SQL Server、OOWにIQ、盛りだくさんの4月
2012/4/20
Microsoft SQL Server 2012、4月1日から提供開始
3月23日、日本マイクロソフトはMicrosoft SQL Server 2012の企業向けボリュームライセンスを4月1日から、パッケージ製品を5月18日から提供を開始すると発表しました。
記者会見では日本マイクロソフト 代表執行役社長の樋口泰行氏(写真)が登場。同氏が新製品で強調したのはビッグデータへの対応です。「データからモーション」へ、タイムリーな意思決定を実現することの重要性を挙げました。
樋口氏は新製品で「競合製品と遜色がないレベルまで到達した」と、名指しはしなかったものの、データベースの可用性や性能はOracle Databaseに追いついたと自負しました。同氏は具体名には言及しませんでしたが、新製品ではこれまでお伝えしてきたようにAlwaysOnによる高可用性、カラムストアインデックスによる集計処理の高速化、BIをブラウザからExcel感覚でインタラクティブに使えるPowerViewなどが機能改善の要となっています。
マイクロソフトの調べによると、国内データベース市場において新規導入の件数ではすでに1位を獲得したものの、売上金額ではまだ2位に甘んじているとのことです。マイクロソフトは「売上金額でも1位を獲得し、真のナンバーワンに」とデータベース市場の覇者になる意気込みを見せました。新製品投入で逆転を狙う構えです。
Oracle OpenWorld Tokyoでラリー・エリソン氏登場
4月4日から3日間、オラクルはOracle OpenWorld Tokyo 2012(OOW)を開催しました。東京でOpenWorldを開催するのは3年ぶり。2日目の基調講演には、米オラクル CEOのラリー・エリソン氏が会場の大画面に登場しました(写真)。サンフランシスコ以外で開催する同イベントでエリソン氏がライブで講演するのは初めてではないかとのことです。筆者も太平洋を挟まず同氏の講演をライブで聞けたのは初めてです。
エリソン氏は「Engineered Systems」、いわゆる「Exa」シリーズ(Exadata、Exalogic、Exalytics)となる製品群の優位性を力強く語りました。ハードウェアとソフトウェアを融合し、新たな技術、新たなアーキテクチャ、並列化を実装したことで、「最高のパフォーマンスで最低のコスト」であると胸を張っていました。
「誰にも負けない」−−そんな自信がみなぎっているようでした。臆(おく)すことなくライバル企業の名前を出し、自社の優位性を語る姿は実に堂々としています。ライバルに対抗することが、エリソン氏のやる気の源なのかもしれないと感じました。
Oracle Big Data Applianceでビッグデータ活用へ
さて今回は、オラクルのビッグデータに関連する製品に注目します。オラクルは昨年のOpenWorld San Franciscoにて、ビッグデータ向けの統合プラットフォーム「Oracle Big Data Appliance」を発表しています。
今回のOOWでは当製品に関するセッションがいくつか設けられ、そのうち1つは同社 製品戦略統括本部 戦略製品ソリューション本部 プリンシパルセールスコンサルタント 下道高志氏(写真)が講演しました。
ビッグデータ。単にデータサイズが大きいだけではなく、密度が低く、多岐にわたる膨大なデータからビジネスに有用な洞察を得ることが潮流となっています。例えば「サイトにアクセスした顧客が購買に至らなかった理由は?」という答えをサイトのデータアクセス履歴だけではなく、TwitterやFacebookなどネットの雑多な情報も含めて探すようなものです。
最終的には、「商品詳細をクリックしたが購入しなかった顧客のうち、60%は自分に合うサイズが在庫切れだった」といった何らかの行動につなげられて、かつ確度の高い情報を獲得することが目的です。しかし、現実はそう簡単ではありません。
データがすべてRDBに入っているならまだ扱いやすいですが、ネットにあふれる膨大なデータも扱うとなるとデータの取得、体系化、抽出、分析といったそれぞれの段階ごとに困難に直面します。
こうした課題のソリューションの1部品となるのが「Oracle Big Data Appliance」です。Oracle Big Data Applianceは、Exaシリーズのようにハードウェアとソフトウェアを一体化した製品となっています。ソフトウェアは非構造化データの蓄積や処理にHadoop(HDFS)があり、また準構造化データの蓄積、高速処理、高拡張性にOracle NoSQL DBがあり、多彩なデータを扱えるようにしています。同時に従来のRDBデータと連携するためにOracle Big Data Connecorsが4種類。さらにこれらのデータを解析、マイニングするためにオープン言語「R」を採用しています。
下道氏は長らくHadoopに携わっている立場から「ラック間を40GB/sのInfinibandでつなげることができるなんて夢のようです」と話していました。また同製品はあらかじめほとんどの部品が組み立てられ、整然とした配線で納品されます。箱(ラック)が届いたらほぼサーバルームに置くだけ。ハードウェアは高密度、高性能なだけではなく、導入の手軽さも魅力の1つとなっています。
最後に下道氏はビッグデータ利活用の3ステップを段階別に説明しました。昨今ビッグデータが流行なので「なんか良さそうだから/処理が遅いから、ビッグデータにしてみよう」と考えてしまう人もいるそうですが、そこは「待った」。その前にすべきことがあります。
まずは既存の「構造化データの活用(SQL文の見直しも含めて)」をするべきだと同氏。その後で非構造化データと構造化データの融合に着手し、そこからビジネス・インテリジェンスや、ビジネス・インサイトへとつなげるという流れで行くのがいいそうです。これで世にあふれるビッグデータを手なずけることができるでしょうか。
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