業界の熱い視線を集めるDWHアプライアンス
2011/4/21
どのベンダと組む?あるいは買収?
近年データベース関連では、データウェアハウス(DWH)やビジネスインテリジェンス(BI)に関連する製品が成長しており動きが活発です。本来大規模なデータを扱うためのシステム設計は高度な技術が必要で、導入まで長い時間がかかり、ハードウェアのコストも大きくなりがちです。それをいかに安価で、簡単に、短期間で導入できるようにするか。そこで各社ともハードウェアとソフトウェアを一体化、最適化した「アプライアンス」を投入するようになってきています。
この流れから、特定のハードウェアベンダとソフトウェアベンダがタッグを組むようになってきたのが興味深いところです。IBMはもともとソフトウェアとハードウェアの両方を自社で用意できますが、オラクルはサン・マイクロシステムズと組みました(買収しました)。最新のExadataはオラクルとサン・マイクロシステムズの技術が詰まっています。
Exadataといえば、2008年9月に発表された初代製品のハードウェアはヒューレット・パッカード製でした。当時は「両社が3年かけて開発したアプライアンス製品」とアピールしていました。しかし、後にオラクルはサン・マイクロシステムズを買収し、2代目のExadataからハードウェアはサン・マイクロシステムズの技術を生かしたものになったのです。
余談ですが、アメリカのオラクルではヒューレット・パッカードのCEOだったマーク・ハードさんが社長に就任するという人事がありました。Exadataのたどってきた歴史を考えると皮肉な縁ですね。一方のヒューレット・パッカードは、昨年からストレージの3PAR、クラウド環境用のデータベースソフトのストラタビアなど積極的に買収戦略を進めています。これらの買収の成果が大きく花開くのが楽しみです。
マイクロソフトとHPのアプライアンス
ヒューレット・パッカードの買収戦略の行方も気になりますが、大きなソフトウェア企業との提携という形でビジネスを進めてもいます。お相手はマイクロソフトです。
マイクロソフトのデータベースといえば「SQL Server」です。最新版となる2008 R2では、DWH向けに「Madison」という開発コード名でParallel Data Warehouseの開発が進んでいました。
2010年5月に2008 R2が登場し、それから少し時間をあけて秋ごろにParallel Data Warehouseが発表になり、年が明けて2011年3月に正式にマイクロソフトとHPが提携して開発したアプライアンス製品が提供開始になりました。満を持して、ようやくです。
今回提供が始まるアプライアンス製品は、大規模DWH専用アプライアンス製品「HP Enterprise Data Warehouse Appliance」と、BI機能に特化した「HP Business Decision Appliance」です。
マイクロソフトとヒューレット・パッカードは記者発表会で「DWHのこれまでの固定概念を覆す」と意気込みを見せています。これまでのDWHは高価で特殊技能を必要とするものでしたが、今回の製品でDWHの敷居を下げることを狙っています。
価格面では両社の長期協業契約で、最適なアプライアンス製品を開発できる体制が整ったことと、Excelとの親和性の高さをいっそう強化して利便性を高めたところが大きななポイントとなりそうです。特にセルフサービスBIに関しては「Excel感覚で文系社員にも使える!」と操作が簡単になったことを大きくアピールしています。
マイクロソフトとHPは今後もさらに提携して製品を発表していくとのことです。楽しみですね。
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Page 1 どのベンダと組む?あるいは買収? マイクロソフトとHPのアプライアンス |
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