Modelの本番コードを実装しよう
まず、Userクラスのインスタンスにおいて、User#hitokotosメソッドにより、関連するHitokotoインスタンスが取得できるように本番コードを実装しましょう。
[Railsエクスプローラー]のtsubuyakiプロジェクト以下、[モデル]からUserをダブルクリックし、Userクラスのスクリプトuser.rbを編集エリアに開きます。
そして、クラスメソッドhas_manyを使用した1行をスクリプト中に追加します。
class User < ActiveRecord::Base validates_presence_of :name has_many :hitokotos end
なんと、この1行を追加するだけで、Userクラスの本番コードは実装完了です。ActiveRecordが提供するアソシエーション機能により、UserモデルとHitokotoモデルとの間に「一対多」関連があると認識され、関連するHitokotoインスタンスを取得するためのメソッドUser#hitokotosを含む関連インスタンスへの多様なアクセサメソッドが定義されることになります。
繰り返しますが、このように自動的に関連インスタンスへのアクセサメソッドが定義されるのは、Ruby on Railsの規約に則って実装を進めているからこそです。先ほどのマイグレーションにおいて、hitokotosテーブルにuser_idという名前でusersテーブルへの関連IDを追加したおかげで、上記の1行によりUserインスタンスから関連するHitokotoインスタンスを解決できるのです。
続いて、Hitokotoクラスのスクリプトhitokoto.rbの本番コードを実装していきましょう。ここでもやはり、belongs_toメソッドを使用した1行を追加するだけです。ここで、第2回で動作確認に使用したvalidates_length_ofの行は削除しておきましょう。
class Hitokoto < ActiveRecord::Base validates_presence_of :hitokoto belongs_to :user end
それぞれのファイルに、たった1行ずつコードを追加しただけですが、これでこのイテレーションでの本番コードの実装は完了です。
改めて、UserモデルとHitokotoモデルの関連を確認してみましょう。
- User has many Hitokotos(ユーザーは複数の「ひとこと」を持つ)
- Hitokoto belongs to User(「ひとこと」は、あるユーザに属す)
上記の本番コードとして記述した部分は、この関連の文章そのものであることが分かります。このように、検討しておいたモデル間の関連を、ほぼそのまま本番コードに記述し、それがそのまま動くというのは、とても直観的で分かりやすいスタイルといえるでしょう。
ユニットテストの再実行
それでは、このイテレーションの仕上げとして、ユニットテストを再実行し、テストが正常に実行できることを確認しましょう。[Railsエクスプローラー]ビューの[ユニットテスト]を右クリックし、[実行]−[Rubyテスト]をクリックします。
上図のような結果が得られたでしょうか。ユニットテストが正しく完了した場合、進捗バーは緑で表示されます。
これで、1つめの要件を満たすためのイテレーションは完了です。イテレーション中、新しい操作がいろいろ出てきたため戸惑ったかもしれませんが、改めて作業を見返してみると、個々の作業量はとても小さかったことにお気づきでしょうか。
また、こういったイテレーションを繰り返しながら要件を実装していくことで、1つ1つの要件を着実に実装できそうなことも実感できたことでしょう。
次回は、もう1つの要件である「複数ユーザーによる『ひとこと』を可能にする」の実装を行います。
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Index | |
「つぶやき」アプリを改修してみよう(前編) | |
Page1 追加するModel候補を洗い出してみよう 新しいModelクラスのアソシエーション(関連)を検討しよう Modelクラスの改修と追加作業の流れ |
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Page2 複数ユーザーによる「ひとこと」を可能にする Modelのテストを実装しよう テスト用サンプル「フィクスチャ」の準備 |
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Page3 ユニットテストコードの実装 テスト用データベースの準備 ユニットテストを実行してみよう |
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Page4 Modelの本番コードを実装しよう ユニットテストの再実行 |
3rdRailによるRailsプログラミング入門 |
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