ここがポイント! DBセキュリティの実装(5)
成田泰彦 (なりた やすひこ)
フォーティネットジャパン株式会社
セールスエンジニアリング部 シニアコンサルティングSE
株式会社アシストにてRDBMSを使ったアプリケーション開発の技術支援エンジニアとしての経験を基に、後年ではシングルサインオン・アクセスコントロールシステムの構築支援・コンサルタントを担当。
その後アイピーロックスジャパン、日本オラクルにてDBセキュリティ、ID管理セキュリティソリューションをプリセールスエンジニアおよびセールスマンとして担当。
さらにはDBセキュリティコンソーシアムの研究員も務めるなどして、ここ最近の約10年間はセキュリティソリューションにどっぷり漬かってきている。
現在はフォーティネットジャパンにてコンサルタントとして奮闘中。つい最近ゴルフを始めたばかりで、下手くそな自分と一緒にラウンドしていただける忍耐力の強い方を募集中。
PCI DSS準拠のためにデータベースができること
DBセキュリティ製品は体制確立の一手段として活用可能
PCI DSS遵守を実現するためには、手順、プロセス、および技術的制御の組み合わせが必要になります。どのようなベンダも、単独ではPCI DSSの12要件をすべてカバーできる解決法を提供することは不可能です。そのような中で、カード会員データ保護にかかわる要件については、データベースセキュリティ製品が大いに役に立つことが期待でき、費用対効果に優れた実践的なソリューションであるといえます。
実際には、今回述べた項目以外の要件に対してデータベースセキュリティ製品を広く適用することが可能です(表2参照)。また、今後PCI DSSには新たな要件が追加されることも予想されます。そうしたことに備えて、いまからでもデータベースセキュリティ製品を導入して体制を確立することをお勧めします。
●表2 PCI DSSの要件とDBセキュリティ対策製品で検出/改善すべき内容PCI DSS要件 | DBセキュリティ製品リスク診断機能で検出/改善すべき内容 | |
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要件2 | システムパスワードおよびほかのセキュリティパラメータにベンダ提供のデフォルト値を使用しないこと。 | |
2.1 | システムをネットワーク上に導入する前に、ベンダ提供のデフォルト値を必ず変更する(パスワード、簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP)コミュニティ文字列の変更、不必要なアカウントの削除など)。 |
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2.2.4 | スクリプト、ドライバ、機能、サブシステム、ファイルシステム、不要な Web サーバなど、不要な機能をすべて削除する。 |
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要件6 | 安全性の高いシステムとアプリケーションを開発し、保守すること。 | |
6.1 | すべてのシステムコンポーネントとソフトウェアに、ベンダ提供の最新セキュリティパッチを適用する。重要なセキュリティパッチは、リリース後 1カ月以内にインストールする。【注1】 |
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6.2 | 新たに発見された脆弱性を特定するためのプロセスを確立する(インターネット上で無料で入手可能な警告サービスに加入するなど)。新たな脆弱性の問題に対処するために、PCI DSS 要件 2.2 で要求されているとおりに構成基準を更新する。 |
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6.3.1.5 | 適切な役割ベースのアクセス制御(RBAC)の検証 |
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6.3.5 | 本番環境システムがアクティブになる前にテストデータとテストアカウントを削除する。 |
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要件7 | カード会員データへのアクセスを業務上の必要な範囲内に制限すること。 | |
7.1.1 | 特権ユーザーIDに関するアクセス権が、職務の実行に必要な最小限の特権に制限されていること。 |
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7.1.2 | 特権の付与は、個人の職種と職能に基づくこと。 |
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7.2.2 | 職種と職能に基づく、個人への特権の付与。 |
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要件8 | コンピュータにアクセスする利用者ごとに個別のID を割り当てること | |
8.5.5 | 少なくとも90日ごとに非アクティブのユーザーアカウントを削除/無効化する。 |
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8.5.6 | リモート保守のためにベンダが使用するアカウントは、必要な期間のみ有効にする。 |
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8.5.9 | 少なくとも90日ごとにユーザーパスワードを変更する。 |
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8.5.13 | 最大6回の試行後にユーザーIDをロックアウトして、アクセス試行の繰り返しを制限する。 |
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要件11 | セキュリティ・システムおよび管理手順を定期的にテストすること | |
11.2 | 内部および外部ネットワークの脆弱性スキャンを少なくとも四半期に一度およびネットワークでの大幅な変更(新しいシステムコンポーネントのインストール、ネットワークトポロジの変更、ファイアウォール規則の変更、製品アップグレードなど)後に実行する。【注2】 |
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11.3.2 | アプリケーション層のペネトレーションテストの実施 |
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要件12 | 情報セキュリティに関するポリシーを整備すること | |
12.1.2 | 脅威、脆弱性、結果を識別する年に1度のプロセスを正式なリスク評価に含める。 |
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12.1.3 | レビューを少なくとも年に1度含め、環境の変化に合わせて更新する。 |
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12.5.4 | 追加、削除、変更を含め、ユーザーアカウントを管理する。 |
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【注1】
組織は、パッチインストールの優先順位を付るために、リスクに基づくアプローチの適用を検討できる。例えば、重要なインフラストラクチャ(一般に公開されているデバイス、システム、データベースなど)に重要性の低い内部デバイスよりも高い優先順位を付けることで、優先順位の高いシステムおよびデバイスは 1 カ月以内に対処し、重要性の低いシステムおよびデバイスは 3 カ月以内に対処するようにする。
【注2】
四半期に一度の外部の脆弱性スキャンは、PCI(Payment Card Industry)セキュリティ基準審議会(PCI SSC)によって資格を与えられた Approved Scanning Vendor(ASV)によって実行される必要があります。ネットワーク変更後に実施されるスキャンは、会社の内部スタッフによって実行することができます。
組織は、パッチインストールの優先順位を付るために、リスクに基づくアプローチの適用を検討できる。例えば、重要なインフラストラクチャ(一般に公開されているデバイス、システム、データベースなど)に重要性の低い内部デバイスよりも高い優先順位を付けることで、優先順位の高いシステムおよびデバイスは 1 カ月以内に対処し、重要性の低いシステムおよびデバイスは 3 カ月以内に対処するようにする。
【注2】
四半期に一度の外部の脆弱性スキャンは、PCI(Payment Card Industry)セキュリティ基準審議会(PCI SSC)によって資格を与えられた Approved Scanning Vendor(ASV)によって実行される必要があります。ネットワーク変更後に実施されるスキャンは、会社の内部スタッフによって実行することができます。
筆 者 略 歴
成田泰彦 (なりた やすひこ)
フォーティネットジャパン株式会社
セールスエンジニアリング部 シニアコンサルティングSE
株式会社アシストにてRDBMSを使ったアプリケーション開発の技術支援エンジニアとしての経験を基に、後年ではシングルサインオン・アクセスコントロールシステムの構築支援・コンサルタントを担当。
その後アイピーロックスジャパン、日本オラクルにてDBセキュリティ、ID管理セキュリティソリューションをプリセールスエンジニアおよびセールスマンとして担当。
さらにはDBセキュリティコンソーシアムの研究員も務めるなどして、ここ最近の約10年間はセキュリティソリューションにどっぷり漬かってきている。
現在はフォーティネットジャパンにてコンサルタントとして奮闘中。つい最近ゴルフを始めたばかりで、下手くそな自分と一緒にラウンドしていただける忍耐力の強い方を募集中。
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Index | |
PCI DSS準拠のためにデータベースができること | |
Page 1 完全対応の期限が迫るPCI DSS データベース監査で対応するPCI DSSの要件 |
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Page 2 要件1:カード会員データを保護するために、ファイアウォールをインストールして構成を維持すること 要件3:保存されるカード会員データを保護すること 要件6:安全性の高いシステムとアプリケーションを開発し、保守すること 要件7:カード会員データへのアクセスを、業務上必要な範囲内に制限すること 要件10:ネットワークリソースおよびカード会員データへのすべてのアクセスを追跡および監視する |
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Page 3 DBセキュリティ製品は体制確立の一手段として活用可能 |
ここがポイント! DBセキュリティの実装 |
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