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「従来型SIerに先はない」、CTCが“上流コンサル人材”に活路を求める理由:「顧客の要件に応える」だけでは通用しない

顧客企業の要件に基づいてシステムを構築する従来のSIerのビジネスモデルが、転換期を迎えている。伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)はなぜ上流コンサルティングに乗り出したのか。その背景には顧客ニーズと競争環境の変化がある。

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 顧客企業の要件に基づいてIT製品を提案し、システムを設計・構築することで事業を拡大してきたSIer(システムインテグレーター)。しかし、顧客企業がSIerに求める役割は変わりつつある。

 顧客企業のIT企画・構想や要求整理といった上流工程にも支援範囲を広げようとしているのが、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)だ。同社では2010年代後半ごろから、顧客企業からITインフラやシステム運用の見直し、将来のIT構想などについて相談を受ける機会が増え始めたという。

CTCなぜCTCは上流コンサルティングに乗り出したのか

 CTCは顧客企業の要望の変化に合わせ、上流コンサルティングを専門とするチームを立ち上げた。その背景には、SIerを取り巻く事業環境の変化があった。

 背景には、企業がこれまで積み増してきたITインフラやシステム運用の体制を、経営状況や「持たざる経営」の考え方に合わせてスリム化しようとする動きがあった。

 競争環境にも変化が生じていた。従来はIT戦略の策定や業務改革などの上流工程を得意としていたコンサルティングファームが、SIや運用にまでサービス領域を広げるようになっていたためだ。

 こうした状況を受け、CTC社内では、従来と同じようにシステムの設計・開発段階から案件に参画するだけでは、今後のビジネスの幅が狭まるのではないかという危機感が生まれていた。そこで2023〜2025年度の中期経営計画で掲げた「ビジネス変革への挑戦」の一環として、IT企画・構想を提供するコンサルティングビジネスの推進に着手した。

 上流コンサルティングチームの支援範囲は、顧客企業の現状分析や要求整理に加え、課題解決に向けたシステムアーキテクチャの企画・構想までとした。具体的には、RFP(提案依頼書)を作成する一歩手前までの工程を対象としている。

「プロダクトありき」から「顧客課題起点」へ

 上流コンサルティングへの進出には、従来のSIとは異なる考え方やスキルを持つ人材の育成が必要だった。従来のSIでは、顧客の要件をヒアリングし、それを正確に実装することが重視される。一方、要件が固まっていない上流工程では、顧客の要望をそのまま形にすることが最適とは限らない。

 顧客が本当に解決したい課題は何か、そもそも提示された要望は適切なのか。こうした点を顧客と議論しながら、あるべき要求を引き出していく必要がある。顧客との接し方も変わり、システム構築の現場よりも頻繁にコミュニケーションを取り、課題を整理することが求められる。

 そこでCTCは、上流コンサルティング人材に求めるスキルを定義。情報処理推進機構(IPA)の「デジタルスキル標準」(DSS)を参考に必要なスキル項目を抽出し、チームのメンバーの実情に合わせて5段階に分類した。

 さらに、IT戦略の立案や業務改革、人材育成などを支援するケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズと、上流工程の業務設計、案件獲得活動、人材育成、実案件を通じたノウハウ蓄積という4つの領域で事業計画を策定した。

 人材育成では、2025年11月から5人の社員が、同社の「プロジェクトリーダーおよびプロジェクトチーム養成学校」を受講。上流工程の進め方を体系的に学ぶとともに、演習や課題を通じて実践的なスキルの習得を目指した。

 特に重視したのが、取り扱うIT製品を起点に提案を考える「プロダクトありき」の発想から、顧客の課題を起点に解決策を検討する発想への転換だ。

 実際、研修では受講者が設定した課題をCTCの取り扱う製品の提案につなげようとする場面もあった。こうした発想を見直し、顧客の課題を出発点に仮説を立て、検証を重ねながら適切な解決策を提案する考え方を学んだ。

上流コンサルティング人材の育成で何が変わったのか

 研修では、プロジェクトのゴールやコンセプトの明確化、取り組む範囲と取り組まない範囲の設定、チームビルディングなど、上流工程を進めるための具体的な方法論も習得した。

 受講後は、学んだ手法を実際の業務に取り入れる動きが生まれている。例えば、新しいメンバーが加わったプロジェクトでは、互いの役割や期待を共有するチームビルディングの手法を実践。提案資料の作成では、最初に資料のゴールを定め、伝えるべき内容のストーリーを組み立てる方法を取り入れた。

 さらに、研修を受けた社員が、部内の他の社員による提案書作成を支援する取り組みも始めている。製品を起点とした提案ではなく、顧客の課題を起点とするストーリーを組み立てられるよう支援することで、研修で得た知識や考え方を組織内に広げる狙いだ。

 CTCは今後、上流コンサルティングチームの社内認知度を高め、他部門から案件の相談や紹介が集まる体制を目指す。また、チームとしての強みを明確にし、実案件での実績を積み重ねることで、自律的に上流案件を生み出せる組織づくりを進める方針だ。

 ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズが2026年9月29日に本事例を発表した。

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