.NET TIPS [ASP.NET AJAX]クライアントサイド・スクリプトからカスタムの認証機能を利用するには?[2.0のみ、C#、VB]山田 祥寛2007/10/04 |
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「TIPS:[ASP.NET AJAX]クライアントサイド・スクリプトからASP.NETの認証機能を利用するには?」で紹介したように、ASP.NET AJAXでは「アプリケーション・サービス・ブリッジ」(以降、アプリケーション・ブリッジ)と呼ばれる機能を提供しており、この機能を利用することで、ASP.NET 2.0標準のメンバシップ・フレームワークを利用した認証処理を、クライアントサイド・スクリプトから呼び出すことが可能になる。もっとも、アプリケーションによっては、独自の認証処理を利用しているケースも少なくない。このようなケースでは、アプリケーション・ブリッジ機能を利用できないのだろうか。
いやいや、そのようなことはない。アプリケーション・ブリッジ機能では、クライアントサイドのインターフェイスはそのままに、サーバ側の認証処理だけをカスタマイズするための機能を備えている。本稿では、このようなアプリケーション・ブリッジ機能で認証処理をカスタマイズする方法について紹介する。
それではさっそく、具体的なサンプル・アプリケーションでもって、その手順を見ていくことにしよう。ここで紹介するのは、アプリケーション・ブリッジ機能を利用して、構成ファイルによるフォーム認証を利用するサンプルだ(参考:「TIPS:[ASP.NET]構成ファイルのみでフォーム認証を実現するには?」)。
なお、本稿で扱うサンプルは、前述の「TIPS:[ASP.NET]クライアントサイド・スクリプトからASP.NETの認証機能を利用するには?」で作成したLogin.aspxをベースにしている(本稿ではAuth.aspx)。Login.aspxについては、そのTIPSで解説しているので、アプリケーション・ブリッジ機能に関する設定も含め、詳細はそちらで確認していただきたい。
1. フォーム認証を利用するための準備を行う
アプリケーション構成ファイル(Web.config)で認証処理を行うためには、Web.configに対するいくつかの設定が必要だ。設定の手順については、前述の「TIPS:[ASP.NET]構成ファイルのみでフォーム認証を実現するには?」で紹介しているので、ちらを参照して手順を済ませておいていただきたい。
2. ログイン/ログアウト処理のためのサービス・メソッドを定義する
独自の認証処理を実装するには、クライアントサイド・スクリプトから呼び出されてログイン/ログアウト処理を行うためのXML Webサービス・クラス(.asmxファイル)を用意しておく必要がある。まずは具体的な.asmxファイルのコードを見てみよう。
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カスタムの認証処理を規定するXML Webサービス・クラス(AuthCustom.asmx)(上:C#、下:VB) |
サンプル・アプリケーションの大きな流れについては、コード内のコメントを参照していただくとして、ここで注目していただきたいのは、以下の2点だ(なお、ここではXML Webサービス・クラスそのものの記法については割愛する。詳細については、「MSDN:ASP.NETを使用したXML Webサービス」を参照していただきたい)。
(1)XML Webサービス・クラスにはScriptService属性を付与する
ScriptService属性(System.Web.Script.Services名前空間)は、該当のXML Webサービス・クラスがクライアント側スクリプトから呼び出し可能であるかどうかを表す。
アプリケーション・ブリッジ機能は、内部的に自動生成したJavaScript経由でサーバ側との通信を行っているので、通信先となるXML Webサービス・クラスでも必ずScriptService属性を付与する必要がある。
(2)Webサービス・メソッドのパラメータ/戻り値型は固定
アプリケーション・ブリッジ機能において、XML Webサービス・クラスの名前は自由に決められるが(ここではAuthCustomクラス)、メソッド名、戻り値のデータ型、および、パラメータの名前/データ型は完全に固定であり、アプリケーション開発者が変更することはできない。つまり、いかなる場合にもWebサービス・メソッドは以下のシグニチャに従う必要がある。C#/Visual Basic(VB)いずれを利用しているかにかかわらず、パラメータの名前は大文字/小文字まで厳密に区別されるので、注意してほしい。
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ログイン処理のために呼び出されるサービス・メソッドのシグニチャ(上:C#、下:VB) |
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ログアウト処理のために呼び出されるサービス・メソッドのシグニチャ(上:C#、下:VB) |
Loginメソッドは、パラメータとしてクライアントサイドで入力されたユーザー名(userName)、パスワード(password)、そして、永続化クッキーを有効化するかどうかを決めるフラグ(createPersistentCookie)を受け取り、これらの情報に基づいて認証処理を行う。
ここでは、フォーム認証サービスを管理するFormsAuthenticationクラス(System.Web.Script.Services名前空間)を使って、フォーム認証を行っている。本サンプルで利用しているFormsAuthenticationクラスのメソッドは、以下のとおりだ。
メソッド | 概要 |
Authenticate(ユーザー名, パスワード) | 与えられたユーザー名/パスワードを検証 |
SetAuthCookie(ユーザー名, 永続化クッキーを使用するかどうか) | 認証クッキーを発行 |
SignOut() | ログアウトを実行 |
FormsAuthenticationクラス(System.Web.Script.Services名前空間)の主なメソッド |
つまり、Loginメソッドでは、まず与えられたユーザー名/パスワードで認証の可否を判定し、Trueである(認証に通過した)場合に認証クッキー(チケット)を発行しているというわけだ。また、Loginメソッドはログインの成否をブール値で呼び出し元に返す必要がある。
3. サービス・メソッドを登録する
サービス・メソッドを作成してしまえば、あとは簡単だ。「TIPS:[ASP.NET AJAX]クライアントサイド・スクリプトからASP.NETの認証機能を利用するには?」で作成したAuth.aspx上に配置されたScriptManagerコントロールのAuthenticationServiceプロパティのサブ・プロパティPathに、手順2で作成したAuthCustom.asmxを登録すればよい。
AuthenticationService−Pathサブ・プロパティにサービス・メソッドを登録 |
以上で必要な手順は完了だ。作成したサンプル・プログラムを実行し、実際に認証機能の動作を確かめてみよう。構成ファイル上で定義したユーザー名/パスワードで認証が確認できれば成功だ。
利用可能バージョン:.NET Framework 2.0のみ カテゴリ:Webフォーム 処理対象:ASP.NET AJAX 使用ライブラリ:FormsAuthenticationクラス(System.Web.Script.Services名前空間) 関連TIPS:[ASP.NET AJAX]クライアントサイド・スクリプトからASP.NETの認証機能を利用するには? 関連TIPS:[ASP.NET]構成ファイルのみでフォーム認証を実現するには? |
「.NET TIPS」 |
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