.NET開発者中心 読者調査レポート .NET開発者におけるスマートフォン開発の関心度 ―― 第4回 モバイル・アプリ開発についてのアンケート結果(2011年2月実施) ―― デジタルアドバンテージ 一色 政彦2011/04/12 |
@ITでは、2011年2月17日(木)〜2月27日(日)の期間、アプリケーション開発に携る@IT読者を対象に、Web上での自記式アンケートによる読者調査を行った(調査実施機関はアイティメディア株式会社。有効回答数は361件)。
* 本稿では、「アプリケーション」は「アプリ」と略す。また、「Insider.NET/.NET開発者中心」は、「.NET読者」と略す。 |
本稿は、その調査結果から、筆者が特に興味深いと感じた下記の調査項目に関するものを一部抜き出してグラフ化し、簡単な説明と考察を付記したものである。
【モバイル端末用アプリ開発の現状と今後】
- 開発予定/検討中のモバイル・アプリの種類
- 予定/検討中のモバイル・アプリ開発形態
- モバイル・アプリ開発で採用したいテクノロジ/インフラ
【アプリ開発関連の情報サイトについて】
- よく利用するアプリ開発関連情報サイト
- アプリ開発情報サイトで利用したいサービス/機能
なお、本稿で取り上げなかった調査結果(「モバイルプラットフォーム選定時の重視点」など)は、TechTargetでホワイトペーパー「モバイルアプリケーション開発への取り組み状況は?」として提供している。
■
■モバイル端末用アプリ開発の現状と今後
●開発予定/検討中のモバイル・アプリの種類
Q. 今後開発を予定/検討しているモバイル・アプリの種類を、1つだけお選びください(複数ある場合は、最もリソースを要するものをお選びください)。
開発予定/検討中のモバイル・アプリの種類(全体:N=234、.NET読者:N=111。※モバイル・アプリ開発中および、予定/検討中の人のみ) |
このグラフは、「今後開発を予定/検討しているモバイル・アプリの種類」について、「.NET読者」のデータ(=赤色の棒)を降順で並べたものだ。比較のために、「全体」(=アンケートに答えた人、全員)のデータ(=青色の棒)を、それぞれの下に並べて表示している。
一目りょう然で、「業務用 > コンシューマ用」となっている。スマートフォンにおいては、コンシューマ用よりも業務用のアプリ種別の人気が高く、特に.NET読者においてその傾向が顕著に表れている。
【プラットフォーム別】開発予定・検討中のモバイル・アプリの種類(※モバイル・アプリ開発中および、予定/検討中の人のみ) |
このグラフは、先ほどの「今後開発を予定/検討しているモバイル・アプリの種類」のデータを、iOS(iPhone/iPadなど)とAndroidとWindows Phone 7(以降、WP7)という3種類のスマートフォンOS別に分けたものだ。寒色系(=青色や水色など)が「業務用」を意味し、暖色系(=黄色や赤色など)が「コンシューマ用」を意味している。
これを見ると、WP7は(iOSやAndroidよりも)寒色系の領域が広く、暖色系は狭いことから、WP7開発者(恐らく.NET開発者)は業務アプリを主に開発予定としているのが分かる。WP7は、特に「基幹業務」のアプリ種別の割合が大きいのも興味深い。
●予定/検討中のモバイル・アプリ開発形態
Q. 上記モバイル・アプリで予定/検討している開発形態を、いくつでもお選びください。
予定/検討中のモバイル・アプリ開発形態(全体:N=234、.NET読者:N=111。※モバイル・アプリ開発中および、予定/検討中の人のみ) |
スマートフォン開発では、Webアプリとネイティブ・アプリの人気が拮抗(きっこう)している。全体では(Webアプリよりも)ネイティブ・アプリの方が2.6ポイントほど人気は高いが、.NET読者では(ネイティブ・アプリよりも)Webアプリの方が3.7ポイントほど人気は高い。この結果はやはり、「スマートフォン開発でもASP.NETなどの.NET技術を利用したい」という考えを反映したものだと考えられるが、そうはいっても差異は小さく、開発言語や開発技術はプラットフォームに合わせて柔軟に使い分ける開発者が多数派なのだと予想される。
●モバイル・アプリ開発で採用したいテクノロジ/インフラ
Q. 上記モバイル・アプリの開発で採用したいテクノロジやインフラを、いくつでもお選びください。
このグラフは、「モバイル・アプリ開発で採用したいテクノロジ/インフラ」について、「.NET読者」のデータを降順で並べたもので、比較のために「全体」のデータも添付している。
スマートフォン開発技術に対する人気の傾向は、「Silverlight」を除いて、.NET読者と全体であまり違いがない。やはり「HTML5」の人気が圧倒的に高い。HTML5と組み合わせられる、「Ajax」や「jQuery MobileなどのJavaScriptライブラリ」といったWeb技術にも人気が集まっている。3位に「既存の業務アプリとの連携」がランクインしていることから、既存業務のフロントエンドの1つとしてスマートフォンが活用されようとしていることが分かる。「GPS/ロケーション情報」が4位に入っているが、主にどのような用途で使われる予定なのかが興味深い。
■アプリ開発関連の情報サイトについて
●よく利用するアプリ開発関連情報サイト
Q. あなたが日ごろよく利用されるアプリ開発関連の@ITフォーラムやその他の情報サイトを、いくつでもお選びください。
よく利用するアプリ開発関連情報サイト(全体:N=361、.NET読者:N=168) |
このグラフは、「日常的に利用する技術情報サイト」について、「.NET読者」のデータを降順で並べたもので、比較のために「全体」のデータも添付している。ただし、このデータは@IT内でアンケート調査された結果なので、その結果に偏りがある可能性がある(つまり、@ITに有利な結果になっている可能性がある。例えば別の開発技術系サイトで同様の調査を行えば、結果が大きく異なる可能性がある)。その点は、ご留意いただきたい。
.NET読者の7割が「ITpro」の読者でもあり、4割が「CodeZine」の読者でもある。
●アプリ開発情報サイトで利用したいサービス/機能
Q. 上記のような情報サイトで今後利用したいサービス/機能があれば、いくつでもお選びください。
このグラフは、「技術情報サイトで利用したいサービスや機能」について、「.NET読者」のデータを降順で並べたもので、比較のために「全体」のデータも添付している。
Insider.NET/.NET開発者中心の編集部として、これらのサービスは、実施できるものから順次、現実のサービスとして提供したいと考えている。
すでに実施しているサービスもいくつかあるので紹介しよう。
3位の「編集部厳選の“要チェック”情報」は、.NET開発者中心のトップ・ページの上部に表示している。
「Twitter活用コミュニティ機能」としては、@devchuアカウントを運用しているので、よければフォローしていただきたい。このほかに、@dnhub_bbsアカウントで@IT会議室やMSDNフォーラムに投稿された.NET関連の質問をつぶやいている。@dnhubアカウントでは、筆者がブックマークした.NET関連のブログ記事(主に海外の英語の記事)へのリンクと簡単なコメントをつぶやいている。
「Facebook活用コミュニティ機能」としては、Facebookページを(試験的に)運用しており、その窓口を.NET開発者中心のトップ・ページの右枠に表示しているので、.NET開発者中心のことを「良い」と思う場合は、ぜひ[いいね!]ボタンをクリックしてほしい。
これらのサービスは、試行錯誤しながら、より良いものにアジャイルに改良していきたいと考えている。
また、「オンライン会議室(=掲示板)」は「Insider.NET会議室」と「.NET開発者中心 会議室」を運営しており、「Ustreamによるセミナー中継」や「懇親会への参加」は不定期開催の.NET中心会議にて実施しているので、ぜひご利用いただきたい。
このほか、記事要望(や、その要望への投票)を「UserVoice:.NET開発者中心/Insider.NETへの読者フィードバック」で受け付けている。読みたい記事などがあれば、お気軽に投稿/投票していただけるとうれしい。
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以上、アンケート結果の一部を簡単に紹介した。繰り返しになるが、アンケート結果全体に興味がある方は、TechTargetでホワイトペーパー「モバイルアプリケーション開発への取り組み状況は?」を参照されたい。
今回のアンケートにご回答いただいた方々に感謝したい。皆さんから頂いた情報を基に試行錯誤を続け、より良い開発情報コンテンツの制作に尽力したい。また.NET開発者中心コーナーでは、今日の業務アプリ開発に役立つ実践的な情報を学び・共有する“場”をデベロッパーに提供できるように一層努力していく所存である。
「.NET開発者中心 読者調査レポート」 |
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