Database WatchDatabase Watch 2012年1月版

2012年は私たちが勉強会を盛り上げる!

加山恵美
2012/1/23

Officeのインストラクターからデータベースエンジニアに

 今回紹介するもう1人は、フリーのエンジニアとして活躍している「なぎ(椰)@TSPC」さん(写真)です(@NagiCats)。現在は勉強会やイベントに参加するだけでは飽き足らず、運営側に回るほど積極的に活動しています。

 椰さんはエンジニアになる前はMicrosoft Officeの講習インストラクターとして働いていました。Microsoft Excelの関数の使い方や、Microsoft Accessを使ったデータ管理などについて教えていたそうです。

 インストラクターとして働いていたある時、経理向けシステム開発のプロジェクトでエンジニアを増員することになり、会計に詳しい椰さんに白羽の矢が立ちました。それが、エンジニアとしての活動を始めるきっかけでした。

 エンジニアとして最初に使ったリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)はMicrosoft SQL Server。次に触れたのがIBM DB2。DB2を手に取ったきっかけはなんと「本屋で売っていたから」。そういえば、ソースネクストがDB2を小さなパッケージに入れて1980円で売っていたことがありました(参考:Database Watch 2004年10月版「イチキュッパでDB2が買える超デフレ時代」)。

 もともと椰さんは四国で働いていましたが、2006に東京へ活動の拠点を移します。しかし、「東京に来るまで、Oracle Databaseがこれほど有名なものだとは知らなかった」とのこと。これがきっかけになったのかもしれませんが、東京にやってきて間もなく、IT技術者向けの勉強会に参加するようになりました。「スキルアップという目的もありましたが、何よりもデータベースを学ぶ人たちがどんな人か知りたかったのです」と椰さん。人への興味がかなり強いようです。

やがて自身で勉強会を主催するように

 もともとSQL Serverを使っていたこともあり、SQLTOなど、複数の勉強会に参加。インストラクターの経験があるためか、すぐに運営側としてかかわるようになります。2011年7月には自ら勉強会「Technical Skill Professional Community(TSPC)」(@TSPC2011)を立ち上げました。

 TSPCではデータベース、ネットワーク、基本情報技術者試験、そして簿記もテーマとしています。データベースとネットワークは、データベースエンジニアとして働く上で、直接関係するテーマです。業務には直接関係しないかもしれませんが、基本情報技術者試験はエンジニアとしての価値の証明とも言えます。しかし、なぜ簿記なのでしょう。

エンジニアも簿記を学ぶべき!

 椰さんは「私にとって帳簿とはデータの宝庫」と断言。帳簿は、企業のお金の動きをすべて記載したものです。帳簿をまとめる行為が簿記。つまり、簿記を担当するということは、企業のお金の動きをすべて自分の目で見るということです。そして、帳簿のデータを格納するというのは、データベースの用途としてごく一般的なものです。コンピュータシステムの根幹を考えるにはいい題材かもしれません。

 さらに椰さんは「エンジニアの多くは自分の給与明細の中身をよく理解していません。自分が社会保障を受けるためにいくら払い、会社がどれだけ負担しているか。給料や税金など、金銭感覚を磨くためにも簿記の知識は重要です」とも言います。

 実際にこれまでTSPCではIBM DB2ハンズオン勉強会(参考:Database Watch 2011年9月版)、簿記3級勉強会、ネットワークスペシャリスト試験対策勉強会などを開催してきました。

大切なのは正答ではなく、そこに至るまでの考え方

 椰さんが手掛ける勉強会は、試験対策をテーマにしたものが多く、勉強会のはずが講師から参加者への一方通行の講義になりがちです。そうなることを防ぐため、椰さんは参加者が発言する機会を設けるように心掛けています。その理由について椰さんは「試験対策となると丸暗記に走りがちです。答えの正否より大切なのは考え方。自分の考えを発表すること、他人の考えを聞くことで、参加者には引き出しを増やしてもらいたいのです」と話しています。

 椰さんはエンジニアに必要なスキルとしてデータベース、ネットワーク、セキュリティの3つを挙げます。その理由を「技術、特に言語には流行があるけれどデータを格納するデータベースに関するスキルは必要不可欠。そして今やスタンドアロンでコンピュータシステムを作ることはほぼあり得ないので、ネットワークに関するスキルも欠かせません。ほかのコンピュータと接続するようになるとセキュリティが課題となります」と語ってくれました。

現実の人間関係を大切にしたい

 勉強会では資料を豊富に用意するという椰さん。「伝えること」だけではなく、「初心者を大切にしたい」という気持ちも常に抱いています。「初心者は突拍子もない質問をしてくることもありますが、本人は分からないから質問しているのです。初心者の質問には丁寧に接したいです」と話しています。

 もう1つ、椰さんが大事にしているのが「現実(の人間関係)を大切にする」。大切な人ほど実際に会って付き合いたいとのこと。「今年の目標はネットでお世話になった人と、1人でも多く実際にお会いしたいです」と椰さん。現実の人間関係を大切にし、技術を伝えることに熱心なとても真っすぐな人です。

 ではまた来月、お会いしましょう。過去記事もどうぞ!

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Index
2012年は私たちが勉強会を盛り上げる!
Page 1
DB業界にもついに「女子会」が!
数少ない女性技術者に会える貴重な場
ブログを書くまでが勉強会!
これから目指す道と、オリジナル勉強会のプラン
→ Page 2
Officeのインストラクターからデータベースエンジニアに
やがて自身で勉強会を主催するように
エンジニアも簿記を学ぶべき!
大切なのは正答ではなく、そこに至るまでの考え方
現実の人間関係を大切にしたい



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