(35.2%)が合計で45.8%と、約半数に達した。AIは万能ではないにもかかわらず、なぜこうした状況が生じているのか。
背景には、関係者間におけるコミュニケーションの問題が深く関わっている可能性があると、キッカケクリエイションは分析する。実際、自身の職種のストレスや苦労が、プロジェクトマネジャーや営業職、非エンジニア職などの他職種に十分に理解されていると思うかどうかを尋ねたところ、「あまりそう思わない」(35.5%)と「全くそう思わない」(10.3%)の合計は45.8%と、約半数に上った(図1)。
関係者間のコミュニケーションの不備による認識のずれは、エンジニアのストレスにつながっている。精神的な負荷・ストレスが最も高いと感じる開発フェーズがあると答えた回答者291人について、そのフェーズで感じる主なストレス要因を上位3つまでの複数回答で尋ねたところ、「エンジニア同士で認識がずれていることが後から判明すること」が33.7%、「非エンジニア職(他部署・経営層など)と認識がずれていることが後から判明すること」が22.3%だった。
ストレス要因の最多は「事前に決まっていたはずのことが途中で変わること」(37.8%)だった。認識のずれや決定事項の変更に関わる問題が、エンジニアにとってストレスの大きな要因になっていることがうかがえる。
ストレスはエンジニアのキャリアにも影響
現在の開発業務で感じているストレスの状況を踏まえて、今後もエンジニアとして働き続けたいと思うかどうかを聞くと、「環境(会社・現場)を変えて続けたい」が37.7%で、「できれば離れたい」(15.0%)と「すぐにでも離れたい」(4.0%)の合計は19.0%だった。企業がエンジニアの定着を図る上で、ストレスが看過できない要素になっているとキッカケクリエイションは指摘する。
ストレス軽減や働きやすさ向上のために、今後求めたいことを上位3つまでの複数回答で尋ねたところ、「適切な工数・スケジュール設定ができる体制」が41.7%でトップだった(図2)。「給与・報酬の改善」が30.2%、「関係者間の認識合わせを効率化する仕組み」が29.3%で続いた。
調査は、IDEATECHの調査サービス「リサピー」を利用したインターネット調査として、2026年5月13〜20日に実施した。
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