第2回 jpmobileはじめの一歩

設樂 洋爾

2009/2/23

ディスプレイ情報の取得

 携帯電話の画面サイズは機種により異なっているため、これらに合わせた出力を行いたい場合、request.mobile.displayを利用することができます。例えば、

<%=h request.mobile.display.width %> x <%=h request.mobile.display.height %>

とすると、画面の幅、高さを表示できます。Webブラウザ部分の画面サイズが取得できた場合はそのサイズが、Webブラウザ部分のサイズが取得できなかった場合には画面そのもののサイズが返ります。

 ただし、これらの値は必ずしも取得できるとは限りません。うまく取得できない場合にはnilが返されますので、適切に取り扱う必要があります。例えば、

<% if request.mobile.display.width && request.mobile.display.width >= 240 %>
  大きな画面用
<% else %>
  普通の画面用
<% end %>

のようにすると、画面の幅が取得できて、かつ240px以上の場合に「大きな画面用」が出力されます。

 なお、PCからのアクセスの場合はrequest.mobileがnilになるため、上記のコードではnilに対してメソッドを呼ぼうとしてエラーが出ます。必要に応じて<% if request.mobile? %>〜<% end %>でくくるなどの対処をしてください。

 auやソフトバンクの携帯電話では、HTTPリクエストヘッダからディスプレイ情報を取得していますが、ドコモの携帯電話はディスプレイ情報がリクエストに含まれていません。そこで、User-agentの文字列から機種を取得し、jpmobileに内蔵されているテーブルを参照することでディスプレイ情報を提供しています。

 従って、このテーブルに含まれていない機種では、ディスプレイ情報を正しく取得できません。vendor/plugins/jpmobile内でrake updateすると、このテーブルが更新されます(ほかにIPアドレス帯域テーブルなども更新されます)。

 ただし、キャリアのWebサイトからHTMLをスクレープすることで情報を取得しているため、レイアウトなどが変わると正しい情報が取得できなくなる可能性があることに注意が必要です。gitリポジトリのmasterのテーブルも適宜更新されていますので、これを取得し直す方法もあります。

まとめ

 jpmobileを利用して携帯電話アプリケーションを作成するうえで、最も基本的な処理であるキャリアの判別機能と、適切な画面出力を行う際に便利なディスプレイ情報の取得の機能について紹介しました。次回は位置情報の取得や認証にまつわる話題を扱う予定です。

 携帯電話やRailsを取り巻く状況が時々刻々と変わって行く中、jpmobileもまた変わり続けています。「われこそは!」と思われた方は、ぜひIRCやMLにて議論に参加していただければと思います。そして、GitHubでコードをforkしていただければ幸いです。皆さまからのすてきなpull requestをお待ちしています。http://jpmobile-rails.orgをご覧ください。

3/3
 

Index
jpmobileはじめの一歩
  Page1
jpmobileをRailsに組み込んでみる
アクセス元が携帯電話かPCかを判定する
  Page2
携帯電話からのアクセスの場合にリダイレクトする
携帯電話ビューへの自動振り分け
Page3
ディスプレイ情報の取得
まとめ
jpmobileとRailsで楽しい携帯Web開発

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