.NET開発者中心 読者調査レポート

クライアント技術の動向とコーナーへのフィードバック

―― 第2回 「.NET開発者中心」コーナー・アンケート結果(2010年2月実施) ――

デジタルアドバンテージ 一色 政彦
2010/03/30

 @IT/Insider.NETのサブコーナーである「.NET開発者中心」では、2010年2月18日(木)〜2月27日(土)の期間、Windows/.NET ベースの業務アプリケーション開発に携る@IT読者を対象に、Web上での自記式アンケートによる読者調査を行った(調査実施機関はアイティメディア株式会社。有効回答数は376件)。

 本稿は、その調査結果から、「クライアント・テクノロジ」と「.NET開発者中心へのフィードバック」に関するものを抜き出してグラフ化し、簡単な考察を付記したものである。なお、本稿で取り上げなかった調査結果は、TechTargetでホワイトペーパーとして提供される予定である。

クライアント開発テクノロジの動向

クライアント開発で使用しているテクノロジ

Q. アプリケーションのクライアント開発で現在使用しているテクノロジを、いくつでもお選びください。

クライアント開発で使用しているテクノロジ

 .NET開発者中心では、業務アプリケーション開発者をターゲットにしている。それも影響していると考えられるが、クライアント開発テクノロジとしては、58.5%の開発者、つまり大半がWindowsフォームを利用している。次に多いのがASP.NETで30.9%である。

 Silverlightの利用者はまだまだ少ないのが分かる。また、Silverlightが3.5%であるのに対し、WPFは4.8%と、実はSilverlightよりもWPFの方が、利用者が若干多いことにも注目したい。この理由はやはり、「WindowsフォームからWPFへの移行が、自然で妥当な移行パスである」と判断されることが多いためではないかと想像している。

クライアント開発テクノロジ(使用言語別)

Q. アプリケーション開発で現在使用している言語を、いくつでもお選びください。

クライアント開発テクノロジ(使用言語別)

* VB=Visual Basic。本稿では、単に「VB」と記述した場合は、VB6以前とVB.NETの両方を含む。

 このグラフは、先ほどの「クライアント開発で使用しているテクノロジ」の内容を、開発言語別に分けてグラフ化したものである。

 (ほかの言語開発者と比べると)VB開発者はWindowsフォームをクライアント技術として採用しているケースが多い。それに対してC#開発者は、(Windowsフォームだけでなく)ASP.NETやASP.NET AJAXなども積極的に使用しているという興味深い結果になっている。

クライアント開発テクノロジの学習意向

Q. 前述したクライアント開発テクノロジの中で、あなたが今後最も身に付けたいと思うものがあれば、1つだけお選びください。

クライアント開発テクノロジの学習意向

 今後身に付けたいクライアント技術としては、ASP.NET、Windowsフォーム、ASP.NET AJAX、Silverlight、HTML5の順で、この5つが14.9〜11.2%と、ほぼ横並び状態になっている。マイクロソフトのクライアント技術は全方位戦略であるため、すべてを同じ重要性で推進しようとする。そのため、開発者が利用するクライアント技術は多種多様になってきている。もちろんこれはこれで良い面でもあるのだが、1つのクライアント技術に的を絞れないので、開発者にとっても、われわれのような.NETメディアにとっても、大変な時代になってきたと、最近、筆者は感じている。

 このアンケートの中でも、意外にWindowsフォームやASP.NETの人気が高い。これらの枯れて安定したクライアント技術は、(特に業務アプリケーション分野では)これからも大いに使われていきそうだ。一方、ASP.NET MVCは、かなりの不人気ぶりである。

「.NET開発者中心」コーナーへのフィードバック

読みたい記事/利用したいサービス

Q. あなたが今後「.NET開発者中心」で読みたい記事内容や利用してみたいサービスがあれば、いくつでもお選びください。

読みたい記事/利用したいサービス
SL=Silverlight。

 最も読みたい記事は「1から作る業務Webアプリケーション」だった。やはり業務アプリケーション開発の入門記事の需要は大きい。

 続いて「WPF/Silverlightによる業務アプリ開発」「オープンソースを活用する基礎知識」「Visual Basic 2010の新機能概説」「Visual Studio 2010で始めるデザインパターン」であった。WPFやSilverlight、Visual Studio 2010などの最新テクノロジの記事や、オープンソースなどによる開発効率化の記事も、需要は比較的大きいといえる。

 これらの結果は今後の記事企画に反映させていきたいと考えている。

インターネット上の活動状況

Q. 以下に挙げるインターネット上の活動について、あなたが過去1カ月以内に実施した項目があれば、いくつでもお選びください。

回答者プロフィール:インターネット上の活動状況

 インターネット上の活動状況としては、54.3%とずばぬけて高いのが「他者投稿記事やレビューなどの閲読」。

 続いて26.1〜23.4%横並び状態で、「ブログや個人サイトでの記事公開」「Twitterへの投稿(つぶやき)」「RSSフィードの購読」となっている。ブログもしくはTwitterを書いているのは4人に1人という割合だ。

 さらに、19.1〜13.8%の人が「SNSへの日記や画像の投稿」「オンライン掲示板への書き込み」「購入/使用製品レビューの書き込み」を行っており、それぞれの人が、おのおのの手段で、インターネット上の活動を行っていることが分かる。

.NET開発者中心への参加形態

Q. あなたが可能な「.NET開発者中心」への参加形態があれば、いくつでもお選びください。

.NET開発者中心への参加形態
1K=1000。4KW=4000文字。

 回答者全体のうち、35.6%が「新しいWebサービスのベータテスト」に参加できると答えている。また、「Wikipedia形式の情報投稿」が24.5%、「自作したコードの投稿」が21.3%と、比較的ポイントが高い。.NET開発者中心が新しいコミュニティ・サービスを提供した際に、これだけ多くの方が何らかの形で参加していただけるという回答をいただいたのは大変うれしかった。

 7.2%の「そのほか」ではコメントをたくさんいただいた。

 その中で筆者が注目したのは、「(iPhoneアプリケーション開発について)勉強しながらという体(てい)で書いてみたいですね。」という意見だ。例えば何らかの新しい作業を行った際に、その手順やログを「自分用のメモ、覚え書き」としてテキスト・ファイルなどに残すという人は多いだろう。このような情報は、自分のためではあるものの、ほかの人にも役立つ可能性があるので、ブログなどで公開するという人も多い。そこで、「○○やってみた」「○○するための手順」のような覚え書きを投稿できるWebサービスは、開発者にとって良いサービスではないかと思った。自分の覚え書きをWebサイト上で管理できるだけでなく、ほかの開発者の覚え書きを検索や人気ランキングなどで探せるようにすると、多くの開発者に役立つサービスになるかもしれない。

 また、「通常記事は荷が重いが、外部ブログという位置付けなら参加可能」という意見があった。海外では、グラム・ネットワーク(Glam Network)という、人気ブログをネットワーク化して、その窓口となっているポータル・サイトがある。このポータル・サイトには、同じテーマのブログの記事リストが集約され、そのテーマに関心のある読者はポータル・サイトの記事リストから各ブログの記事へジャンプする。各ブログは、このようにして読者を誘導してもらう代わりに、グラム・ネットワークによる広告を掲載する。広告主は、グラム・ネットワークと契約して、ターゲット化された特定分野のブログにだけ広告を出せるので、より効率的な広告効果を期待できる。つまり、読者も目的の情報が見付かりやすくなってうれしいし、ブロガーも読者が増えるうえに広告料が得られてうれしいし、広告主も潜在購買者に適切にリーチできてうれしいし、当然、グラム・ネットワークもそこでビジネスが行えるのでうれしい、という誰もが得をするWin-Winの仕組みを作り上げている。このような仕組みは開発者ブログでも実現可能で、「.NET開発者中心ネットワーク」のようなものが作り上げられるのではないかという思いもある。もちろん肝心の広告主が現れなければ、ビジネスとして成り立たないので実現の可能性は低いが。

 ほかにも、「FAQサイト(回答内容の評価により、金銭的なお礼が得られる機能を持つ)」「SNSなど(開発者同士でのコミュニケーションの場)」「会社員としての参加は倫理規定としての制約を受けるので、個人の時間を活用する<ゆるめ>の企画があるといい」「申し訳ないが、多忙のためアンケートに回答するぐらいしか協力できない」などの意見があり、いろいろと参考になった。

 ご回答いただいた方々に感謝したい。皆さんからいただいた情報を基に試行錯誤を続け、今日の業務アプリ開発に役立つ実践的な情報を学び・共有する“場”をデベロッパーに提供できるよう、.NET開発者中心コーナーは努力していきたいと考えている。 End of Article


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