業界の熱い視線を集めるDWHアプライアンス
2011/4/21
DWHアプライアンスに特化したネティーザ
最後にちょっと面白いDWHアプライアンス、ネティーザを紹介します。2月25日にClub DB2にて「あなたも惚れる!Netezza」と題してネティーザのアプライアンスを詳しく紹介する勉強会がありました。長年データベースに携わっているエンジニアが驚き、うなるような濃い内容でした。
実はDWHアプライアンスの分野ではネティーザは先駆けともいえる存在です。データが爆発的に増えていくなか、DWH構築に多大な労力とコストがかかってしまうことが課題となってきて、「簡単に使えるDWHを作ろう」をコンセプトに2000年に会社が設立されました。
同社が最初のDWHアプライアンス製品を世に出したのが2003年。当初はハードウェアもソフトウェアも自社製品でした。2006年に登場した第3世代から処理性能が大きく上がり、顧客数もぐんぐん伸びました。そして、他社も追随するようにアプライアンス製品を次々と出すようになります。ちなみにオラクルが2008年にExadataを初めて発表したときはラリー・エリソンCEOがネティーザを口にしていたそうです。かなり対抗意識があったのでしょう。
そしてネティーザが2009年に発表した第4世代アプライアンス「TwinFin」から、IBM製のハードウェアを使うようになり、その少し後にIBMがネティーザ買収を発表しました。今やネティーザはIBM製品の仲間です。
ネティーザのアプライアンスの特長は導入、運用が簡単で、処理性能が高く比較的安価に導入できるという点にあります。運用の簡便化を追求した結果、現在のネティーザ製品はまるで家電のように簡単に操作できるそうです。DWHに特化するためにかなり割り切ったことをしているというのが筆者の印象です。
ちなみにデータベースはPostgreSQLをベースにしているそうですが、独自の進化を遂げています。例えばネティーザのアプライアンスではデータベースにインデックスがないそうです。びっくりされる方もいらっしゃるかと思いますが本当です。実際にネティーザのアプライアンス相手に“create index”とコマンドを打つと無情にもエラーになるそうです。インデックスのないデータベースなんてにわかには信じがたいですよね。
その代わりというべきかZoneMapというデータの位置情報を管理するものがあり、必要な領域をスキャンできるようになっているそうです。例えば、「4月の販売データ」のようにまとまって入力されるものを検索するような処理を得意としているそうですが、「誕生日が4月の人」のようにバラバラに入力されるものを検索するようなときも、ばらばらに配置されたレコードを物理的に同じブロックにまとめて再配置してくれる機能を備えているので、インデックスやパーティションなどを設計することなく運用できるそうです。
FPGAを使ってプロセッサにかかる負荷を軽減
もう1つ大きな特徴となるのがFPGA(Field-Programmable Gate Array)の採用です。FPGAは家電などでよく使われるもので、ユーザーが独自の論理回路を作れるチップです。ネティーザのアプライアンスではストレージにあるデータの解凍と絞り込みにプロセッサを利用せず、バス上にあるこのFPGAでストリーミングで処理してしまいます。これが高速処理の秘密だそうです。データの圧縮と解凍は独自方式で、データにもよりますが圧縮率はおおよそ1/4です。
まさに家電のような手軽さを求めて割り切りからできたような製品です。チューニングする余地があまりないどころか、チューニングする必要はまったくありません。ネティーザは実機検証を推奨しているようなので、ネティーザのアプライアンスが目的のシステムにはまるかどうか相性を確かめた上で導入を決定されることをお勧めします。
ではまた来月、お会いしましょう。過去記事もどうぞ!
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