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PC市場、全世界的に険しい道
先週はPCの出荷・販売状況に関するリポートが集中した。それぞれ期間・PCの定義など異なるので単純比較はできないが、全体像を読み解いていこう。
まずは、IDC Japanの「国内PC市場出荷実績(2002年上半期)」から。今年上半期(1-6月)の国内PC出荷台数は、680万4510台で前年同期比15.1%減と厳しいものとなった。
2002年に入ってからは、ビジネス市場において市況の落ち込みが激しく、「厳しい経済環境下で投資抑制が続いている」(IDC
Japanのシニアマーケットアナリスト新行内久美氏)とするが、その一方で既存システムのリプレース先延ばしにも限界あると指摘し、国内PC市場の下半期を4.7%増(特に家庭市場で10.4%)と予測している。
メーカーシェアでは上位のNEC、富士通、ソニーは相変わらずだが、今年2月に発表されたIDC Japanの「2001年の日本国内におけるパソコン出荷実績」では7.9%のシェアがあった日本IBMが6.1%となり、順位を落としているのが気になる。
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| 2002年上半期国内PC市場ベンダ・シェア [IDC
Japan] |
一方、日経マーケットアクセス発表の「国内PC販売状況(2002年8月)」を見てみると、2002年1-8月の累計PC販売台数は前年同期比15.2%減、販売金額では同16.3%減で、「パソコンの法人需要が回復する兆しはまったく見られない」(GfK
JapanのITグループアナリスト有川佳尚氏)という状況。特にディーラ・VAR経由のPC販売台数は前年同月比で約25%減という。
同じく日経マーケットアクセス発表の「家電量販店でのPC販売台数調査(2002年9月)」では、2002年1-9月の家電量販店における累計PC販売台数は前年同期比で11.9%減、第3四半期(7-9月)の販売台数も前年同期比で16.69%減で、夏商戦本番の7月は販売台数前年同月比27.3%だったという。
ただし、9月第4週以降は各社が冬モデルの投入することなどにより徐々に回復し、2002年10月は19カ月ぶりに前年同月比がプラスになる可能性が高いという。とはいえ、対象となる2001年10月は2001年中最も落ち込んだ月であり、年末商戦本番の段階でどのようになるかはまだ、不透明といえよう。
ガートナージャパンの「世界のPC出荷台数調査2002年第3四半期」
は、世界マーケット全体のリポート(数字は暫定値)。2002年第3四半期(7-9月)の世界PC出荷台数は、3217万6500台で前年同期比5.8%増とわずかながら成長を示した。
しかしガートナーではこの成長は、“誇張”であるとしている。対象となる前年同期の2001年第3四半期は9月11日の同時テロによる大きな落ち込みを見せているからだ。
こうした中でも米国市場の対前年比8.6%を始め、欧州、中近東・アフリカ、アジア太平洋などが1桁成長を示しているが、ラテンアメリカと日本だけは出荷が減少しているという。
さらに2000年問題の際に購入されたPCの買い替え需要は高まりつつあるとしながらも、景気好転が望めない状況で、「買い替えサイクルは来年中盤まで起こりそうもない」と悲観的だ。日本のPC市場はかなり厳しい状況にあるといえるだろう。
メーカー別シェアを見ると、デルが世界シェアでは僅差で、米国シェアでは断然トップ。特に前述のような経済環境下、2002年第3四半期の前年同期比が世界で20.7%増、米国で25.7%と驚異的な伸びを示している。
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| 2002年第3四半期世界PC市場ベンダ別出荷台数(シェア) [ガートナージャパン] |
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| 2002年第3四半期米国PC市場ベンダ別出荷台数(シェア) [ガートナージャパン] |
世界のPC出荷台数調査2002年第3四半期
国内PC販売状況(2002年8月)
家電量販店でのPC販売台数調査(2002年9月)
国内PC市場出荷実績(2002年上半期)
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