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「ITエンジニア争奪戦」はむしろ激化、AIがあっても“技術者不足”が深まる理由:どのIT人材が足りないのか(1/2 ページ)

生成AIやAIエージェントで開発・運用の自動化が進む一方、IT人材不足は解消していません。企業の間での争奪戦は激化しているともいえる状況です。AIがあってもなぜITエンジニアは足りないのでしょうか。

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 生成AIやAIエージェントの普及により、コード生成やテスト、監視など、ITエンジニアの役割だった業務を自動化・効率化できる範囲は急速に広がっています。単純に考えると、企業が必要とするIT人材の数は減っていくようにも思えます。

 しかし各種調査から見えてくるのは、それとは逆の現実です。企業ではIT人材への需要が拡大しています。とはいえ、特定の技術職において特に人材不足になる傾向も見られ、一律には語れない側面もあります。

 AIの利用が急速に広がる時代においても、ITエンジニアの争奪戦が終わらないのはなぜなのか。3つの調査結果から、その理由と背景を探ります。

争奪戦が激しくなる「ITエンジニア職」とその理由

 IT調査会社のアイ・ティ・アール(以下、ITR)が2026年8月6日に発表した調査によると、システム技術者の不足状況について「確保できていない」と回答した企業は全ての職種で3割を超えました。

 中でも、特定の技術職の人材不足が深刻になっている状況が見られます。

 特に著しく不足する傾向にあるのは、高度な知識や経験を持つ上級職です。システムエンジニア(上級)は42%、コンサルタント(上級)は40%の企業が「確保できていない」と回答しました。企業が直面しているのは、単なる「人手の数合わせ」ではなく、高度な判断力と技術力を持つ即戦力人材の深刻な不足です。

システム技術者が「確保できていない」企業の割合
システム技術者が「確保できていない」企業の割合(提供:ITR)

企業の9割が「需要増加」を実感、契約単価も高騰

 背景にあるのは、エンジニアへの需要そのものの拡大です。「非常に増加している」(28%)、「やや増加している」(62%)を合わせ、90%の企業が需要増を実感しており、この調査で9割に達したのは今回が初めてでした。

 需要増加の要因としては、「DXプロジェクトの推進」「生成AI活用など新規テクノロジーの調査・研究」「セキュリティ管理の強化」などが上位に挙がりました。いずれも単に作業量をこなせばよい仕事ではなく、専門知識に加えて、技術と業務を結び付ける判断力が求められます。IT人材への需要が拡大するとともに、求められるスキルも高度化しているとみられます。

システム技術者の需要増加要因
システム技術者の需要増加要因(提供:ITR)

 高度な人材を巡る需給の逼迫(ひっぱく)は契約単価にも表れています。ITRによると、2026年度は特にコンサルタント(上級)やシステムエンジニア(上級)で契約単価の上昇が目立ちました。

世界的に見ても「AIで人員削減」は技術職全体には当てはまらない

 AIによって既存業務が自動化されれば、長期的にはITエンジニアの人数は減っていくのでしょうか。

 Linux Foundationが2026年5月18日(米国時間)に公開した「2026 State of Tech Talent Report」(2026年 技術系人材の現状レポート)は、その見方が技術職全体には当てはまらないことを示しています。

大企業ほど雇用減、中堅・中小企業はむしろ増加

 調査対象企業の97%がAIの実装に取り組む中、2026年の技術職の純雇用効果(増加率−減少率)は、全体で見れば31%増となる見通しです。

 AIによる人員削減が全く起きていないわけではありません。Linux Foundationの調査では、人員削減は従業員数2万人以上の企業(純雇用効果が4%減)など一部に限られており、従業員数2万人未満の企業では28〜42%増と強い採用意欲が続いています。

 職種別でも、AI関連(60%増)を筆頭に、ソフトウェア開発(28%増)、技術管理(22%増)、IT運用(17%増)と幅広い分野で雇用が伸びています。中でもソフトウェア開発の雇用は、2023年から2033年の間に17.9%増加する見込みで、全職種平均の4%を大きく上回っています。

 一方、採用拡大の裏側では、深刻な人員不足も報告されています。

 Linux Foundationの世界調査では、2026年に人員不足が最も深刻だったのは「AI&MLエンジニアリング」で、47%が人員不足と回答しました。「サイバーセキュリティとコンプライアンス」(40%)、「FinOpsとコスト最適化」(36%)も高い水準にあります。

技術職の人員不足状況
技術職の人員不足状況(提供:Linux Foundation)

AIを「作る」だけでなく「安全に運用する」人材が足りない

 AI活用が進むことで、新たな能力不足も顕在化しています。企業が最も深刻と感じている能力不足は「AIセキュリティとリスク管理」「AI運用と監視」(ともに57%)、「AIワークロードのコスト最適化」(54%)、「AIインフラに関する専門知識」(45%)と続きます。

 企業に必要なのは、AIモデルを開発する人材だけではありません。AIを本番環境に組み込み、安定して運用し、セキュリティやプライバシー、コストなどを管理するためのスキルも求められます。

 Linux Foundationの調査では、AIから価値を得ることを妨げる要因として「セキュリティ上の懸念」(43%)が最多となり、新技術導入時の課題でも「セキュリティとプライバシーに関する懸念」(48%)が2024年の17%から急速に高まっています。

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